今週半ばの小ネタ:食物繊維は最高だが個人差も大きい、人間関係を良くするには謙虚さがベスト、エコはモテる
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
食物繊維は体に良いが、個人差も大きいよねー
食物繊維のすばらしさについては、いまさら言うこともなし。世の中にはスーパーフードと呼ばれる食品がいろいろありますが、そういったものを選ぶなら、食物繊維をふやしたほうが実りは多いんじゃないでしょうか。
ただし、新しい研究(R)では、食物繊維の効果は個人によって異なるかもよーって話になってておもしろかったです。食物繊維と言ってもいろいろな種類がありますが、長いもの、短いもの、水に溶けるもの、溶けないものなどがありまして、それぞれによって人体への影響が違うのは有名な話。さらに、この違いは個人にもおよぶんじゃないかなーってことですね。
これはスタンフォード大学などの調査で、アラビノキシラン(全粒粉やオオバコに多い)と長鎖イヌリン(玉ねぎ、にんにく、アスパラガス、バナナに多い)という定番の水溶性食物繊維を2種類ピックアップ。それぞれがどのような働きをするかをチェックしたんだそうな。
研究チームいわく、
食物繊維が体に良いことは分かっているが、どれも全く働きが違ううえに、それぞれの食物繊維の利点に関する報告は、お互いに矛盾していることが多い。
そこで我々は、精製度が高い2種類の食物繊維をテストすることにした。ここで選んだアラビノキシランとイヌリンは、おそらく最も一般的なものだ。
とのこと。そこでチームは、18人の男女に協力を頼み、最初の1週間は1日10グラム、2週間は1日20グラム、3週間は1日30グラムずつの食物繊維を摂取してもらったんだそうな。そのうえで、みんなの変化をチェックしたところ、
- アラビノキシランはグルコースレベルには影響を与えなかったが、悪玉コレステロールを減少させた(胆汁酸の産生と腸内細菌叢の改善が原因っぽい)
- イヌリンは体内の炎症を適度に抑え、ビフィズス菌を増加させたが、コレステロールとグルコースのいずれにも平均して影響を与えなかった
- 食物繊維の摂取による反応は人によって異なり、アラビノキシランには反応しなかったが、イヌリンでコレステロールが低下した人もいた
って感じだったらしい。まー、あまりに参加者が少ないし、追跡期間も短いので、なかなか断定的なことは言えないんだけど、
- コレステロールを下げたいときはアラビノキシラン食品から始め、炎症を下げたいならイヌリンから始めるといいかも
- しかし、その効果には大きな個人差もあるので、結局はいろいろ試すのが大事だよねぇ
ぐらいのことは言えるんじゃないでしょうか。どちらにしても食物繊維を増やすのが大事ってとこは動かないので、あらゆる食物繊維を試してみるのがよいんじゃないかと。
人間関係を良くするには謙虚さがベスト説
「謙虚さは美徳!」って話は昔からよくあるんですが、新しい研究(R)によると、謙虚な人は恋愛関係でも満足度が高い!って結果になっておりました。
こいつは300人以上の参加者にオンラインアンケートを行ったもので、それぞれに「あなたはどれぐらい恋愛にコミットしてますか?」や「どれぐらい恋愛に満足してますか?」ってあたりを質問。それから、相手の謙虚さを測るための質問に回答してもらったんだそうな。
その結果、何がわかったかと言いますと、自分のパートナーは謙虚なんだよなぁと思っている人ほど、自分たちの関係に満足していたんだそうな。まぁ謙虚な人は対人関係がうまいってのも昔から言われることで、謙虚な人ほど、対立を解決する能力が高いみたいなんですよ。
研究チームいわく、
親密な関係における対立は、個人が謙虚にそれぞれの欠点を認めることができなければ解決は難しい。ケンカが起きた後の関係修復、より深い理解、感情的なつながりの向上を現実にするには、謙虚に自分のいたらなさを認める必要がある。
このように、謙虚な人たちのあいだに起きる衝突は、お互いの関係を悪化させるのではなく、より親密にする役割を果たす。
ということで、謙虚な人は自分の悪さも認められるので、そのぶんだけ問題解決が進みやすいのではないか、と。実際、過去の類似研究でも、謙虚な人は魅力的と評価されやすいし、自制心が強い傾向もあるし、ストレスが多いライフイベントによる悪影響も少ないと報告されてまして、なんだか良い事だらけみたいなんですよね。
ともすれば、現代ではでは自己主張がよしとされやすく、自分の業績や成功を声高に主張せよと言われることもありますが、どうもデータでは支持されないっぽいですな(おそらく短期的には自己主張をする人が強いので、印象にバイアスがかかるんでしょうな)。
エコはモテる!
「エコはモテる!」って報告(R)が出ておりました。エコな商品を買ったり、サステナブルな食品を買ったりと、環境に配慮した商品を買う人は、モテ度があがるかもしれないというんですな。
ここでは2つの調査を行ってまして、ざっくりと概要を申し上げますと、
- 調査1:ヘテロな男女483名(男性53%、平均年齢25歳)を集め、12種類の商品(シャツ、食器洗い機、グリル、電池など)のいずれかを購入した異性の写真の魅力を評価してもらう。それぞれの商品は4つのバリエーションにわけられ、それぞれ高価なもの、安価なもの、エコなもの、エコでないものの属性がつけられていた。すべての参加者は、写真の人物を、寛大さ、裕福さ、短期および長期の恋愛に対する望ましさといった観点から評価している。
- 調査2:ヘテロな男女605名(男性60%、平均年齢25歳)を集め、参加者の半数にはまず美しい異性の画像を複数提示。最もつきあってみたい相手を選ばせた。その後、すべての参加者に、上と同じ12の商品を買うかどうかを述べてもらう。
みたいになってます。エコな商品を買うかどうか?さらに高額商品を選ぶかどうか?って2つの軸で、人間の魅力度に変化が出るのかどうかを調べたわけですね。
というわけで、以下に結果です。
- 安価で環境に配慮した商品は、高価でエコでない商品よりもポジティブに評価された。さらに、男性よりも女性の方が、サステナブルで環境にやさしい製品をより高く評価していた。
- エコな製品を購入する人は(エコでない商品と比べて)、短期的な関係でも長期的な関係でも、恋愛相手としてより望ましいと認識された
全体的に、エコな製品を買う人は恋愛相手としての魅力が高いと判断されるみたいっすね。このような現象が起きるのは、おそらくエコな商品を買う人はより寛大だと思われやすく、それゆえに恋愛の相手としてもふさわしいと判断されやすいんだそうな。
日本でも同じ結果が出るかどうかは謎ですけど、エコのイメージについては似たようなもんでしょうから、本邦でも近い傾向は見られそうな気がしますね。要は、自分を寛大に見せるようなモノにお金を使うとモテやすいかも?ってことですな。