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今週末の小ネタ:クロスワードパズルと数独が脳に良い、やっぱSNSはメンタルに悪い、マルコム・グラッドウェルのキャリアアドバイス

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

クロスワードパズルと数独はやっぱ脳にいいのかもなー

クロスワードパズルと数独はやっぱ脳にいいんだなー」みたいなデータ(R,R)がふたつ出てたんでメモ。これはエクセター大学で認知症の研究をしているチームによるものでクロスワードなどの単語系パズルと数独などの数字系パズルのアンチエイジング効果を2年にわたって調べてくれております。

 

 

どちらの研究も、イギリスで行われたPROTECT研究(脳の加齢に関する大規模なアンケート)ってデータを使ってて、チームは50歳から93歳までの男女19,078人の調査結果を分析。「普段から単語や数字を使ったパズルをどれぐらいやっているか?」と「それぞれの認知能力はどれぐらいか?」っていう2つの調査結果を比較したところ、

 

  • クロスワードパズルと数独でよく遊んでいる人は、認知テストのスコアがはるかに高い!

 

だったそうです。具体的な数値を挙げておくと、パズルでよく遊ぶご老人は、同年代の人より短期の記憶力が8歳若い! 論理の推論能力が10歳若い!って結果だったらしい。この数値は確かにすごいっすね。

 

 

研究チームいわく、

 

普段から脳を鍛えることを意識し、脳を健康に保つためのライフスタイルの一環として、パズルを取り入れてみてはどうだろう。

 

ってことで、どんどん脳機能が衰えてきた私としても「パズルやっとくかー」という気持ちにさせられました(数独は苦手なのでクロスワードぐらいにしておきたい)。

 

 

まぁパズルと認知の関係を調べたデータって他にあんまないので、実際の効果については今後の調査で変わりそうな気もしますけど、パズルを楽しむついでに脳トレになればいいなーぐらいの気持ちで臨むと良さそうですね。

 

 

 

わりと厳密なテストでもSNSはメンタルに悪い!って結果が出た話

SNSは良いのか悪いのか」みたいな話は過去に何度か取り上げてまして、いまんとこは「使い方しだいだよねー」みたいな結論に落ち着いております。要するに、リアルな友人と連絡を取るためにSNSを使う分には問題ないけど、SNSを受動的な時間つぶしに使うとメンタルを病みがちだという、ある意味当たり前な話です。

 

 

で、近ごろチェックしたデータ(R)はSNSに否定的な論調で、

 

  • Facebookを1年やるとたいていメンタルは悪化する!

 

みたいな結論になってました。これはギャロップ社の長期調査に参加している5,208人の成人を2年間にわたって追跡調査したもので、参加者の許可を得たうえで、みんなのFacebook利用状況をモニターしつつ、2年間で3回ほど全員のメンタルや身体的な健康状態をチェックしたらしい。似たような調査は過去にもありましたが、これはかなり厳密な研究になってていいですね〜。

 

 

その結果についてチームいわく、

 

現実世界における人間関係は全体的な幸福度を増加させるが、Facebookの利用は全体的な幸福度を低下させることがわかった。特にメンタルの健康へん影響が大きく、1年間のFacebook利用のほとんどの指標が、その後の1年間の精神的な健康の低下を予測していた。

 

ということで、もちろんなかにはFacebookで幸福になった人もいるものの、全体的に見ればメンタルが悪化した人のほうが多かったらしい。

 

 

当然ながらこの研究だとフェイスブックでメンタルを病む理由までは分からんのですが、チームの推測としては、

 

  • ソーシャルネットワークが誤った同調圧力を生み出すからでは?

 

みたいになってました。要するに、ほとんどの人はネガティブな経験をSNSに投稿しないので、「みんな自分よりもうまくやってて楽しそうだなー」って気分になっちゃうって話です。研究者の言葉で言うと「慎重に選ばれた他人の人生イメージに触れることは、否定的な自己比較につながる 」ってことで、これは従来から言われてたことではありますね。

 

 

まぁ「SNSは使い方次第だ!」って結論は変わらないものの、誤った同調圧力を回避するのは、わかってても難しいかもしれないっすね。

 

 

 

マルコム・グラッドウェルのキャリアアドバイスとか

トーキング・トゥ・ストレンジャーズ」で有名なマルコム・グラッドウェルさん(ポップな科学書のベストセラーを連発してるすごい人)が、ビジネスインサイダー(R)で「キャリアに関するベストなアドバイスとは?」って問いに答えてたのがおもしろかったんでメモ。本編は新刊の内容に関するインタビューなんですけど、最後に「あなたが考える最高のキャリアアドバイスを教えてください」って質問に、こう答えておられました。

 

これは友人からの受け売りなアドバイスなのですが、彼は「常にプロジェクトを持て」と言っています。これは自分の仕事に100%依存してはいけないという意味で、つねに自分自身のモチベーションだけで追求しているものごとを持ちなさいということです。すなわち、自分がボスになれるもの、自分でコントロールできるもののことです。

 

もしいまの仕事でそれが達成できないのであれば、副業として何かをする必要があるでしょう。自分の時間を何に使うのが最も生産的なのかは、あなたの上司よりも自分の方が判断できることが多いものです。

 

ってことで、「科学的な適職」にも書いた「人生の幸福には裁量権が大事!」みたいなポイントが強調されておりました。これを「常にプロジェクトを持て」と表現するのはかっこいいっすね。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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