リラックスと痛みの軽減に効く【最強の呼吸法】はどれだ?
「呼吸法ってすばらしいですよねー」ってのはよく書いている話。ゆったりして一定のペースを心がけることで、ストレス緩和やら不安の改善やら複数のメリットを得られるんですな。
でもって、近ごろ呼吸法にかんして良い感じのデータが2つほど出てたんで、そこらへんを見ておきましょう。
リラックスに適した呼吸法はどれだろう?
まずはじめはルーベン・カトリック大学 などの調査(R)で、4種類の深呼吸の効果の違いをチェックしてくれたものです。具体的にどんな呼吸法を調べたのかと言いますと、
- 口すぼめ呼吸:鼻から息を吸い、唇をすぼめて息を吐くというもの。
- 片鼻呼吸:片方の鼻から息を吸い、同じ鼻または別の鼻から息を吐く。
- 負荷呼吸:高地トレーニングマスクみたいなものを使って呼吸し、吸気にかんする筋肉を鍛える。
- 普通の呼吸:とくに何も考えずに普通に呼吸する。
みたいになります。それぞれの呼吸は「1分間に14回」または「1分間に6回」のペースで練習したそうで、吸気と呼気の比率は1:2だったそうな(つまり、3秒で吸った場合は6秒で吐き、4秒で吸ったら8秒で吐く)。それぞれの呼吸法の練習時間は3分間だったとのこと。
実験の参加者は平均年齢21歳(18〜32歳)の男女が35名(女性20名)。呼吸トレーニングを行ったあとで、血圧、心拍数、圧反射機能、覚醒度などをチェックし、どの呼吸法が一番リラックスするのかを検討したところ、
- 負荷呼吸は心臓や血管の機能を高める働きがある
- 口すぼめ呼吸も心臓や血管の機能を高め、よりよい情動反応をもたらす
- 多く参加者は、口すぼめ呼吸のほうがより落ち着き、心地よいと報告した
って感じだったそうな。ストレスが激しくて手っ取り早くリラックスしたいときは、口すぼめ呼吸をゆっくりと行うのがよさそうっすね。
痛みに効く呼吸法はどれだだろう?
続いてふたつめの研究(R)は、48人の男女(73%が女性、平均年齢23歳)を集め、以下の呼吸トレーニングのいずれかを指示してます。
- 無拍子呼吸(要するに普通の呼吸)
- ペーシング呼吸(普段の自然な呼吸回数をキープする)
- 1分間に6回のゆっくりした深呼吸。吸気と吐気の比率が高い
- 1分間に6回のゆっくりした深呼吸。吸気と吐気の比率が低い
吸気と吐気の比率が高い呼吸ってのは、具体的には「6秒息を吸い、半秒息を止め、2秒息を吐き、1秒半息を止めるって感じです。一方で、吸気と吐気の比率が低いほうは、2秒吸って半秒息を止め、6秒吐いてから1.5秒息を止めるという感じです。
以上の呼吸法を行いつつ、参加者に痛みの刺激(3種類の熱)を与え、その痛みの強さを評価してもらったところ、結果はこんな感じになりました。
- 普通の呼吸と比較して、2〜4番目の呼吸をトレーニングしている間は、参加者は痛みにつよくなった
- なかでも痛みを減らしたのは、4番目の呼吸トレーニングだった
ってことで、痛みを軽減するのに最も効果的な呼吸法は、吐く息のほうが長い深呼吸みたいですね。これもなかなかおもしろい結果ですね。
いずれの研究においても、口をすぼめてゆっくり吐くのが大事ってところは一貫してまして、リラックスしたい時はこいつを意識してみるといいでしょうな。念のため、口すぼめ呼吸のやり方をメモっておくと、
- 鼻からゆっくり息を吸い込む
- 口笛を吹いたり、ロウソクをゆっくりと吹き消すようなイメージで口をすぼめ、息を吐く
- 息を吐くときは、無理に空気を吐き出さないようにせず、圧力で自然に空気が押し出されるのを待ち、一定したペースを保つ
って感じですね。ただし、この呼吸法は、不安やストレスが激増したときにだけ使うと、脳が「呼吸と不安はセットなんだ!」みたいに勘違いしてしまうかもなので、メンタルが冷静なときから日常的にトレーニングしておいたほうが、いざというときに役立つかと思われます。これは仕事をしながらでもトレーニングできるので、ぜひお試しあれ。