難しい問題をさらっと解いてしまう人は、どのような脳の使い方をしているのか?
「これからの時代を生き抜くには問題解決力が必須!」なんてことを、よく耳にする昨今でございます。そりゃあ近ごろの仕事はルーチン作業が減って、新しい問題を解いてかねばならないものばっかなんで、解決力が必要なのは当然でしょう。
が、そういっても「問題解決力」ってのもあいまいな概念でして、「どうやって伸ばせばいいの?」ってポイントは気になるところ。難しい問題をさらっと解いちゃうような人が、どんな脳の使い方をしてるのか?みたいな話っすね。
そこで参考になるのが、近ごろワシントン大学などから行った試験(R)。「問題をすぐに解ける人は何が違うのか?」ってテーマに取り組んでくれていて、非常に参考になりました。
どんな実験だったかと言いますと、
- およそ200人の参加者に「RAMPS」というテストを受けてもらう
- みんながテストをしている様子を観察しつつ、脳をスキャンする
みたいになってます。「RAMPS」は短期記憶力や流動性知性を計測するための定番テストで、たとえば以下のような画像を見て、空欄に1〜4のどの画像が当てはまるかを考えるわけです。
当然ながら、この問題を解くためには、
- 問題の中にどのようなパターンが存在するのかを特定する
- パターンの中の重要な特徴を見極め、その特徴がどこに現れるかを把握する
- そのパターンが現れるルールについて考える
- そのルールが全体に当てはまるかどうかを確認する
みたいな思考の流れが必要でして、こういう考え方が得意な人は、現実的な問題を解くのも得意だろうと考えられるわけですね。ナゾトキなどがうまい人も、同じような思考法を使ってるでしょうね。
さて、以上の実験でなにがわかったかと言いますと、
- 問題解決がうまい人は、間違った解決策を避けるのがうまい!
だったそうな。難しい問題をすっと解ける人というのは、最良の選択肢を認識する能力が高いわけではなく、「あれ? このやり方だとダメだよな!」ってのに気づく能力が高いのだってことですね。なるほどねぇ。
研究チームいわく、
脳が私たちを操る方向性には大きくふたつある。良いことに近づくか、悪いことから遠ざかるかだ。
これらのプロセスは水面下で行われているため、どちらがどれだけ動いているかは必ずしも意識されない。
多くの研究は、最良の解法や選択肢を探すための学習方法に焦点を当てている。しかし、良い選択肢が見つからないときには、悪い選択肢を選ばなければならないこともある。
今回の研究で発見したのは、複雑な問題を解決するためには、何が機能しているかを認識することよりも、悪い選択肢を避けることの方が大事だという点だ。
ってことで、「正解はどれだ?」という方向で答えを探すよりも、「間違いはどれだ?」って思考で答えを探す方が実りは多そうであります。
もちろん、これらは脳の無意識下で起きるプロセスなので、意識的に制御するのは難しい話なんですが、なにか難しい問題に出くわしたときは、
- この問題を解くための最悪な方法や対策はどのようなものだろう?
- いま考えている対策は、本当に機能しているだろうか? パターンに当てはまっているだろうか?
といった感じで、「間違い」に焦点を当てた「メタ認知系の質問」を自分に投げてみるのが有効なのかもしれないですね。ちなみに、その他の「メタ認知系の質問」については、
なども使えると思いますので、興味がある方はどうぞ。