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マインドフルネス瞑想トラブルシューティングガイド#2「注意力が保てません……」

 



 そんなわけで、マインドフルネス瞑想トラブルシューティングガイドの続きです。ここでは、「マインドフルネス瞑想」に関して定期的にいただくご質問へのお答えを、私の経験ベースでまとめております。

 

 

 

Q.注意力がどうしても保てないんですが……

どうしても気が逸れちゃうのは、瞑想をやってれば必ず起きる自然現象の一部。実際、私も瞑想中はいまだに気が逸れますし、別に心配しなくてもいいんじゃないかと思っております。

 

が、そう言われても不安になる人はいるでしょうから、いちおう対策らしきものを書いておくと、こんな感じになります。

 

  • 電話、パソコン、テレビなど、ブザーやビープ音が鳴るものはすべて電源を切っておく。
  • 自分のための静かな時間を尊重するよう、家庭内の全員にお願いしておく。
  • 瞑想の前に対処できる用事や重要な用事があれば、あらかじめ処理しておく。

  • 注意散漫はラッキーなのだと考える。瞑想ってのは、気が散った自分に気づくのが最も重要なポイントなので、雑念ってのはある意味で「瞑想強化チャンス」だと言えるんですよね。そんな感じで捉えてもらうと、「雑念は"注意筋 "を鍛える味方なのだ!」って気分になれるんじゃないかと。
  • 「思考は自己とは別のものだ!」って態度を取る。心の中に思考がわいてきたら、「○○と考えた」「○○と思った」みたいにコメントしてみると、他人事のような姿勢が生まれて、注意が戻りやすくなりますんで。

 

私の場合は、「雑念はチャンスだ!」って考え方が一番効果がありまして、このおかげで「注意が逸れた→ダメだ!」ではなく、「注意が逸れた→それに気づけた!」って方向に意識が向くようになりましたんで、自分の注意力不足にお悩みの方はぜひお試しください。

 

ちなみに、瞑想が苦手な人の中には、「注意力がそれてはいけない!」みたいな不要な思い込みにとらわれているケースが多かったりします。たとえば、こんな感じですね。

 

  • 「思考を止められない!」→思考を止めるのが瞑想のポイントじゃないので、ここにこだわっても意味がない。
  • 「じっとしていられない!」→瞑想に静止は必要ないので、ガンガンに動いても問題ない。
  • 「私は忍耐力がない!」→忍耐力が本当にないかどうかは、少なくとも1カ月は練習してみないとわからない。
  • 「瞑想は私に合わない」→こちらも、少なくとも1カ月はコンスタントに練習してみないと、自分に合うかどうかは判断できない。
  • 「これは時間の無駄だ」→まぁ最近はマインドフルネス瞑想の効果についても、良いデータがそこそこ増えてきましたんで、もうちょい試してみちゃいかがでしょう。

 

 

 

Q.瞑想をしてると緊張してリラックスできないんですが……

たいていは瞑想すると体から力が抜けるものですが、一部には緊張やストレスが逆に激増するケースも見られたりします。その原因の多くは、緊張やストレスと戦ったり、無理に押さえつけようとしたりといったケースで発生することが多めっすね。そうならないためには、

 

  • 身体の部分で、緊張やストレスを最も感じられるかを探っていく。
  • 自分が感じている緊張とストレスの質感、形状、大きさに名前をつける(「目の粗い紙やすり。手のひらサイズ」みたいな感じ。あくまでも自分の主観的なメタファーでOK)。
  • 好奇心を持って、「この緊張はなにを何を伝えようとしているの?」と身体に質問してみる。別に正解はないので、その答えを考えるのが大事。

 

といった対策がわりと効きます。どれも、緊張&ストレスと自分のあいだに距離を作るので、そのぶんだけ問題を受け流しやすくなるんですよ。お試しください。

 

 

 

Q.瞑想をしてると体が痛んだりかゆくなったりします

ずっと瞑想をしていると、身体の不快感が強くなってしまうケースもかなり多め。これは、たんに同じ姿勢のせいで体が痛くなるせいもありますし、注意力が増したせいで腰痛や頭痛が実際よりも強く感じられることもあったりします。

 

このような身体の不調を改善するためには、以下のような方法をお試しください。

 

  • いろいろな大きさのクッションを試してみる。
  • 椅子に座る場合は、背中の後ろにクッションを置き、圧力や緊張をほぐす。
  • マインドフルに立ち上がり、ストレッチをしてから、また座る。
  • 椅子に座ったまま、別の椅子や本の山に足を乗せて脚を上げる。
  • 背筋が伸びているかどうか、鏡を見て自分をチェックする。

 

ここで一番大事なのは、「別に同じ姿勢をとり続ける必要はない」「かゆみが出たら普通にかいてもいい」ってとこです。ストイックな人だと、「かゆみを観察すれば自然とおさまる!」みたいな指導をする人もいるし、それが間違いだとも言わないんですが、そのせいで習慣が続かなくなっちゃうのが一番の問題なんで、体が痛くなったら姿勢を変えれば良いし、かゆくなったら普通にかいちゃってください。

 

 

 

Q.瞑想をしているとネガティブな感情が暴走するんですが……

マインドフルネス瞑想をやっていると、どうしても意識が内面に向かうので、なかにはネガティブな感情が強調されてしまう人も珍しくありません。私の場合も、急に昔の嫌な記憶が蘇って、怒りやイライラ、悲しみが襲ってくるようなケースは、普通に瞑想をしててもよくありますしね。

 

まー、瞑想ってのは、どんな感情も受け入れて観察するのが基本なので、「ネガティブな感情も観察だ!」ってのが正しい対処なんですけど、あまりに感情が強いと難しいこともありますからね。その場合は、以下の対策をお試しください。

 

  • 背筋を伸ばしまくって座る:人間ってのは、前向きな姿勢の時にネガティブな感情を抱き続けるのは難しいので、とりあえず身体から変えてアプローチしてみる。

 

  • 自分の身体に意識を向けてみる:多くの場合、感情は体に表れるので、自分の身体にはどんな変化が起きたかをチェックしてみるのも有効な対策です。「胃や心臓や首のあたりが締め付けられる感じがする……」とか「後頭部が熱を持っている……」とか、ネガティブな感情による身体の変化は人それぞれでして、その点を認識するだけでも、意外と感情に耐えやすくなったりするんですよ。

 

  • 身体の変化した部分に息を吹き込む:これはイメージ療法のひとつで、ネガティブな感情によって変化した身体部に、吸い込んだ息が行きわたる様子をイメージしていきます。「後頭部が熱を持っている……」と思ったなら、息を吸いながら、酸素が後頭部に広がっていく様子を思い描くわけですね。子供だましのようですが、意外と効果がありますんで、お試しあれ。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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