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今週半ばの小ネタ:健康な人のメンタルもビタミンDで改善? アロエで傷の治りが速くなる? サウナで死亡リスクが減る?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

   

 

 

健康な人のメンタルもビタミンDで改善する!……かも

ビタミンDがメンタルに良い!って話は何度か書いた話です。ビタミンDってのは脳の機能を調整する働きがあるので、不足したらメンタルがやられてしまうのは間違いないんですよね。

 

 

ただ、ここでまだよくわかってなかったのが、「メンタルが健康な人にもビタミンDは意味があるのか?」って問題です。うつ病でない人のメンタルにも、果たしてビタミンDは意味があるのかってポイントですね。

 

 

ってことで、新しいメタ分析(R)では、過去に行われたビタミンD研究から29件をチェック。4,504人の参加者(13~85歳)を対象に、ビタミンDのサプリがメンタルの落ち込みに効くのかどうかをチェックしてます。

 

 

ここで取り扱われた試験の期間は4~144週間で、ビタミンDの平均摂取量は1日あたり200IU~10,714IUぐらい。 うつ病の症状スコアは、定番のBDIがもっともよく使われております。また、ほとんどの研究では、体内のビタミンDレベルが20ng/mL(50nmol/L)未満の被験者を対象としていたとのこと。

 

 

このメタ分析で扱われた参加者には、うつ病の人と、うつ病でない人の両方がふくまれていて、

 

  • うつ病と診断されていない人を対象とした研究は18件
  • うつ病と診断されている人を対象とした研究は11件

 

という内訳になってます。こんな感じで、「メンタルにそこまで問題がないけど、気分が落ち込んでいる人」にもビタミンDサプリが効くかどうかを調べたわけです。

 

 

でもって、結果は以下のようになりました。

 

  • うつ病でない参加者は、ビタミンDのサプリを飲むことで、メンタルの落ち込みのわずかな改善につながった。

 

  • うつ病の参加者では、ビタミンDのサプリを飲むことで、うつ病の症状を大きく減少させた。

 

  • サブグループ解析だと、ビタミンDの平均摂取量が1日2,800IUを超えるとうつ病の症状が軽減されるらしく、2,800IU/日以下では軽減されないっぽい。この現象は、うつ病の有無にかかわらず確認された。

 

ということで、これを見る限り、うつ病までいかない人にもビタミンDは意味があるかもしれないっぽいですね。

 

 

ただ、私が見る限り、このメタ分析にはよくわからんとこもありまして、

 

  • 理由はよくわからんけど、このメタ分析には、「うつ病でない参加者にはビタミンDの効果がなかったよー」と報告している研究がふくまれていない(わりと大規模な臨床試験)。この試験を分析にふくめていたら、ビタミンDの効果は減った気がする。

 

  • この研究では、用語の使い方が一部不正確なところがある(うつ病でない参加者のうつ病症状スコアを指すときに、「うつ病の発生率」と表現したりとか)。

 

みたいなところはひっかかりました。その点は注意が必要でして、個人的にも「どう判断していいかわからんなー」って感じなのですが、とりあえずビタミンDサプリは飲もうと思いました。

 

 

 

アロエで傷の治りが速くなる!……かも

その昔、「アロエは万能薬だ!はどこまで事実なのか問題」って話をアップしまして、「正直、アロエはまだ積極的に勧めるレベルではない」みたいな結論を書きました。世の中ではアロエは万能薬として有名ですが、実際にはそんなにデータがないよーって話であります。

 

 

で、そんな状況下、新たなメタ分析(R)では、アロエの塗り薬が本当に効くのかどうかを調べてくれていて助かりました。

 

 

これは、アロエに関する4つのランダム化比較試験をまとめたメタ分析で、合計133人の参加者を対象に、「アロエを塗ると傷が治るまでの時間は変わるか?」ってところを調べたものです。

 

 

4つの試験のうち、2つはアロエクリームを、2つはアロエジェルを使用していて、アロエを使わないグループには、スルファジアジン銀クリーム(3試験)およびリピドコロイドドレッシング(1試験)などの抗菌剤が使われたとのこと。また、標準的なケアとして,温かい石鹸水による傷の洗浄(1例)、毎日の水分補給と栄養補給(1例)、生理食塩水による傷の洗浄と過剰な水分除去(1例)なども行われたそうな。

 

 

治癒までの平均日数は16.6日から24.2日だったとのことで、この日数が短くなるかどうかで、アロエの実力を判断したわけですね。

 

 

でもって、分析の結果、なにがわかったかと言いますと。

 

  • アロエベラは治癒までの日数を平均4.4日短縮した。

 

だったそうです。要するに、アロエを使うと傷の治りが良くなるわけで、その意味では「美肌にも良いのでは?」って気がしてくるわけです。

 

 

もっとも、お気づきのとおり、このメタ分析はデータ数が少ないし、試験と試験の間にかなり結果の違いがあるし、バイアスのリスクも高いしで、結果に対する信頼度はわりと低いとお考えください。その点で、まだ「アロエはすばらしい!」と言いづらい状況ですが、試してみるぶんには良いかなーとは思いますね。

 

 

 

サウナで死亡リスクが減る!……かも

最後は、みんな大好きサウナの研究(R)です。まずは、この研究の結論から申し上げますと、

 

  • 週3~7回のペースでサウナを利用する人は、炎症による死亡リスクが減る。

 

みたいになります。「最高の体調」でも書いたとおり、慢性炎症は万病のもとなんですが、この問題にサウナが効くのではないか?って話ですね。定期的なサウナによって慢性炎症の問題がやわらぐかもしれないってのは、すばらしい話ですね。

 

 

これは、フィンランドの高齢男性2,575人(平均52歳)を対象にした前向きコホート研究で、みんなを平均28年間にわたって追跡調査したものです。 具体的には、研究のスタート時に、「みんながどれぐらいサウナに入っているか?」と「みんなの肉体がどれぐらい炎症しているか?」(hsCRPで評価)を調べ、その後の死亡率と比べたんだそうな。サウナの利用回数は、「低(週2回以下)」と「高(週3〜7回)」に分類されております。

 

 

でもって、結果を端的にまとめると、こんな感じになります。

 

  • hsCRPの数値が高い人は、全死亡のリスクが28%上昇していた
  • サウナ入浴の頻度が高い人は、全死亡のリスクが15%低下していた
  • hsCRPの数値が高くてサウナ入浴の頻度が低い参加者は、hsCRPが正常でサウナ入浴の頻度が低い参加者と比較して、全死亡のリスクが28%増加していた
  • しかし、hsCRPの数値が高くてサウナ入浴の頻度が高い参加者では、全死亡のリスクは増加しなかった。

 

ということで、体内の炎症が大きい人の死亡リスクが高いのは当たり前として、この問題を週3〜7のサウナがやわらげてくれるかもしれなしわけっすね。まー、週に3〜7もサウナに入るのは大変だし、この研究だと1回ごとにどれぐらいサウナを使っているのかもわからないので、いまいち現実の生活に応用しづらいんですけど、「やっぱサウナは炎症対策に良いのかなー」とは思いますね。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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