【質問】いろいろやってもメンタルの不調が改善しないのですが……
https://yuchrszk.blogspot.com/2022/07/blog-post_06.html
こんなご質問をいただきました。
抑うつに悩まされていて、いろいろしていますが何も役に立ちません。どうにか運動もしているし、睡眠もがんばって改善しようとしていますが、だるさはなくなりませんし、頭もぼーっとしてますし、いつも横になっていいて落ち込んでいます。他にできることはないのでしょうか?
とのことで、睡眠や運動などの基本的な改善は頑張っているのに、どうにもメンタルが復調しないんだ、と。これはつらいものがありますねぇ……。
確かに、いろいろやってもメンタルが改善しないってケースはよく見られまして、これは確かに対策が難しいんですよね。私の場合も、会社員時代にメンタルをいわしたときは、なかなか改善しなくて難儀しました(そこまで運動してたわけじゃありませんが)。
ということで、運動や睡眠といった基本的な対策はしているのにメンタルがなかなか改善しないなーってときには、個人的には以下のあたりを押さえておくといいんじゃないかと。
- その他の症状を疑ってみる:どうしてもイライラ、疲労、無気力などの症状が改善しないときは、脳内のセロトニンやノルエピネフリンのバランスが崩れているのでははく、ほかのところに問題がある可能性があったりします。
メンタルの問題につながりやすい疾患としては、甲状腺機能の低下、ビタミンD不足、ビタミンB12不足、インスリン抵抗性または血糖値のアンバランス、貧血などが挙げられます。これをチェックするには、健康診断や血液検査を受けないといけないので、気になる方はお試しいただくといいんじゃないかと。 - 甲状腺のチェック:上にもちょっと書きましたが、甲状腺の問題はめちゃくちゃメンタルに影響しやすくて、ここに不調が起きると、一気に気分が落ち込んだりするんですよね。もしずーっと疲労や気分の落ち込みが改善しない場合は、甲状腺の機能をチェックしてみるのがアリかなと。
- ビタミンDとビタミンB-12:ビタミンDとビタミンB12の不足も、メンタルの悪化をもたらす大きな原因のひとつ。どちらも、深刻なメンタルの問題を引き起こす可能性がありまして、たとえばカナダの研究者が14の研究の系統的レビューをした文献(R)だと、ビタミンDの濃度とうつ病との間には密接な関連性があるとのこと。また、2009年の研究(R)では、重度のうつ病の高齢女性の4分の1以上がB12が足りなかったそうな。これもまた、意外と見過ごされがちなポイントでしょうね。
- 血糖の変動を調整する:気分と血糖値(グリセミック)の関係を示唆する証拠は増えてきてまして、血糖値のコントロールがうまくいかないと、イライラ、不安、心配といった精神的な症状が現れることが分かってたりします。実際、糖尿病患者の約25%がうつ病にかかるってデータ(R)もあったりして、これは気をつけたいところなんですよね。
また、2017年の前向き研究(R)では、糖分の過剰な摂取と一般的なメンタルの問題とのあいだに正の関連が認められてますんで、甘い食べ物や飲み物からの糖分摂取は、長期的なメンタルヘルスに悪影響を与えると結論づけられております。ということで、精製穀物やお菓子の摂取量が多い人はお気をつけください。 - ストレス軽減を徹底する:まー、ストレスがメンタルに悪いのは当然の話なんですが、同時に血糖の調節にマイナスの影響を与えることも示されますんで、その意味でもご注意いただきたいところです。特に急性および慢性のストレスによるホルモンの変化は、グルコースのバランスに影響を及ぼしますんで(R)。また、慢性的なストレスは、脳の海馬と扁桃体に悪影響をあたえ、記憶力を低下させ、ストレスを処理するのがさらに難しくなり、免疫力を低下させるため、こちらも対処は徹底したほうがいいっすな。
- 経頭蓋磁気刺激も視野に入れたりとか:経頭蓋磁気刺激(TMS)は、短い磁気パルスで脳の神経細胞を刺激する技術で、私も1回お試しでやってみたことがあったりします。まだまだ知名度が低い技法ですが、FDAの認可を受けてるし、日本でも保険診療が効くしで、長びくメンタルの不調にお悩みの方は、ちょっと考慮に入れてもよいのではないかと。
ということで、なかなかメンタルの不調が改善しないときにチェックもしておきたいポイントを見てみました。これに加えて、アルコールを控えるとか、タバコは止めるといった話もありますが、ここらへんは言わずもがななのでカットしました。こういった基本的な対策が実を結ばない場合は、ぜひ上のポイントが抜けてないかもチェックしてみてください。