今週半ばの小ネタ:ビタミンDがメンタル改善に効くのでは? ヨガが頭痛に効く? 辛い筋肉痛にクルクミンが効く?
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。今回は3本ともメタ分析になりました。
ビタミンDのサプリってメンタル改善に効くのでは?のメタ分析
ビタミンDがメンタルに効く!って話はわりと昔からあったりします。たとえば、2013年の研究(R)ではビタミンDが足りない人はとうつ病になりやすいと報告されてたり、2011年の別の研究(R)ではビタミンDは炎症を抑えるのに役立つからメンタルにもよさそうだよーと言ってるんですよ。
ただし、これまでビタミンDとうつ病の関係を調べた質の高い研究(R)は、結果がバラバラだったのが難しいところです。そもそも、うつ病はまだ原因がハッキリしないので、おのずと調査にも限界が出てきちゃうんですよね。というか、抗うつ薬ですら、効果の現れ方がバラバラですしね。
ということで、今回のメタ分析は、世界中から集めた41件の研究をもとに53,235人分のデータを分析してくれています。これまでに発表されたものの中で最大規模でして、2022年9月の時点ではもっとも信頼できる内容だと言えましょう。
では、結果をだだーっと見てみましょうー。
- ビタミンDのサプリは、うつ病患者の症状をやわらげる働きがある。
- 1日あたり2,000IUかそれ以上のビタミンDサプリで、うつ症状が減る可能性がある(ただし、その効果が得られる確実性は非常に低い)
- 体内のビタミンDレベルが50nmol/L未満(低ビタミンDのギリギリライン)の人は、サプリの効果がわずかに大きかった。
- 1日4,000IU以上摂取した人はより大きな効果があったが、こちらも確実性は低め。
そんなわけで、いまんところは「ビタミンDはメンタル改善の見込みがある!」と言ってよさげっすね。まー、研究の参加者がバラバラなのと、36.6%の研究がバイアスのリスクが高いと判断されているのとで、科学的な証拠としてはまだ弱いんですけど、1日あたり2,000IUのビタミンDなら安全性も高いですし、使ってみるのは悪くないでしょうね(ビタミンDのベストバイについては、こちらにまとめております)。
ちなみに、なんでビタミンDがメンタルに良いのかはまだわかってませんが、現時点では、ビタミンDが免疫系のバランスを取ってくれて、体内の炎症が減るのでは?ぐらいに考えられてますね。気になる方はどうぞー。
ヨガが頭痛に効くぞ!のメタ分析
お次は、ヨガが頭痛に効く!というメタ分析(R)のお話です。
ご存じのとおり、片頭痛も対策が非常に難しい問題のひとつで、いまだにこれといった治療法がないのが現状であります。私は頭痛に悩んだことがないのでよくわかりませんが、頭痛がヒドい知人を見ていると、いったん症状がはじまると仕事は手につかなくなるし、うつや不安にハマってしまったりで、「大変だなぁ……」と思ってたりします。
そこで、近ごろよく言われるのが「ヨガが頭痛に効くのでは?」という説。今回のメタ分析では6つの研究をまとめていて、片頭痛と診断された男女445人(平均30~44歳)を対象に、「一般的な頭痛の治療と比べてヨガはどれぐらい意味があるのか?」を調べてくれてます。メタ分析としては人数が少なめですが、6つの試験全てが高品質でして、それなりに信頼度が高い内容ではないかと。
また、全研究のうち5つの試験はアジアで行われたもので、ここらへんは日本人にとってうれしいポイントですね。試験の期間は6週間から3ヶ月あいだで、頭痛の痛みの強さや、発生する回数などへの影響を調べております。
では、結論を見てみましょうー。
- ヨガには頭痛の痛みの強さを軽くする効果がある。
- ついでに、ヨガは頭痛の頻度と持続時間も減らす可能性もある。
とのことで、やっぱヨガは頭痛対策に役立ちそうな感じですね。もちろん、ここで使われた研究はサンプルサイズが小さいし、そもそも「偽ヨガ療法」を設定するのが難しいので、「ヨガで頭痛が減るのは間違いない!」とはとても言えない感じではありますが。
ちなみに、ヨガが頭痛に効く理由は謎なんですけど、個人的には、「ストレスに効いてくれるからだろうなー」と思っております。ストレスが頭痛の原因のひとつであるのは有名だし、ヨガがストレス解消になるのもよく知られた話ですからね。また、ヨガには睡眠の質を高めたり、血圧と心拍数を低下させる働きもありますんで、そこらへんの作用も大きいんでしょう。
いずれにせよ、ヨガは安全にストレスをコントロールできる良い手法なので、頭痛が起きたら試してみるのはアリでしょうね。
辛い筋肉痛にクルクミンが効くぞ!のメタ分析
最後は、クルクミンで筋肉痛がやわらぐ!というメタ分析(R)のお話です。ご存じのとおり、筋肉痛ってのは高強度の運動や不慣れな運動をしたあとで起きる痛みのことで、だいたいは筋肉の痛み、腫れ、筋力低下、関節の可動域の減少などが起きることが多め。
これは、筋肉がダメージを受けて炎症を起こすのが主な原因で、そのため「炎症をやわらげる物質は筋肉痛に効くのでは?」と昔から言われてきたんですね。その点で、クルクミンは、現時点で抗炎症と抗酸化パワーがトップクラスの成分なので、当然ながら筋肉痛にも効く可能性が高いわけです。
ってことで、このメタ分析では10件の研究から合計316人分のデータをまとめ、クルクミンのサプリで筋肉痛が減るのかをチェック。クレアチンキナーゼ(筋肉損傷のマーカー)、筋肉痛、炎症マーカー、筋力などを調べたんだそうな。実験の期間は、介入期間は1~56日のあいだです。
で、結果は以下のような感じでーす。
- クルクミンのサプリは、クレアチンキナーゼのレベルを減少させた(つまり、筋肉ダメージが減った)
- クルクミンのサプリは筋肉痛も減少させたが、この効果は運動後 96 時間でのみ統計的に有意だった。
- さらに、クルクミンのサプリは体内の炎症を減らし、そのおかげで筋力と関節の可動域も増加させた。
- クルクミンのサプリを使う際は、 300 mg が最適な用量だと考えられる。
ということで、全体的に見れば「やっぱクルクミンってよさそうだなー」って印象ですね(試験のバイアスはほとんどが中程度なので、これからの調査でひっくり返る可能性も十分ありますが)。
ちなみに、この分析で使われたクルクミンサプリは、以下のようになってます。
なんでこんないろんなクルクミンを使っているのかと言いますと、クルクミンが体に吸収されづらい成分だからです。なので、この問題をクリアするために、いろんな企業がクルクミンを安定化させようとがんばってるんですよ。この点については、「健康食品『ウコン』(ターメリック)には薬効はない?は本当か問題」にくわしくまとめたので、興味がある方はどうぞ。
また、この問題をクリアした優良クルクミンサプリについては、「ベスト『クルクミン』サプリはこれだ!」にまとめてますんで、こちらもあわせてどうぞー。