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AI時代の必須スキル「戦略的思考」を鍛えるにはどうすればいいのか?という本を読んだ話


戦略的思考の6つのルール(The Six Disciplines of Strategic Thinking)」って本を読みました。著者のマイケル・D・ワトキンス先生は、IMDビジネススクールの教授で、日本だと「90日で成果を出すリーダー」で有名っすね。Thinkers50の殿堂入りも果たしている有名な教授ですな。

 

 

で、本書は、「戦略的思考」をテーマにした一冊で、「現代では戦略的に考えるのが最重要なのだ!」ってポイントをまとめてくれております。現代はめっちゃ不安定なので、これを乗りこなすためには戦略的思考が欠かせないのだって話ですな。

 

ってことで、いつもどおり本書から勉強になったところをまとめてみましょうー。

 

  • 現代では、経済の不確実性、政治の不安定性など、あらゆるビジネスがランダムになっているため、私たちは戦略的思考を養う必要がある。特に近年は、AIがどこに向かっているのかを誰にも予想できないので、戦略的かつダイナミックに考えることが本当に必要になってくる。

 

  • しかし、著者が行った研究では、多くの ビジネスパーソンは「戦略的思考は見ればわかる」とだけ答え、戦略的思考をより深く理解しようとしていない傾向があった。 概念が定義付けられていなければ、それをうまく使いこなすことができないのは言うまでもない。

 

  • 戦略的思考を定義すると、1)新たな脅威や機会を認識し、2)優先順位を設定し、3) 集団を動かすために用いる一連の精神的能力があることだと結論づけられる。 つまり、これからの戦略的思考を考える際には、組織内でどのような チャンスやピンチを認識し、優先順位をつけ、メンバーを動かすべきかを考える必要がある。

 

  • そこで、戦略的思考をうまく使うには、6つの精神的な能力が必要となる。 まず最初の3つが、「パターン認識」「システム分析」「 精神の敏捷性」で、これらは新たな脅威や機会を認識し、優先順位をつけるための土台となる。

    • 1.パターン認識:複雑で不確実、時には急速に変化する環境の中で何が重要かを見極め、本当に重要なことに他者の注意を集中させることができる能力のこと。

    • 2.システム分析:複雑な状況を単純化し、相互作用を本質的に理解できるようにするメンタルモデルを構築する能力。システム分析ができれば、「この変更があちらにも影響与える」や「 あちらを立てれば、こちらが立たず」 といったようなフィードバックループやトレードオフの存在が理解しやすくなる。

    • 3. 精神の敏捷性:物事を大空の上から見下ろすように眺めたあとで、一気に細部へと視点を移すことができる能力。 また、それを意図的に行い、どの高度から 物事を見るべきかを判断する能力でもある。

      それと同時に、 物事の数手先を見通す能力も含まれる。例えば、競合相手や利害関係者が次に何をするのかを理解し、その予測を使って、今後やるべきことの順序を計画する能力である。

 

  • 他の3つの精神的な能力は、「構造化された問題解決」「ヴィジョニング」「社内政治の理解」の3つで、これらは組織を動かすための基礎となる。

    • 4.構造化された問題解決:チームが複雑な問題を組み立てて取り組み、正しい道筋について合意に至るのを助ける能力。

    • 5.ヴィジョニング:ワクワクするような未来を想像しつつ、それを逆算して現実的で達成可能な 行動に落とし込める能力。 メンバーのモチベーションを高めるためには、 ワクワクするようなビジョンと、それを実行に移せるだけの強力な単純化が必要となる。

    • 6.社内政治の理解:利害関係者の政治的な現実を理解し、組織を前進させるために必要な同盟を結ぶ能力。

 

  • 以上の6つの能力を組み合わせることで、何が最も重要かを認識し、正しい優先順位を設定し、 コミュニティを動かして前進 させることができる。戦略的思考と社内政治の理解を結びつける人は少ないが、 現実的には切っても切り離せない関係がある。結局のところ、どのような戦略を実行するにも、 自分と関わりがある利害関係者のサポートが必要だからである。そのためには政治的センスが欠かせない。

 

  • 戦略的思考のスキルは、先天的な要素が重要であることは間違いなく、それは20代前半までにかなりの程度まで決まってしまう。しかし、 何もしないで放っておくと戦略的思考の能力は衰えていくため、定期的なトレーニングが欠かせない。

 

  • 毎日できるような戦略的思考トレーニングの例には、以下のようなものがある。

    • マーケティングのようなビジネス機能、動きの速い消費財のような業界、政府関係のようなステークホルダー環境など、特定の分野に深く没頭すると、パターン認識能力が成長しやすい。そのうえで「最も重要なパターンやシグナルは何か?」は考えてみるとよい。

    • 新しい空間や状況に入ったときには、一歩引いて、「ここで何がうまくいき、何がうまくいかないのか?」「ここで何か重要な変更を加えるとしたら、何をどのようにすればいいのか?」と考えてみると、精神の敏捷性が成長しやすい。

    • ミーティングをしているとき、意識的に細部に入り込んだり、一歩下がってより高いレベルから現状を見たりしてみる作業をくり返すのもトレーニングとしては有効である。

    • ビジネス・シミュレーションを行うと、安全に実験を行い、因果関係を洞察するのがうまくなる。

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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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