あなたの人生をダメにする「完璧主義」を2週間で克服できるトレーニングの話
完璧主義はヤバい!ってのは、このブログでよく取り上げている話です。一例を挙げると、
みたいなのがありますね。当然ながら、世の中に完璧なものなんて存在しないので、そんな架空の状態を追い求めたら、メンタルに良くないのは当然なんですよ。
では、この完璧主義をどうすれば良いのかってことで、フロリダ州立大学などがナイスな研究(R)をしてくださっておりました。これは完璧主義の改善法について考えたもので、まずは研究チームによる「完璧主義の定義」を確かめておくと、以下のようになります。
完璧主義は、完璧でないものを「受け入れない」と定義される。
非常にわかりやすい考え方ですが、このような定義を大枠にしたうえで、さらに研究チームは、完璧主義の属性を以下のようにピックアップしておられます。
- ミスをすることへの過剰な心配
- 高い内的基準
- 正確さの過度の強調
- 自分の行動への疑念
いずれも納得のラインナップですけど、このなかでも完璧主義のコアだと言われるのが「ミスへの不安」で、完璧主義を治そうとするならば、このポイントに働きかけるのがベストだと考えられております。かく言う私もミスへの不安は大きいタイプでして、確かにこの要素が自分の足を引っ張っているなぁ……と思うことは多いですね。
そこで、チームは、完璧主義の傾向が強い76人の大学生を集め、そのうち半分に「完璧主義に対するエクスポージャー」という治療を行ったんだそうな。この治療は、1回約7分間の課題をオンラインで行うもので、全部で3種類のタスクが用意されていたとのこと。
ここで行われた治療の内容をひとことでまとめると、「わざとミスする体験を積もうぜ!」みたいになります。完璧でない感覚に慣れるために、わざと失敗をするトレーニングをさせて、やがてミスが気にならなくなるメンタルを鍛えていくわけですね。
そんな目標を達成するために、研究チームは、以下のようなタスクを指示しております。
- 図形の順序づけ:いろんな図形を1秒ずつ見て、20秒間でその順序を思い出す。条件が厳しいので、だいたい失敗する。
- 意図的な誤字脱字:フレーズや短い文章をコピーし、少なくとも3つの単語のスペルを間違うように指示される。
- 簡単な数学の課題:簡単な数学の問題を10秒ほど行う。しかし、問題のなかには正解がないこともあるため、必ず失敗するようにデザインされている。
ってことで、いずれも細かなミスを誘うようにデザインされてまして、このようなタスクを重ねることで失敗に慣れていくわけです。ワクチンみたいなもんですな。
さて、以上のトレーニングを2週間続けたら、結果はこんな感じになりました。
- 小ミストレーニングを重ねたグループはミスの心配レベルが下がり、完璧主義の全体レベルも低下した。
- ついでに、トレーニングをしたグループは、うつ病のレベルも低く、社会不安のレベルも低いことがわかった。
研究チームの予想どおり、小さなミスを体験するトレーニングは、完璧主義をやわらげてくれたみたいっすね。一般的な精神療法を使った場合、効果が出るまでは6週間から12週間かかることが多いので、2週間で改善が見られたってのはすばらしいですなぁ。この考え方は、ちょっと自分でも取り入れてみよう……。
もちろん、小規模なテストなので、どこまでの効果があるかはまだ未確定ですが、個人的にはこのトレーニングが役立つ可能性は高いだろうと思っております。すぐに自分でも試してみたいという方は、友人と難しめの謎解きに挑戦してみたり、友人にふるまう食事のひとつをあえて失敗してみたりと、できるだけリスクが少ない状況でミスを重ねてみると良いかもしれません。お試しをー。