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今週末の小ネタ:キノコで癌リスクがめちゃくちゃ減る?緑の野菜は筋肉の成長にも欠かせない、肥満を予防したければ水

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

   

 

 

キノコで癌リスクがめちゃくちゃ減るんじゃないか?説

キノコはすごい!って話は過去にも何度か書いてきたわけですが、新しいメタ分析でも「がんリスクを激しく減らしてくれるんじゃない?」って結論になっててよろしゅうございました(R)。

 

 

これはペンシルベニア州立大学などの研究で、1966年から2020年までに発表されたキノコの摂取とがんに関する研究をピックアップして、17件のデータから19,500人以上のがん患者を対象にした報告をまとめてくれております。全体的なデータの質はそこそこですが、現時点ではキノコのパワーを知るうえで最良の文献じゃないでしょうか。

 

 

で、結論をまとめればこんな感じです。

 

  • 1日18gのキノコを食べている人は、食べていない人に比べて、がんのリスクが45%低下
  • キノコ類をよく食べる人は、特に乳がんのリスクが有意に低い(ただし、これは単純に乳がんの報告例が多いだけかもしれない)

 

んー、なかなかすごい数値が出てますね。45%低下するかもしれないなら、とりあえず食べとくしかないでしょう。1日18gぐらいなら楽勝ですしね。

 

 

ちなみに、このような違いが出た理由はまだ謎が多いですが、研究チームは「エルゴチオネインが重要なのかも?」と推測しておられます。エルゴチオネインは強力な抗酸化物質で、細胞を保護する働きがあるとされる成分。数ある食材のなかでもキノコに多くふくまれ、なかでもシイタケとマイタケに豊富だったりします。

 

 

まぁここらへんはもう少し調査が必要ですけど、そもそもキノコは食物繊維やビタミンが多いくせに低カロリーな超優良食材なんで、個人的にもガンガン食べようと思います(なによりマイタケは美味だし)。

 

 

 

緑の野菜は筋肉の成長にも欠かせないかもだ!みたいな話

体を最適化させたいならとりあえず緑の野菜を食べようぜ!と「不老長寿メソッド」でも言ってますが、最近出たエディスコーワン大学の試験(R)では、緑の野菜を食べる人ほど筋肉の機能が優れている!って話になっておりました。

 

 

具体的にどんな研究だったかと言いますと、

 

  1. 12年間におよぶ健康調査のデータから3,759人のオーストラリア人を選ぶ

  2. 硝酸塩の摂取量と筋肉の関係性を調べる

 

みたいになってます。硝酸塩ってのは体内で一酸化窒素に変わる成分で、ほうれん草などの緑の野菜に多くふくまれております(あとはビーツにも豊富)。硝酸塩が運動のパフォーマンスアップに効くのは有名ですが、これが筋肉の発達にも効くんじゃないか?と研究チームは考えたわけっすね。

 

 

すると、やはり硝酸塩の摂取量と筋肉にははっきりした違いがありまして、

 

  • 硝酸塩の摂取量が多い人は、少ない人に比べて下半身の筋力が11%高く、歩行速度も最大で4%速かった

 

だったそうです。やっぱ緑の野菜と筋肉の発達には関係性があるのではないか、と。

 

 

研究チームいわく、

 

硝酸塩を多く含む野菜を摂取することで、運動量にかかわらず筋力が向上するようだ。とはいえ、筋機能を最適化するためには、緑葉野菜を多く含むバランスのとれた食事と、ウェイトトレーニングなどの定期的な運動を組み合わせるのが理想的だが。

 

とのこと。葉物野菜は健康に良いだけでなく、筋力の改善にも欠かせないみたいなんで、積極的な摂取を推奨ってことで。

 

 

 

肥満を予防したければ水を飲むのだ!というマウス実験のお話

まだマウス実験の段階ですが、コロラド大学デンバー校のチームが「水を飲むだけでも肥満と糖尿病ってかなり予防できるのでは?」と思わせるデータ(R)が出ておりました。

 

 

これがどんな実験かと言いますと、

 

  1. マウスに果糖を与えまくって、バソプレッシンってホルモンがどう変動するかを見る

  2. バソプレッシンが増えたマウスがどうなるかを見る

 

バソプレッシンってのはおしっこを作る量を増減させることで、体内の水分を調整するホルモンの一種。なぜか肥満や糖尿病の人ほど体内のバソプレッシンが多いことが昔からわかっていて、「なんか悪いことをしてるんじゃないの?」と言われてきたんですよ。

 

 

で、実験の結果がどうだったかと言いますと、

 

  • 果糖を飲んだマウスはバソプレッシンが増え、体内の水分を脂肪として蓄え始めた!
  • 逆にただの水をマウスに与えたら肥満が解消された

 

だったそうです。肥満や糖尿病の一因はバソプレッシンの活性にあるのではないか?ってことですね。

 

 

チームいわく、

 

糖分がメタボリックシンドロームを促進するのは、バソプレッシンの活性化が一因です。バソプレッシンは、水分を蓄えるメカニズムとして脂肪の生成を促進すると思われる。

 

肥満とメタボリックシンドロームの治療においては、水分補給と減塩の潜在的な役割を考慮すべきだろう。

 

とのこと。もちろんマウス実験なので不明な点は多いんだけど、言われてみれば肥満の人ほど脱水症状が多いのも有名な話ですし、塩分の多い食事で肥満や糖尿病が起きやすい理由のひとつにもなってそうな気はしますな。

 

 

バソプレッシンを阻害するには水を飲むのが一番でして、あくまで人間でも同じ効果が得られるかは謎ですが、体内の水分量が肥満や糖尿と関連している可能性はありそうなんで、脱水しないように気を配っておかれるとよろしいのではないかと。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。