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今週の小ネタ:食物繊維でメンタル改善する? 太り過ぎと痩せ過ぎはどっちがヤバい? 幸せを感じると健康になれる?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

食物繊維でメンタルヘルスが改善するぞ!

食物繊維でメンタルが明るくなるぞ!」って報告(R)が出ておりました。

 

これは中国で行われた実験で、オリゴ糖によって人間の気分がどう変わるかをチェックした内容になってます。このブログでは定番の食物繊維ですね。

 

参加者は、軽めの不安と抑うつに悩んでいる成人92名で、みんなを以下の4つのグループに分けてます。

 

  1. プラセボグループ:糖質を1日10g飲む

  2. オリゴ糖グループ:フラクトオリゴ糖を1日8g飲む

  3. 2'-フコシラクトースグループ:2'-フコシラクトース(オリゴ糖の1つ)を1日2g飲む

  4. 併用グループ:フラクトオリゴ糖(8g/日)と2'-フコシラクトース(2g/日)を飲む

 

これを5週間ほど続けたうえで、不安とうつの状態がどれぐらい変わったのかをチェックしたわけっすね。

 

で、結果はこんな感じになりました。

 

  • オリゴ糖を飲んだすべてのグループは、プラセボと比較してビフィズス菌の数が増えたが、フラクトオリゴ糖オリゴフルクトースのほうが2'-フコシラクトースよりも増加数が多かった。フラクトオリゴ糖だけを飲んだグループのみ、プラセボと比較してバクテロイデスが増えた。

 

  • フラクトオリゴ糖グループと併用グループは、どちらもプラセボより抑うつと不安の症状が減った。全体的に、ビフィズス菌の量が増えた人ほど、抑うつ、不安、ネガティブ感情が改善していた。

 

ってことで、これを見る限りは「フラクトオリゴ糖すごい!」って感じがしております。ちなみに、フラクトオリゴ糖は、国際プロバイオティクス・プレバイオティクス科学協会が「ビフィズス菌を増やすぞ!」と認められている数少ない食物繊維でして、だいたいタマネギやアスパラガスのような食材に豊富っすね。

 

同時に、ビフィズス菌は一貫してメンタルヘルスの改善と相関していて、うつ病の人は、そうでない人よりもビフィズス菌と乳酸菌のレベルが低い傾向も確認されてたりします。フラクトオリゴ糖については、Amazonで簡単に手に入りますんで、気になる方はどうぞー。

 

 

 

BMIで死亡リスクをどれぐらい予測できるの?

長生きできる「最適」なBMIはどれぐらいなの? って問題は昔からあるんですが、ここにはちょっとした論争があるんですよ。これまでのメタ分析だと、「BMIが20~30の範囲の人が最も死亡リスクが低いよー」と報告されるケースが多く、「いや、数字の幅が広すぎるでしょ! 」ってツッコミを受けてきたんですよ。確かにBMI20と30じゃ、体型にはかなりの違いがありますもんね。

 

この問題は、研究によって調査法が異なるのが原因で、論文によって体型の測り方や追跡期間が違うし、変数の調整法(運動量とかタバコの習慣とか)も異なるので、これが結果に大きく影響してるだろうなーってところです。

 

ということで、最近出たデータ(R)も、新たにBMIと死亡率についてあらたな調査を行ってくれておりました。アメリカの国民健康調査(NHIS)から554,332人の男女を対象にしたもので、参加者の平均年齢46歳になっております(平均BMIは27.5)。

 

で、調査ではみんなのBMIを尋ねたうえで、22.5~24.9ぐらいを基準に設定。逆の因果関係(病気で体重が減るケース)を調べるために、追跡をスタートしてから2年以内に死亡しなかった参加者のデータを使った解析もしております。

 

その結果、基準のBMIと比較して、死亡リスクは以下のようになりました。

 

  • BMI30.0~34.9:リスクが8%高い
  • BMI35.0~39.9:リスクが12%高い
  • BMI40以上:リスクが31%高い
  • BMI18.5未満:リスクが90%高い


健康な非喫煙者に限定して解析した結果も同じような感じで、死亡リスクはBMIが30以上の人と22.5未満の人で高め。高齢者(65歳以上)に限定した場合は、死亡リスクが最も低いBMIの範囲はより広め(22.5-34.9)。20歳以下または65歳以上に限ると、その範囲はさらに狭くなっておりました(22.5-27.4)。

 

そんなわけで、全体を見てみると、やはり「めっちゃ太り過ぎ」よりは「めっちゃ痩せ過ぎ」のほうが健康リスクは大きそうな感じですねー。

 

 

 

なんで幸せを感じると健康になれるんだろうか?

幸福と健康には関係がある!ってデータはたくさんあって、どうも幸せな人はそうでない人よりも健康な傾向があるみたいなんですよ。

 

で、新しい研究(R)もまた、幸福と健康の関係を調べた内容になっておりました。これは155人の男女を対象にした試験で、まずはみんなを半分のグループにわけて、

 

  • 幸福改善グループ:12週間ほどポジティブ心理学のトレーニングを実施。マインドフルネス瞑想、感謝の練習、社交スキルの構築など、人々の幸福度向上に役立つさまざまなテクニックを学んでもらう。

  • 比較グループ:なにもしない。

 

といった感じで区別をつけつつ、定期的にみんなの幸福感と健康レベルを測定したんだそうな。

 

その結果がどうだったかと言いますと、

 

  • ポジティブ心理学のトレーニングを受けた人々の幸福度は大幅に上昇した。

 

  • ポジティブ心理学のトレーニングが終わってから3ヵ月後、トレーニングを受けた人々は、何しなかった人々よりも健康で、病気になる確率も低かった。

 

  • さらに、トレーニングが進むにつれて、1週間ごとの幸福感の増加が、健康感の増加と病気感の減少につながった。ただし、ポジティブ心理学のトレーニングは、血圧やBMIには影響を与えなかった。

 

みたいになります。これまで言われてきたとおり、やはり幸福度が上がれば上がるほど健康になれるんだ、と。

 

では、なんで幸福と健康に関係があるかってことですが、だいたい以下のような理由があるっぽいっすね。

 

  1. 幸福感によって気分が良くなるので、病気の感覚がマスキングされているの可能性がある。

  2. 幸福感によって免疫システムが改善しつつ、病気と闘う能力に影響を与えているのかも。

  3. 幸福な人は、不幸な人よりも、よく食べたり運動するようなモチベーションが上がるのかも。

 

個人的には、3番目の影響が最も大きそうな気がしてますけど、いずれにせよ幸福と健康には良い影響がありそうですねぇ。

 

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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