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今週半ばの小ネタ:夜ふかしの人の性格、効果的な返品、減量中の糖質摂取は意味がある?

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

  

夜ふかしの人はどんな性格なの?

「早起きな人の性格はこれだ!」「夜ふかしな人の性格はこれだ!」みたいな研究(R)が出ておりました。研究の内容はとてもシンプルで、

 

  1. エストニアで暮らす2,500人以上の男女を集める

  2. みんなの睡眠パターンと性格をチェック

  3. さらに遺伝子データも調べて全ての関係性を調べる

 

みたいになってます。朝型や夜型なんて話をよくしますけど、その分類によって性格の変化はあるのかってポイントを調べたわけっすね。

 

 

で、結果はこんな感じです。

 

  • 自然と早起きな人は、より誠実性が高く、忍耐と落ち着きがあり、達成感を強く求める傾向があったが、一方では開放性が低い傾向もあった(つまり好奇心レベルは低いかもしれない)

 

  • 夜ふかしな人は、協調性が高く、刺激を求めやすく、自己管理能力が低い傾向がある。さらに、優柔不断でリスクを取るタイプの人が多く、物事を成し遂げるのが苦手な人が多い

 

ってことで、かなり明確な違いが出てますねー。

 

 

研究チームいわく、

 

 

今回の研究は、クロノタイプ、性格、遺伝子には関係があることを示しただけでなく、もしかしたら自分のクロノタイプを変えたり自制心を高めれば、社会的に都合のよい睡眠パターンに自分を鍛えられるかもしれない。

 

 

 

勤務時間を自分のクロノタイプに合わせるのが理想だが、そうでない場合、健康状態の悪い夜型の人はメラトニンの分泌を促進するために、早い時間に寝るように気をつけよう。メラトニンは人工光にも影響されるので、早めの時間に電気を消すことを心がけると、夜の早い時間に眠れるようになる。

 

 

 

しかし、今後の研究では、このような自制心を高めるためのテクニックが永続的な変化をもたらすのか、あるいは長期的に健康を促進するのかはまだわからない。

 

 

とのこと。いままでは「クロノタイプはどうやっても治せない!」みたいな考え方が主流だったんですが、もしかしたら自制心を高めるようなテクニックを使えば、ある程度の修正も可能ではないのかってことで、気になる方はお試しください。

 

 

 

どんな返金ポリシーだったら効果があるのか?問題

どんな返金ポリシーだったら効果があるのか?」ってポイントを調べたメタ分析(R)が出ておりました。「100%返金保証!」とか「60日返品が可能!」みたいに、世の中にはいろんな返品ポリシーがありますけど、これは果たして意味があるのか? 本当に売り上げの強化に役立ってくれるのか? を調べたわけっすね。

 

 

具体的には、返品ポリシーに関する22の学術論文をまとめたもので、おもに5つの手法の効果を調べてます。

 

  1. 時間系:60日返品ポリシーとか30日返品ポリシーとか

  2. 金銭系:100%返金保証とか80%返金保証とか

  3. 努力系:フォーム不要とかフォーム必要とか

  4. 範囲系:セール品の返品を受け付けるかどうか

  5. 交換系:キャッシュバックとかストアクレジットとか

 

返品ポリシーにもいろいろありますが、いったいどういった要素が本当に重要なのかってことですね。

 

 

で、その結果をまとめると、

 

  • お客さんにお金を渡すタイプの返品ポリシーは、購入意欲を高めやすい傾向がある

 

  • お客さんに返金を保証すると購入は増えやすくなるし、返品が増えるわけでもない

 

  • 特に金銭系と努力系のポリシーは、購入数の増加につながる可能性がある

 

  • 時間系と交換系のポリシーは、返品数の低下につながる可能性がある

 

みたいになります。全体的に返品ポリシーには意味があるものの、種類によって効果は異なるので、うまく組み合わせを考えてねーってことっすね。簡単に言えば、「購入数の増加系」と「返品数の低下系」をミックスして使うのが良さそうっすな。

 

 

 

 

減量中にガッツリ糖質を取ると筋トレのパフォーマンスは落ちない?

糖質を取らないと運動のパフォーマンスが下がる!ってのは有名な話で、ボディビルダー界でも「減量中は定期的に糖質をガッツリ取れ!」みたいなアドバイスをよく聞くわけです。

 

 

が、この手法が本当に筋トレに効くのかどうかはよく分からないとこも多かったんですが、新しい研究(R)では、そのあたりを調べてくれてました。

 

 

この研究は11人の男性ボディビルダーが対象で、少なくとも1回のボディビル大会に参加したことがあり、大会に向けて準備中な人だけを集めたらしい。実験では全体を半分に分けまして、

 

  1. 中程度のカロリー制限をする:いつもの食事の60%ちょい上の食事をする
  2. 大程度のカロリー制限をする:いつもの食事の60%より下の食事をする

 

って感じで体を絞ってもらいつつ、定期的に筋トレを実施。その際に、どちらのグループも週に2回だけ「糖質をどか食いして良い日」を作ったんだそうな。具体的には、

 

  • 中程度のカロリー制限グループ=68%が糖質
  • 大程度のカロリー制限グループ=70.5%が糖質

 

って感じで好きなだけ食べまくった上で、筋トレのパフォーマンスをチェックしたら、結果はこんな感じになりました。

 

  • いずれのグループにおいても、炭水化物をガッツリ摂取しても筋トレの回数は変わらなかった
  • 炭水化物をガッツリ摂取しても、主観的な筋トレのツラさには変化がなかった

 

ってことで、カロリー制限時に糖質の再補給をしても、別に筋トレのパフォーマンスやツラさは改善しないらしい。ちなみに、痛みとクレアチンキナーゼ(筋肉の損傷のマーカー)については、大程度のカロリー制限をした場合は改善が見られたものの、その変化はかなり小さいんで、特に気にしなくてもいいレベルですね。

 

 

まー、4週間だけの実験なんで、長期的に見た効果がどうかは謎。カロリー制限でパフォーマンスが低下する可能性があることを考えると、たまに糖質の摂取量を増やしておくと「保険」になるかもしれないとは思いますけどね。

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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