このブログを検索




今週末の小ネタ:ダイエット中の酒、不安で運動ができない!問題、植物性プロテインで効果を得るには?

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

ダイエット中の酒は良いのか悪いのか?

酒はどうも体に悪いらしいってのが最近の風潮ですが(まぁ過度に怖がる必要もないとは思いますが)、最近は「ダイエット中の酒は良いのか悪いのか」みたいなとこを調べたデータ(R)が出ておりました。

 

 

これは12名の女性を対象にした研究で、みんなに維持カロリー(いまの体重をキープするのに必要なカロリー)から30%を減らした制限食を8週間ほど続けるように指示したとのこと。

 

 

その際、7名の女性を1日35gのエタノールを飲むグループ(だいたいお酒3杯分)に割り付け、残り5名には禁酒させたとのこと。当然、みんなの摂取カロリーを等しくするために、酒を飲むグループは、摂取カロリーからエタノール分の240kcalを差し引いております。

 

 

そのうえで、身長、体重、血管の健康、コレステロール、中性脂肪を評価したところ、8週間後の結果はこんな感じになりました。

 

  1. 禁酒グループは体重が6.6±1.2kg減り、酒を飲んだグループは体重が5.4±0.8kg減った(p=0.43)。ただし、体重の減少と脂肪の減少は酒を飲もうが飲むまいが変わらないと思われる

  2. 血管の健康は禁酒したグループの方が改善した

  3. 禁酒グループは中性脂肪が26.3mg/dL減少したが、酒を飲んだグループは16.6mg/dL増加した。総コレステロールも禁酒グループの方が改善した

 

ということで、ダイエット中に酒を飲んでも体脂肪を減らす効果に影響はなさそうですが、血管や脂質の代謝にはイマイチ良い効果がないのではないか、と。まぁ小規模なテストなんでアレですけど、ダイエット中はアルコール摂取を控えたほうが、せっかくの健康効果を下げなくても済むのかなーって感じですね。

 

 

 

不安で運動ができない!問題

マクマスター大学などのチームが「運動が続かない人の特徴はこれだ!」みたいなデータ(R)がおもしろかったんでメモ。これは1,669人を対象に、新型コロナ下での運動習慣について調べたもので、おおよその結果はこんな感じです。

 

  • パンデミック時には、ほとんどの人の運動量が約10%減り、ストレスも約20%増加していた

 

要するに、新型コロナでメンタルヘルスが悪化した人ほど運動をしなくなり、その結果としてストレスが増したんじゃないのか?って話です。研究チームいわく、

 

 

運動は不安を軽減すると言われているが、多くの回答者は不安で運動ができないと感じていた。憂鬱感の強い回答者は運動に対するモチベーションが低く、モチベーションの低下は憂鬱感の症状のひとつとなる。

 

 

運動をしないせいで不安が増し、そのせいで運動をしなくなり、そのせいでさらに不安が増すというマイナスのスパイラルに入ってるんじゃないか?ってことですね。メンタルが低下すると体を動かしたくなくなるのは当然と言えば当然ですけど、どっかで悪循環を断ち切らないと、いよいよ事態は悪化しそうですね。

 

 

ちなみに、この問題を解決するために、チームはこんな対策を提唱しておられます。

 

  1. 「少しの運動でも、全く運動しないよりはマシ!」という考え方を取り入れる
  2. 不安を感じたら運動強度を下げる
  3. 毎日ちょっとずつ体を動かす
  4. 座りっぱなしの時間は、立ったり動いたりして休憩する
  5. 運動の予定も、他の予定と同じようにカレンダーに入れて計画する

 

いずれも小さな介入ではありますが、言われてみれば私も運動はつねにカレンダーに入れてますね。

 

 

植物性プロテインで効果を得るには?

筋トレ界で植物性プロテインの評判があまりよくないのはご存じのとおり。なんせロイシン、リジン、メチオニンといった筋肉の発達に欠かせないアミノ酸が少ないので、これはいたしかたないとこです。

 

 

が、それならば「植物性でも十分に飲む(または動物性と混ぜたら)問題ないのでは?」という発想のヘンな研究(R)が出ておりました。どんな話かと申しますと、

 

  1. 23歳の健康な男性36人を集める

  2. みんなが空腹の状態で、1)ミルクプロテイン濃縮物を30g、2)小麦プロテイン加水分解物を30g、3)ミルクプロテイン+小麦プロテインのミックス(15gずつ)という3種類のプロテインドリンクのうち1種類を飲んでもらう

  3. その後5時間にわたった大量の血液サンプルを採取&筋生検もして違いを見る

 

みたいになってます。動物性単体、植物性単体、両者のミックスでどんな違いがあるかをチェックしたわけっすね。で、その結果を申し上げますと、

 

  • 血中のアミノ酸濃度はすべての処理で上昇したが、やっぱり小麦より牛乳のほうが上昇率は高かった(アミノ酸のピークが30%高い)

  • 牛乳と牛乳+小麦を比べた場合、牛乳の方がピークが16%高かった
  • ただ、5時間にわたって筋肉のタンパク質合成量(筋肉の発達の指標)をチェックしたところ、目立ったグループ間の差はなかった

 

といった感じになってます。これを見る限り、植物性タンパクでも十分な量を摂取するかホエイと混ぜれば十分な機能を果たしてくれそうな気はしますね。動物性が苦手な方は、いつもより多く飲んでみればどうにかなるかもしれません。


スポンサーリンク

スポンサーリンク

ホーム item

search

ABOUT

自分の写真
1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

INSTAGRAM