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今週末の小ネタ:運動を習慣にするならこんな仲間を作ろう、睡眠の改善に効くオイル、湿疹の治療に効くかもなオイル


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

 

 

運動を習慣にするのに効果的な「仲間」ってどんな人?

運動を習慣にしたかったら仲間を作るのが一番」というデータは、昔からめちゃくちゃ多いわけです。習慣化のテクニックはたくさんあって、運動の記録をつけてみたり、運動後に自分へのごほうびを用意したりといった手法が定番ですが、いまのところは「一緒に運動をする仲間を作るのがベスト」って感じなんですよね。

 

 

で、新しくカナダの研究チームが発表したデータ(R)は、「なんで運動仲間はそんなに効果的なんだろう?」といったあたりを深堀りしてくれております。

 

 

研究の中身をざっくり言えば、過去のソーシャルサポート(仲間からの援助)に関する研究から、20件をピックアップした系統的レビューで、どのような仲間が運動を継続するのに役立つかを深堀りしてくれてます。その結果、なにがわかったかと言いますと、以下のような感じ。

 

  • 仲間を作ることで運動が続くのは、感情的なサポートを得られるからである。

 

感情的なサポートをくれる人ってのは、たとえばランニングに行きたくないときに愚痴をこぼすことができたり、HIITが辛いときにやる気を起こさせてくれるような相手のことです。仲間が運動に効くのは、運動にまつわるネガティブな感情のバッファになってくれるからなんですね。

 

 

一方で、運動習慣に悪影響をもたらすタイプの仲間もいまして、それは「ネガティブなソーシャルサポート」をよこす人だそうです。たとえば、運動を始めたあとで「やりすぎだよ」とか「ケガをするよ」みたいに、こちらを心配するようなコメントをしてくる人のことですな。もちろん、そういう人がこちらを心配してくれてるのは間違いないんだけど、この手のコメントは、やっぱり運動のモチベーションを下げちゃうみたい。

 

 

また、似たような観点として、友人やパートナーから運動のプレッシャーがあったときも運動が続かなくなりやすいのでご注意ください。要するに、「もっと運動をがんばろうぜ!」とか「運動しないとダメだぞ!」みたいに、こちらへ運動のプレッシャーを与えてくる人たちのことであります。まぁ普通に考えれば、何かを強要されたら、反発したくなりますもんね。

 

 

ということで、運動の仲間を作る際は、運動をするようにプレッシャーをかけたり、ネガティブなコメントを寄せてくる人ではなく、運動のグチをガンガンに言えるような相手を探していただけると良さそうです。

 

 

 

 

ビターオレンジのオイルでぐっすり眠れるようになるかも?

健康に良いと言われるエッセンシャルオイルはいくつかありますが、近ごろよく名前を聞くようになったのがビターオレンジであります。名前のとおりビターオレンジの果皮から精油を抽出したもので、鎮静作用や抗不安作用があるってデータがいくつか存在するんですよ。

 

 

そのため、アロマセラピーの世界では、ビターオレンジの精油を睡眠障害に使うことがありまして、実際に良い結果が出てるケースも少なくないんですな。そこで新しいRCT(R)では、「睡眠障害を持つ妊娠中の女性が、ビターオレンジ精油でよく眠れるようになったぞ!」って話になってておもしろかったです。

 

 

これは1ヶ月間のRCTで、睡眠障害を持つ68名の妊婦(妊娠28~34週)に、ビターオレンジ精油またはプラセボ(無臭アーモンドオイル)5滴を1日2回(朝・夜寝る前)、1回20分間のアロマテラピーを実施したとのこと。妊娠中は生理学的なホルモンの変化が起きるんで、睡眠の質に悪影響が出るケースが多いんですよね。

 


でもって、PSQIという定番のテスト使って睡眠の質を測定したところ、

 

  • ビターオレンジの精油を使ったグループは、PSQIのスコアが56%改善したが、プラセボ群では改善されず、試験終了時のグループ差は統計的に有意だった。

 

って結果が出たそうです。56%ってのは、なかなかすごい数値じゃないでしょうか。

 

 

もちろん、これは妊婦さんを対象にした試験なので、その他の人たちでも同じような効果を得られるかは謎ですが、ビターオレンジ精油に鎮静作用があるのは間違いないので、睡眠にお悩みの方は、試してみてもよいかもですね。

 

 

 

カヌカオイルは湿疹の治療に役立つかも?

上に続いてこちらもオイルの話です。新たなデータ(R)では「3%のカヌカオイルで湿疹が改善するかも?」と報告されていて、美肌を目指す人の参考になりそうでした。

 

 

カヌカオイルってあんま聞かないと思いますが、これはカヌカの木の葉と小枝から抽出した精油のことです。カヌカはニュージーランド固有種で、マヌカと同じフトモモ科の植物なんですが、α-ピネンやその他のモノテルペン類の濃度が高く、ニキビ、湿疹、ストレス、不安などに効く可能性があるんですよ。特にカヌカは抗炎症作用が大きいと言われてまして、ほかにもいろいろ使えるかもしれないんですよね。

 

 

で、この試験では、湿疹に対する3%カヌカクリームの有効性を評価していて、ニュージーランド全土の11のコミュニティ薬局で行われたそうな。試験の参加者は、中等度から重度の湿疹を持つ男女80名で、カヌカクリームまたはプラセボクリームを、1日2回ずつ6週間続けて塗るように指示したらしい。

 


でもって、ベースラインと6週目に湿疹のレベルを調べてみたら、結果は以下のようになりました。

  • 試験が終わった時、カヌカオイルのグループはプラセボグループに比べ、湿疹の改善スコアが大きかった。
  • さらに、カヌカオイルグループでは、湿疹のスコアが4以上改善した被験者の割合がより高かった。

 

ということで、あくまでまだまだ初歩的な研究ながら、今後に期待が持てそうな結果じゃないかと。いまのところは、まだ「美肌のためにカヌカオイルを使おう!」って段階ではないものの、ちょっと気にしておきたいですね。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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