ホワイトノイズで仕事のパフォーマンスが上がる!説
「パレオダイエットの教科書」では、「雑音で夜に眠れないときはホワイトノイズを使おう!」ってアドバイスを書いております。
ホワイトノイズってのは、すべての周波数をほぼ等しくふくむ雑音のこと。他の雑音をマスキングしてくれる効果があり、おかげで睡眠に入りやすくなるんですよ。具体的にはこんな音です。
ということで、世の中には快眠用のホワイトノイズマシンなども出回ってまして、Dreameggなんかが有名ですね。
といった状況下、新しい研究(R)では、「ホワイトノイズは仕事のパフォーマンスアップにも効く!」って結論になっておりました。
実は「ホワイトノイズが集中力の改善に良いのでは?」って話は昔からあって、主にADHDの子どもたちの記憶力や注意力が上がったとする研究は、2000年代からいくつかあったんですよ。
しかし、「一般的な人でもホワイトノイズで集中力が上がるのか?」って問題については、いまのところ研究例が少なく、実際の効果は謎のままだったんですね。そこで、今回の研究では、南カリフォルニア大学などのチームが実験を行い、ホワイトノイズが認知に及ぼす影響をチェックしてくれたわけです。
実験の参加者は39名の若者で、まずはみんなを個室に集めて、注意力、ワーキングメモリ、創造性テスト(「『城、出前、詐欺』の共通点は?」みたいな問題に答えてもらう)、集中力テストなどを受けるように指示。その際に、みんなの皮膚の電流の流れやすさを測定し、ストレスレベルの指標としたんだそうな。
で、ここで参加者には、4パターンの条件で作業をしてもらってます。
- ヘッドホンをしないで作業をする
- 45デシベルの静かなオフィスノイズがある環境で作業をする
- 45デシベルのホワイトノイズを聞きながら作業をする
- 65デシベルのホワイトノイズを聞きながら作業をする
それで、どのような違いが出たかを、さっそく見てみましょうー。
- 65デシベルのホワイトノイズを流すと、ワーキングメモリのテストのパフォーマンスが向上した。しかし、同時にストレスも増加する傾向があった。
- しかし、45デシベルのホワイトノイズを聞くと、持続的な注意力と創造性が向上し、ストレスは増えなかった。
ということで、この研究を見る限り、45デシベルのホワイトノイズは健康な一般人の脳力を向上させてくれるかもしれないわけですね。
では、なんでホワイトノイズで脳のパフォーマンスが上がるのかと言いますと、研究チームは2つのポイントを提示しておられます。
- 人間の脳は、中枢神経系にある程度のバックグラウンドノイズがあったほうが、本当に重要な神経信号が際立ち、そのぶんだけ検出されやすくなる。当然、重要な信号が検出されるほど、認知のパフォーマンスも上がることになる。
- 神経伝達物質であるドーパミンのレベルが低いと、神経のノイズが減少し、認知パフォーマンスが弱まる可能性がある。その点で、ホワイトノイズは、ドーパミンに関連するる神経ノイズの欠損を打ち消すことができ、そのおかげで認知面でのパフォーマンスが上がるのかもしれない。
いずれにせよ、ホワイトノイズの効果ってのは、バックグラウンドの神経ノイズが関わっているのではないか?ってことですね。
まー、まだまだ初歩研究の段階ですし、この研究で見られた改善のいくつかは非常に小さいものなので、実際に現実世界で役立つほど仕事のパフォーマンスが上がるのかは不明だったりします。その点はご注意ください。
といっても、ホワイトノイズが睡眠に効くのはほぼ間違いないのと、ホワイトノイズを聞きながら仕事をするぐらいなら簡単でコストもかからないので、ダメ元でお試しいただくといいんじゃないでしょうか。別にホワイトノイズマシンなどを買わなくても、スマホの無料アプリとかで十分いけますからねぇ。