「他人とうまくやる方法」を「残酷すぎる成功法則」の著者が語っておられます
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「他人とうまくやる(Plays Well with Others)」を読みました。著者のエリック・バーカーさんは「残酷すぎる成功法則」で有名な作家さんで、前作が「成功の科学」みたいな内容だったのに対して、本作は人間関係に特化した内容になってます。あいかわらず良い感じに文献をまとめてくれていて、おそらく日本語版が出るんじゃないでしょうか。
ってことで本書から、個人的に勉強になったポイントをいくつか見てみましょうー。
人間関係のポイント1. 嘘を見破る最強の方法は「相手によく考えさせる」
- 統計によれば、大学生は会話の約3分の1でウソをつくとされ、私たちは平均で1日に200個のウソを聞かされている。
- そのため、世の中には「嘘を見抜く方法」がたくさんあり、たとえば「嘘つきは目を逸らす」は「ストレスが大きな時ほど嘘をつく」などがよく言われる。しかし、いずれも真実だと証明されたことはなく、1978年に行われた精神病棟での研究によると、嘘をつく人は逆に頻繁に人の目を見ると報告されている。また、人はさまざまな理由でストレスを感じるため、その人が嘘をついた原因がストレスなのかどうかは判断できない。
- 一方で、一貫して嘘を見抜くのに役立つのがわかっているのは「認知負荷」である。これは、簡単に言えば「いろいろなことを考えること」を意味する。
- 嘘をつくためには、相手と話すなかでリアルタイムで嘘を更新する必要があり、想像以上に認知的な労力を必要とする。そのため、「この人は嘘をついているのでは?」と思ったら、相手に予想外の質問をぶつけて、向こうの認知にさらに負荷をかけるとよい。嘘をついている人は、ただでさえ脳を酷使しているのに、さらに予想外の質問にも頭を使わねばならなくなり、ボロが出やすくなる。
調査によると、空港の警備員は嘘をつく乗客の5%未満しか発見できまないが、予想外の質問をさせてみたところ、嘘の発見率が66%に跳ね上がった。
- 予想外の質問の例を挙げてみると、明らかに未成年の人がバーで酒を頼んだとして、ここで普通に年齢を聞いても、相手はただ「20歳です」だけと答えるだけに終わる。しかし、ここで年齢を聞く代わりに「何年生まれですか?」と聞いてみると、脳をたくさん使わねばならず、嘘を見破るのはずっと簡単になる。
- それと同じように、検証が可能な質問をしてみるのもよい。たとえば、誰かが「昨日あの会議に出席していた」と言ったら、「上司はいつも身に着けているスカーフをしていたか?」と尋ねてみる。これは後から真実を確認できる質問なので、整合性を取るためには、かなり脳を使わねばならなくなる。
2. 友人を作りたいなら「時間」と「脆弱性」だ!
- 2008年にJournal of Socio-Economics誌に掲載された研究によると、収入の変化による幸福度の上昇はわずかだが、友人との時間を増やすと1年に約130万円分に相当するほど幸福度は増える。また、職場に3人の友人がいる場合は、自分の人生に満足していると答える可能性が96%高くなる。また、友人の多さは、心臓発作から1年後に生存しているかどうかも予測できる。
- デール・カーネギーは「友人を作るには、相手の立場に立って物事を見るように心がけるべきだ」と言ったが、調査によると、私たちは相手の立場に立つのが超苦手なことがわかっている。ニコラス・エプリー博士によると、見知らぬ人と接するとき、私たちが相手の考えや気持ちを正しく察知できる確率はわずか20%だと考えられる。この数字は、親しい友人との会話でも30%、夫婦の会話でも35%にしか上がらない。つまり、あなたのパートナーが頭で考えていることは、3分の2の確率で誤解する事になる。
- といっても、友人を作るために有効なのは、相手の立場に立つよりも「時間」と「脆弱性」の2つの方が重要である。
- まず「時間」は、「自分の時間を相手に与える」ことが非常に重要となる。ノートルダム大学の研究チームが800万件以上の電話を分析した研究によれば、最低でも2週間に一度は何らかの形で連絡を取らないと、友情は長続きしないことがわかった。逆にいえば、この最低限の頻度を守れば、友情はより長く続く可能性が高くなる。
- 次の「脆弱性」は、あなたが心の底で抱く恐れ、心配、心配などを相手と共有することを意味する。私たちは、ついこのようなことを隠したがるが、実際には、恐怖や心配を他人と共有することで、相手にこちらからの信頼を示すことができる。脆弱性は非常に重要であり、脆弱さを隠すと、友人関係が壊れるだけでなく、自分自身のメンタルと健康も破壊する可能性がある。
