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【質問】最高の整腸剤はどれですか?


 

こんなご質問をいただきました。

 

鈴木さんは複数の整腸剤を紹介していますが、その中で誰にでもお勧めできるベストな商品はどれですか?整腸剤を試してみたいのですが、いろいろと紹介されていてどれを選べばいいかわかりません。

 

とのこと。ここで言う整腸剤は、当ブログでよく取り上げているプロバイオティクスと同じで、要は善玉菌を増やしておなかの調子を整えるのに役立つ商品のことです。「最高の体調」とかだと「ビオスリーHi錠」を推奨してますが、このブログだとまた別の商品も取り上げてますんで、商品選びに困ってしまう方も多いかもしれません。

 

ここで出てくる問題としては、

 

  • 万能のプロバイオティクスは存在しないし、プロバイオティクスを摂取するための万能のアプローチもない。なにせ善玉菌の種類は事実上無限にあるし、個人によって腸内フローラの構成も違いすぎるので、 どの商品が効くかについては何とも言い難い。

 

  • プロバイオティクスと銘打たれたサプリメントがすべて、実際に健康効果が証明されているわけではなく、ヒトの臨床研究によって裏付けられた特定のプロバイオティクス菌株を使わないと意味がないことが多い。

  •  

 

といったものがあります。 個人の腸内環境は千差万別だし、 善玉菌の種類によっても得られる効果が変わってきたりするので、万人に当てはまるベストな整腸剤は、 存在しようがないんですよね。

 

というわけで結論を言ってしまえば、

 

  1. 自分の目的を明確にした上で、それに合った菌株を選ぶ。

  2. その上で、いくつか整腸剤を試してみて、 体調の変化をチェックする。または、ちゃんと自分の腸内環境を調べた上で、お医者さんに相談する。

 

というやり方しか、 自分にとってベストの成長剤を選ぶ方法はないんじゃないでしょうか? そのうち、もうちょい簡単な検査が出てきて、手軽に自分に合ったプロバイオティクスをセレクトできる日が来ると思いますが、現時点では 面倒な手順を踏むしかないですね。

 

では、 自分の目的に適した菌を選ぶ方法ですが、これについては菌株ごとに以下のような違いがあります。

 

  • 抗生物質で 下痢をした時:抗生物質で腸内細菌のバランスが崩れた時は、サッカロミセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)のような酵母菌株が 有効だと考えられています(R)。また、Culturelle社のLGGの ような細菌株も、抗生物質に関連した下痢を防ぐのに効果的であると報告されてますね(R)。

 

  • IBD - 潰瘍性大腸炎:これは整腸剤で 太刀打ちできるような甘い症状ではないんだけども、 一部の試験では「VSL#3」などを標準療法に追加することで、 症状の緩和に有効であることが示されて たりします(R)。

 

  • 腹部膨満感とガス:過敏性腸症候群のように謎の お腹の不調にお悩みの場合は、やはりCulturelleのLGG株が、腹部膨満感、ガス、腹部不快感を大幅に軽減すると報告されております(R)。

 

  • 消化と免疫機能のサポート:乳酸菌を含むプロバイオティクスは、消化と免疫機能をサポートする可能性が大。一部の試験で、乳酸菌が 腸内の炎症反応をサポートすることが判明した(R)。最も有望な種は、L. アシドフィルス、L. プランタラム、L. パラカゼイなどっすね。

 

  • ストレスサポート:L. ラムノサスは 、脳内のGABA発現(気持ちをリラックスさせる神経伝達物質)を増加させる働きがあり、その結果、ストレス関連行動が減少するかも?と考えられてたりします(R)。

 

  • 健康維持全般:ビフィズス菌は、酪酸って短鎖脂肪酸を産生し、大腸細胞の最適な機能を維持する可能性が高め。なかでもB. lactisとB. longumは、腸の健康維持に役立つという研究結果が多い(R)。

 

というわけで、いろいろと書いてきましたが、これらも数ある報告のごく一部なので、あくまで「 プロバイオティクスってのは、菌の種類によって効果がこんなに違うんだなぁ」 と理解するための、 おおまかなガイドラインぐらいにお使いください。

 

以上をふまえた上で、 自分に適した成長剤を選ぶ方法を考えるならば、

 

 

  • 健康維持のために整腸剤を飲むなら、少なくとも300億CFUからスタート(CFUは菌の量ね)。選んだサプリを空腹時に1日1~2回、少なくとも3ヵ月間摂取して、自分の体調をチェック。その上で、長期的に継続する価値があるかどうかを判断しましょう。

    また、慢性的な消化器系の悩みをお持ちの方は、お医者さんに相談して、プロバイオティクスをカスタマイズしてもらってください。くれぐれも素人判断しませんように。

 

ということで、「最高の整腸剤」問題について言えることは以上です。どうぞよしなにー。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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