メンタルコントロールの第一人者が語る「脳内のヤバいおしゃべり」に立ち向かう6つの方法
https://yuchrszk.blogspot.com/2021/06/6.html
「おしゃべり:なぜ頭の中の声は重要なのか、いかにそれを利用するか? (Chatter: The Voice in Our Head, Why It Matters, and How to Harness It )」って本を読み終わり。著者のイーサン・クロス博士はミシガン大学の教授で、心のコントロールに関する世界的な権威であります。
この本のテーマは「頭のなかで起きるひとりごと」で、このブログでも「うつ病の根本原因」として取り上げてきた「反すう思考」に関する本っすね。というわけで、以下は個人的に勉強になったとこの覚え書きです。
- 私たちが大半の時間を心の中の会話に費やしているのは間違いなく、これは以下のような目的のために進化した機能だと思われる。
- 脳のワーキングメモリを助けるため。ワーキングメモリは限られた情報しか覚えられないので、心の中でひとりごとを言うことで短い記憶を助けたわけっすね。
- 私たちに人生の目標に注意を払うようにうながし、脳内で目標達成のシミュレーションを行うため(例えば、脳内で「あの仕事につくにはどうすればいいんだろう?」みたいにブレストをしたりとか)。
- 現実に起こりうるシナリオや警戒すべき脅威に注意を向け、未来への準備を助けるため。
- 自分の価値観や願望を理解して、アイデンティティの感覚をしっかりさせるため。
- 私たちの脳内の声は、多くの場合はうまく機能するが、間違って使うとパフォーマンスの低下を引き起こす。エリートアスリートが、脳内の声に気を取られて急にパフォーマンスを発揮できなくなるのは珍しくない。と同時に、ネガティブな声のせいで神経のリソースを奪い、脳をマルチタスク状態に追いこむ傾向がある。
そのため、脳内にネガティブな声が多い人ほどテストの成績が悪くなったり、あがり症になったり、ビジネスでの交渉がうまくいかなくなったりといった問題が起きやすくなる。ある研究では、脳内のネガティブな声が多い人ほど収入が減るという結果が出ている。
- では、「脳内の声」をどうすればいいか?ということで、具体的には以下のような手法が有効。
- 距離を使え!:「脳内の声」は自分と思考が一体化した状態なので、心のエコーチェンバーから「一歩引く」のが重要となる。例えば、
- 脳内でおしゃべりが始まったら、「私は」ではなく「◯◯(自分の名前)は」や「彼は」という人称を使って脳内の言葉を変換する。そうすることで、反すう思考に関する脳内ネットワークの活性化が抑えられ、ストレス下でのパフォーマンスの向上、賢明な思考、ネガティブな感情の減少につながることがわかっている。
- 「もし友人が同じ問題を抱えていたら、どんなアドバイスするだろうか?」と想像してみる。自分と同じ問題を抱えている友人に何と言うかを想像することで、やはり反すう思考に関する脳内ネットワークの活性化が治る。
- 「いま自分が心配している経験は、私(または他の人)が過去に乗り越えてきたがネガティブな出来事と比べてどうなのか?」「自分が尊敬する他の人々は、同じ経験にどう対処するのだろう?」と考えてみる。
- ボディタッチを使え!:「体に触れる」ことに大きな癒しの効果があり、ある研究では、自尊心の低い人の肩にわずか1秒間だけ手を置いただけで死に対する不安が減り、他人との結びつきが強くなったという結果が出ている。そのため、誰かと愛情のこもった触れ合いをするのも効果的(ペットでも良い)
- 時間旅行をせよ!:研究によると、辛い経験をしている人に「明日ではなく10年後にどう感じるかを想像してください」と指示したところ、その経験を前向きにとらえることができるようになった。このテクニックは「時間的な距離の拡大」と呼ばれ、悩んでいる人に対して「自分の経験は一時的なものなのだ」と理解させ、希望を持たせる効果を持つ。
- 自然に触れよ!:数多くの研究により、自然の力で認知機能が向上し、憂鬱や不安が減り、反すうを減らすことが実証されている。心の声をコントロールできなときは、並木道や公園を散歩するなど、緑地に触れる機会を増やしてみるのが吉。
- 身の回りのものを整理せよ!:自分の部屋や机の上が乱雑だと、「私はこの世の中をコントロールできない人間なのだ!」という感覚が生まれ、心の中の「秩序感」が乱れてしまう。なので、環境に秩序を与えてやる作業は、心のネガティブな声を抑えるのにとても効果がある。仕事場や自宅の整理整頓、リストの作成、身の回りの物の配置など、自分なりの整理法を見つけて実践すべし。
ってことで、わりと「最高の体調」でも取り上げた視点が多く入ってて、「ですよねー」って気分になりました。「脳内の声」問題に関してはかなり良い本でして、おそらく邦訳が出るだろうなーって感じですね。