また、ペンシルバニア大学のロバート・ガーフィールド教授によれば、脆弱性を隠すと病気が長引かせる。それと同時に、心臓発作を起こす可能性も高くなり、その心臓発作が致命的なものになる確率は2倍にもなるとも報告している。
- 友人ができたら、さらにその友達を他人に紹介するのもよい。友人を持つのは素晴らしいことだが、コミュニティを持つことはさらに良い。2020年の研究によると、私たちは友人同士がつながっているときに、最もサポート感の向上を味わえることが分かっている。
3. ケンカは穏やかに始める
- 人間関係のエキスパートであるジョン・ゴットマン博士は、「もしあなたに特定のパートナーが存在し、その相手とまだ大きな議論をしたことがないのなら、できるだけ早くそうしたほうが良い」と発言している。実際のところ、恋愛関係の大半はケンカで終わるわけではなく、コミュニケーション不足によって引き起こされる調査によれば、現在進行中の夫婦問題の69パーセントは解決されておらず、パートナーと深い議論をするしか解決するすべはない。
- ただし、この「深い議論」は、対立を解決するために行うのではなく、あくまで互いの立場を確認して調整することが目的となる。調査によると、相手に対して愚痴をこぼすことは結婚生活にとって健全な行為であり、愚痴が無意味な批判にならなければ問題はない。つまり、「あなたはゴミを出さなかった」と言うのは健全だが、「あなたがゴミを出さなかったのは、あなたがひどい人だからだ」と言うのは批判になり、対人関係に問題を起こす。重要なのは、相手を批判することではなく、出来事に対処することだと考えたほうが良い。
- ここで重要なのは、人間関係の話し合いを穏やかに始めることである。ゴットマン博士の調査によれば、口論の最初の3分間で激しい口論が始まると、離婚の確率は確実にアップしてしまうす。しかし、話し合いを穏やかに始め、言い争いの最中にも、ほんの少し思いやりや優しさ、温かさを見せると、その後で言い争いの回数が34%少なくなり、言い争いは時間も半分になる傾向があった。
4. 結婚を長続きさせる秘訣は「興奮」
- 通常、結婚してから4年間を過ぎると、関係性の満足度は平均15〜20%下がる。ミシガン州立大学のリチャード・ルーカスによれば、恋愛の感情が長続きするかどうかを一番の予測する要素は、「相手のことをポジティブに錯覚し続けられるかどうか?」だとしている。恋愛の初期段階では、誰でも相手を素晴らしい存在として錯覚しているが、この錯覚をいかに持続させるかがポイントとなる。この事実を、ルーカス博士は、「相手と楽しいことや刺激的なことを一緒にしたから恋に落ちたのであって、そういうことを続けていれば恋は長続きする」とコメントしている。
- ポジティブな錯覚を維持するためには、一緒にエキサイティングなことをするのがベスト。研究者によると、ディナーや映画に出かけたカップルは、ダンスやスキー、コンサートに出かけたカップルに比べて、夫婦の満足度がほとんど上がらなかったとのこと。このような現象が起きるのは、パートナーと一緒に楽しいこと、ワクワクすることをすると、無意識のうちにその楽しさやワクワク感をお互いに結びつけるためだと考えられている。
5. 孤独とは一人でいることではない
- 2020年のパンデミック以前から、イギリスの医師の75%が「孤独を訴えて診察に来る患者が毎日現れる」と答えている。ある調査によると、米国で孤独を感じていると訴える人の数は、約6,200万人にのぼる。
孤独は非常に深刻な問題であり、私たちが想像できるほとんどすべての健康上のマイナス指標と相関している。ジョン・カシオポ博士の研究によると、孤独は身体的な暴行に匹敵するほど感情的なダメージがある。つまり、孤独によるストレスホルモンの上昇は、誰かに顔を殴られたときに経験するのと等しい。
- しかし、カシオポ博士による2003年の研究では、「自分は孤独だ」と答えた人の大半が、孤独でない人と同じだけの時間を他の人と過ごしているとの結果も出ている。なんだか矛盾するようだが、ここで重要なのは、孤独はあくまで主観的な感情であるということである。
孤独とは、実際に一人でいるかどうかは関係なく、人間関係に対してどう感じるかが重要だと言える。人間関係が希薄な場合、いくら他人に囲まれていても、自分一人しかいないように感じることはいくらでもある。
- そのため、もしあなたがいま孤独を感じているのなら、コミュニティの一員になるように努めるのがベストである。なんらかのグループに参加する、グループを作る、ボランティアに参加するなど、具体的な方法はなんでも良い。
- とにかく重要なのは、自分がグループの一員であると実感すること。孤独とは、単に他の人と過ごす時間の長さを意味するのではなく、離れていてもつながりを感じられる状態を保つのがめっさ大事になる。