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気が散るのは人間にとって当たり前の話。では、どうすればいいのか?#1「トリガーと人生エリア」


 

気を散らさない(Indistractable)」って本を読み終わり。著者のニール・イヤールさんは「Hooked ハマるしかけ」が有名で、スタンフォード大学経営大学院などで講義もしている人ですね。って、本書はすでに2020年に邦訳が出てるんですけど、原書を買ってダラダラしてるうちに日本語版が出るというおなじみのパターンにハマりました。

 

 

さて、本書はタイトルどおり「いかに現代で気を散らさずにパフォーマンスをあげるか?」がテーマでして、このタイプの本はいろいろありますけど、本書がおもしろいのは、

 

  • 気が散るのは人間にとって基本的なことだ!

 

ってのを前提にしてるとこですね。例えば、「メール、アプリ、スマホなどのデジタルツールを取り除け!」みたいなアドバイスはよく聞くところですが、これを実践してみたら、今度はテレビ、部屋の掃除、ニュースの読み過ぎなどにハマっちゃったような人は多いんじゃないでしょうか。「気が散る」ってのは、単にテクノロジーが増大しただけの問題じゃないわけですね。

 

 

じゃあ、なんで人間は気が散るのが基本なのかと言いますと、

 

  1. 先史時代には、周囲の異変につねに気を配らないと、生き抜くことができなかった(猛獣や伝染病の恐怖が大きかったので)

  2. そのため、目の前のことに集中し続けるよりも、ガンガンに気が散る方が生き残る確率が高くなった

 

みたいな流れがあるからです。ここは「ヤバい集中力」でも書いたのと似たようなポイントですね。

 

 

そこでどうするかってことで、ニール・イヤールさんはいくつもの対策をあげてくれてます。が、すべてを列挙するのは無理なんで、個人的にタメになったポイントをまとめておきます。

 

 

 

ポイント1. トリガーを分析する

まず基本中の基本になるのが、自分の集中力をそらしてくる「トリガー」を把握すること。例えば、「スマホの通知が来た!」や「腹が減った!」みたいなことっすね。

 

 

ここで大事なのが「外的トリガー」と「内的トリガー」を分類することで、

 

  • 外的トリガー:「同僚が話しかけてきた!」「スマホが気になる!」みたいに、外からくるトリガー

  • 内的トリガー:「嫌な記憶がよみがえった!」「お腹が空いたらおやつを食べよう!」みたいに、自分の内面からくるトリガー

 

って区分けになります。個人的にもこの分類はあんま意識してなかったなーって感じで、勉強になりました。

 

 

「トリガーの把握」が重要なのは明白で、そもそも「自分がどんな時に気がそれてるのか?」がわからないと、対策の立てようもないのはわかりやすい話。逆に「仕事が退屈になったら集中力がそれるのだ!」と気づければ、「退屈を感じたら時間制限を作ってプレッシャーをかける」みたいな対策も立てられますからね。

 

 

そこで本書では、「気が散る前にどんな感情がわきあがったか?」を記録するように推奨しておられます。もし「スマホの通知で仕事をやめた!」って現状があった場合は、スマホを悪玉あつかいするよりも先に、その前の段階で「どんな感情があったか?」を掘ってみるわけです。例えば、「仕事の前に退屈してたなー」や「仕事の前に不安があったなー」といったあたりを把握して、その感情を書き留めておくといい感じっすね。

 

 

 

ポイント2. 人生のエリアを考慮する

さて、自分の集中力を乱す感情の要因がわかったら、次は「人生のどのエリアを優先するか?」を考えます。集中力アップの対策を立てるにあたり、人生のどこに優先順位をつけるかってポイントですね。

 

 

その手法として、ニールさんは、

 

  1. 自分自身
  2. 人間関係
  3. 仕事 

 

って順番で計画の優先順位を考えよう!ってのを提唱しておられます。

 

 

つまり、まずはセルフケアを優先して、自分の健康に気を配ったり、自分のためだけの時間を確保したりするのを第一に置くわけですな。なんせセルフケアがうまくできてないと、人間関係も仕事もうまくいくはずはないんで、これは当然でありましょう。私の場合も、まずは運動と睡眠の時間を確保してから仕事の計画に進むんで、ここらへんは非常に共感しましたね。

 

 

で、いったんセルフケアのための時間を確保したら、続いて人間関係のための時間を作りましょう。大切な人とのデート、子供との遊び、親しい友人との定期的な会合などを考え、必ず一定の時間作っておくと吉。ともすれば、現代人は「仕事」から先にスケジュールを割り当てがちですけど、実はセルフケア → 人間関係の順番にスケジュールを組むのがいいわけっすな。

 

 

最後に、3番目の領域である「仕事」のスケジューリングをします。生活の中で最も予定が多い部分ですが、あくまで自分と人間関係の時間をスケジュールし、そこで余った時間にだけ「仕事」の予定を組み込むのが吉。そのほうが最終的に生産性が上がるってのは、よくわかるとこですねぇ。

 

 

ってとこで、だいぶ長くなったので、続きはまた次回のエントリで。次回はさらに具体的な対策をまとめていきたいと思っております。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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