【質問】人工甘味料が入ったプロテインは体に悪いですか?
こんなご質問をいただきました。
人工甘味料が入ったプロテインは体に悪いですか?簡単に手に入るプロテインは、みんな人工甘味料が入っているので、なんだか心配になります。プレーンを使えばいいのかもしれませんが、やはり人工甘味料が入ってたほうが飲みやすいので……。
ってことで、人工甘味料が入ったプロテインは、体に良いのか悪いのかって疑問ですね。まー、ネット上をちょっと検索してみると、
- 「人工甘味料は最悪だ!太るし癌になる!」派
- 「人工甘味料は問題ない!逆に健康に良い」派
がキレイに2分されていて、判断に困っちゃうかもしれません。しかも、どちらの陣営も、それなりのデータをもとに論じてたりするんで、いよいよ判断が難しくなっちゃうところなんですよね。
で、人工甘味料についてはこのブログでも何度か取り上げていますが、いまだ私の立場は変わっておりません。ひとことでまとめてみると、
- 基本、特に心配はしていない。ただし、軽い心配はあるので、積極的には伝えない。
って感じです。人工甘味料の安全性についてはほぼ心配してないんですけど、積極的に使うほどのメリットもないかなーぐらいの感じですね。
この話をもうちょいくわしくまとめてみると、以下のようになります。
- 人工甘味料と体重増加について:ちょっと前には、「人工甘味料で体重が増える!」と指摘するデータが流行ったことがあった。これは人工甘味料が脳をだまし、満腹感を促進するのが原因とされていた。
しかし、近年はより厳密で質の高い研究が進み、WHOも「長期的には人工甘味料は体重を増やさない(ただし、減らしもしない)」ってポジションに落ち着いている。ちなみに、短期間の試験であれば、人工甘味料によって体重と脂肪が減ったという報告のほうが多かったりはする(R)。
人工甘味料入りのプロテインについても話は同じで、ホエイプロテインを飲んだグループの食事量が増える現象は確認されていない。これは、タンパク質が満腹感をもたらしたのも大きいかもしれない。
というわけで、この点については、個人的には別に心配してない。
- 人工甘味料と発がん性について:「人工甘味料で癌に!」という主張は今も多いが、大半は動物実験のデータをもとに論じているケースが多い。
たとえば、よく引き合いに出されるデータ(R)だと、実験用のラットは一般的な1食分の550倍の人工甘味料を摂取させられてたりして、これを人間に適用するのはかなり無理。
逆に、通常の摂取量であれば人工甘味料にはなんの問題もないことが、大規模な研究でくり返し判明している(R)。なので、この点についても、なんの心配もしていない。
- その他の心配点:その他、人工甘味料について言われるのは、「人工甘味料が腸内細菌に悪影響を及ぼす!」「インスリンの働きが鈍くなり、実際に糖分を摂取したときに過剰反応を起こす!」「甘いものへの欲求が増す!」といった不安が指摘されているが、いずれも研究が十分でないので「よくわからん!」という結論しか出せない。
個人的にはそんなビビる必要はないと思うものの、このあたりは「積極的には使わないかなー」と思わせるポイントになっております。
まぁ、確定的な問題としては、アスパルテームにはフェニルアラニンというアミノ酸が含まれているので、それを分解する酵素を持たないフェニルケトン尿症の人は注意が必要なのは間違いないところ。そこはご注意ください。
ってあたりが、人工甘味料の大きなまとめになります。ご覧のとおり、人工甘味料については、危険を煽るような記事はいくらでも書けるし、逆にメリットを保証するような記事もガンガン書けるしって状況なので、そういった極端なものを見かけたら薄目で眺めておくのがオススメであります。
まー、それでも人工甘味料を使うのが嫌だったら、プレーンの商品を買った上で、
- ステビアで甘味づけする(私が監修した「ハイブリッド腸ファイバープロテイン」も)
- ハチミツで甘味づけする
- フルーツと混ぜてスムージーにする
といったあたりをお試しください。個人的には、カロリーをそんなに増やしたくないならステビアを使い、プロテインと同時に植物栄養素や抗酸化物質も摂取したいならフルーツと混ぜるのが良いんじゃないかと。
一方で、ハチミツやヤーコンシロップ、ココナッツシュガーといった他の天然甘味料については、そこまで明確な健康メリットが確認されているわけでもないんで、あえて積極的に使うほどのもんでもないかなーといったところです。たまの味変ぐらいにお使いいただければ。
ってことで、いろいろ書いてきましたが、基本的に人工甘味料を使ったプロテインについては、心配せずにお使いくださいませー。