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今週の小ネタ:コーヒーと紅茶を飲む人ほど頭が良い説、アントシアニンで頭が良くなる説、ココナッツオイルでメタボが改善する説


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

 

 

コーヒーと紅茶を飲む人ほど頭が良い説

コーヒー、紅茶、カフェインが体に良いことはもはや常識ってことで、新しく出たメタ分析(R)も、お茶とコーヒーのメリットを掘り下げる内容になってました。その結論を一言でまとめると、

 

  • コーヒー、紅茶、カフェインの摂取量が多い人ほど、認知障害のリスクが低下する!

 

みたいになります。体に良いものが頭にも良いのは当然なんで、お茶とコーヒーを飲む人ほど脳が衰えにくいのは、よく分かる話ですね。

 

具体的には、この研究では、合計389,505人の参加者(45-96歳)に行われた観察研究をまとめてまして、このうち18,459例が認知障害だったとのこと。33の観察研究(22の前向きコホート研究と11の症例対照研究)をベースにメタ分析を行ってまして、追跡期間は1.3年から28年だったそうな。

 

また、コーヒーの摂取量は1日1杯未満から8杯までに分布し、紅茶の摂取量は1日0杯から1日5杯までだったらしい。その上でデータをまとめてみると、結果はこんな感じになりました。

 

  • コーヒーの摂取量が多い人ほど、認知障害のリスクが27%低かった。特に認知症についてはリスクが30%低かったが、軽度の認知障害に関しては違いがなかった。

 

  • 用量反応分析によると、1日2.5杯のコーヒーで認知障害リスクが最も減少していた。

 

  • お茶の摂取量が多い人ほど、認知障害のリスクは32%低かった。用量反応解析では、1日1杯のお茶を追加で摂取するごとに、認知障害リスクが11%低下した(ただし約6杯ぐらいが限界っぽい)。

 

  • カフェイン摂取量が多い人ほど、認知症および軽度認知障害のリスクはそれぞれ31%および29%低かった。

 

ということで、やはり「お茶とコーヒーは脳に良い!特にお茶はいいねー」という感想っすね。このタイプの調査で30%ぐらいの違いが出るってのは、かなり良いことなのではないかと。

 

ちなみに、このメタ分析は、コーヒーと紅茶の消費に関する詳細が欠けてまして、特にお茶の種類を区別した研究はほとんどなかったのでご注意ください。なので、認知障害のリスクを減らすのに役立つベストなお茶があるかどうかは謎であります。

 

あと、ほとんどの研究は、年齢や教育レベルで結果を調整してるんだけど、アポリポ蛋白E(認知障害の主要な危険因子)、BMIなどで調整した研究はほとんどないのも、やや辛いところではあります。そのせいで、未知の原因が結果に影響している可能性はかなりありますんで。まぁ個人的には、今回の結果が追試で完全に覆ることはないと思うんですけど、具体的な効果のレベルについては、もうちょい調査が必要かなーってことで。

 

 

 

アントシアニンで頭が良くなる説

アントシアニンといえばブルーベリーなどに豊富なポリフェノールの一種。私も日常的に大量に摂取しているわけですが、新しいデータ(R)は、「アントシアニンが豊富なスープを飲むと頭がよくなるかもよー」という結論になってておもしろいです。

 

まー、細かく言うと、認知機能に関する脳波の一部が改善され、脳由来神経栄養因子が増加したって話なので、アントシアニンですぐに頭が良くなるかと言われれば謎ながら、とにかく脳に良さそうな雰囲気はガンガンに漂っております。

 

これは69人の男女(45~65歳)を対象にした試験で、実験の期間は8週間。参加者を3つのグループに分けまして、

 

  1. 2グラムのアントシアニンを含むスープを毎日飲む
  2. 4グラムのアントシアニンを含むスープを毎日飲む
  3. ニセのポリフェノールスープを毎日飲む

 

って感じで割り振ったところ、アントシアニンスープを飲んだ人たちは、わりと良い結果が出たらしい。

 

  • 2グラムスープ群と4グラムスープ群では、プラセボ群と比較して、反応時間と注意力に関連する脳波パターンが改善、数字ワーキングメモリーテストの正確性の向上、便pHの低下、BDNFレベルの上昇が見られた。

 

  • 2グラムスープ群は、プラセボ群より便中のビフィズス菌が増加し、4グラムスープ群はプラセボ群より便中の短鎖脂肪酸が増加した。

 

  • いずれのグループもドライアイに有意差はなかった。

 

ということで、アントシアニンを飲んだグループは、全体的に脳の働きがよくなったみたいっすね。おそらくポリフェノールのおかげで腸内環境がよくなり、それにともなって認知にも良い影響があったのかな?みたいな感じです。

 

もちろん、ポリフェノールが本当に脳に良いかはまだ議論があって、1,976人を対象にした最近のメタ分析(R)だと、「ポリフェノールのサプリを飲んでも脳の実行機能に変化はなさそうだよ」みたいな結論も出てたりします。なので、個人的には、ポリフェノールが脳に良いかどうかはかなりの個人差があるのかなーって印象を持っております。腸内環境がからむと、一気に個人差の問題が大きくなるのは、よくあるケースですからねぇ。

 

ってことで、まだまだわからない分野ではあるものの、アントシアニンを積極的に飲んでみるのも悪くないかなーと思った次第です。

 

 

 

ココナッツオイルでメタボが改善する説

ヴァージンココナッツオイルって体に良いんじゃないの?とはよく言われる話。ステロール、トコール(ビタミンEの異性体)、フェノール化合物を多く含むのと、脂肪酸の約15%を中鎖トリグリセリドが占めているため、他の油よりも良い可能性はあるんですよ。

 

無論、だからといって「ココナッツオイルをがぶ飲みしようぜ!」って話にはならんのですけど、普段使っているサラダ油をココナッツオイルにしてみるのはアリじゃないかと思うわけです。

 

で、新しいデータ(R)もヴァージンココナッツオイルのメリットに関する話で、こちらも結論から言っちゃうと、

 

  • ヴァージンココナッツオイルの摂取は、メタボリックシンドロームに悩む成人のインスリン感受性と抗酸化状態を改善する!

 

みたいになります。具体的には、イランの男女44人(20~50歳)を対象にした試験で、メタボリックシンドロームの基準(肥満、高中性脂肪、高血圧など)を満たす人だけを選んだらしい。

 

実験の期間は4週間で、

 

  1. 1日30ミリリットルのヴァージンココナッツオイルを摂取(飽和脂肪酸88%、不飽和脂肪酸12%)
  2. 普段の食事を続ける

 

ってどちらかを選んで続けてもらったそうな。ちなみに、過剰なカロリー摂取を防ぐために、参加者は普段使っている油を減らし、その代わりに、調理済みの食品、コーヒー、ミルク、スムージー、紅茶などにココナッツオイルを加えて飲むように指示されたそうな。

 

すると、ココナッツオイルを飲んだグループは、そうでないグループと比べてインスリン値、HOMA-IRが改善し、QUICKIスコアも高くなったそうな。簡単に言えば、ココナッツオイルのお陰で、メタボな人の糖の代謝がよくなったわけですね。

 

ちなみに、ココナッツオイルグループは、普段はコーン油とヒマワリ油をよく使っていたそうで、これがオメガ6系脂肪酸の摂取量の増大につながっていたっぽい。これをココナッツオイルに置き換えれば、そりゃあある程度の改善は見られるだろうなーって気がしますね。メタボにお悩みの方は、とりあえず油を変えるとこからスタートしてみるのも良いんじゃないでしょうか。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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