【質問】 運動すると頭痛が起きるのですが、 これってやばいでしょうか?
こんなご質問をいただきました。
運動すると頭痛が起きます。ランニングをしても筋トレをしても、その後からすぐ頭が痛くなります。これって大丈夫なんでしょうか何か対策でできる事は無いでしょうか?
ということで、運動の後に頭痛が起きる問題はどうすればいいのかというお尋ねです。
実は、同じような悩みを持つ人は意外と多くて、ランニング、 筋トレ、性行為など、激しい運動をしたあとで 頭が痛くなるケースはよくあるんですよね。 俗に「労作性頭痛」と呼ばれる症状で、まだあまり研究が進んではいないんですが、成人の1%から26%(R)(青少年では最大30%)に影響があると言われております(R)。
その症状には個人差があるものの、労作性頭痛は、頭の両側に脈打つような感覚があったり、片頭痛に似たような 痛みが起き、 それが数分から数日間続くこともあるそうな。 私は全く体験したことがないんですが、 実に困った問題ですね。
でもって、この頭痛については、まだよくわからないところが多いんだけど、だいたい以下のような 原因があると考えられております。
- 運動すると、酸素を確保するために脳への血流が増加。そのせいで、脳から排出される二酸化炭素や熱の量が増え、 結果として血管が拡張し、この伸縮が痛みを引き起こす。
- 特に暑い場所で運動をした後で頭痛が起きる人は多く、これは脳が発汗によって皮膚から熱を放散することはできないため、血管を広げて脳への血流を増やし、熱の一部を取り除こうとするのが原因で発生すると考えられる。暑い日に運動したときだけ頭痛に襲われる人がいるのは、このためかもしれない。
- 高地でのトレーニングも、労作性頭痛が起きやすい。これは、高地では血液の酸素運搬能力が低下するため、脳に必要な酸素を供給するために、より多くの血液を送らなければならず、そのせいで痛みが誘発されるのだと思われる。
- 片頭痛の個人歴や家族歴がある人も、労作頭痛になりやすいと言われている。これはおそらく、片頭痛を引き起こすのと同じ変化(血管の大きさの変化など)が、労作性頭痛にも関係があるからだと思われる。
て感じで、基本的には運動によって脳の血管が広がったせいで起きる現象ですね。遺伝的に片頭痛になりやすい体質(両親のどちらかが片頭痛持ち)の人に多く、ジョギング頭痛、オーガズム頭痛などが定番と言われてますね。
ただし、ほとんどの労作性頭痛は良性であることが多く、 大抵の場合は運動をやめるとまもなく治まるはず。心拍数が低下し、脳からの酸素の要求が減れば、通常1~2時間以内に解消しますね。
その他には、以下のような対策が考えられます。
- あまりに痛みが強い時は、インドメタシンをお医者さんにもらって、運動の30~60分前に服用すると効くこともあったりします。ここらへんはお医者さんとよく相談してください。
- 脱水のせいで頭痛が起きている場合は、水分補給が終われば、通常約3時間ぐらいで痛みがおさまる。また、十分な休息をとることで、脳がベストな状態で働くようになり、痛みに敏感にならなくなる。
- 長いあいだ体を動かしていなかった後に激しい運動をすると、心臓や血管への負荷が強くなり、労作性頭痛が起こりやすくなる。そのため、しばらく運動をしていない人は、少しずつ運動を再開するのが無難。また、血圧や血流の変化に対応できるように、運動するたびに少しずつウォーミングアップをするのもよい。
ウォーミングアップをすることで、筋肉の血行が促進されるため、 血管が少しずつ広がるようになる。そのため、少なくとも5~10分はウォーミングアップの時間を取り、 動的ストレッチを中心に 行うと良いでしょう。
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筋トレで頭痛が起きる人は、運動中に 呼吸を止めていることが多め。 多くの人は、筋トレの時に無意識に息を止めてしまう傾向があり、 その結果、頭蓋内圧が上昇して頭痛が起こる ケースがある。これを防ぐためには、運動中ずっと呼吸を止めていないことを確認し、 筋トレで力を入れるときに息を吐くように意識すればOK。
- 別の種類の運動を試してみて、それが頭痛の引き金になるかどうか確かめてみるのもあり。ヨガや筋トレなど、心拍数が 上がりっぱなしにならないような運動も試してみてくださいませ。
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不適切なフォームも頭痛の原因になるので注意。 変なフォームで筋トレをすると、首、わき腹、肩周りの筋肉が緊張し、頭痛の引き金になる可能性があります。 もし新しいエクササイズを初めた際に頭痛が起こった場合は、フォームがずれて筋肉が緊張している可能性も疑ってみましょう。
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ストレスが 多い人は、 体内のストレスホルモンレベルが高くなりがち。 この状態で運動すると、さらにストレスホルモンのレベルが上昇するため、運動時に頭痛が起こる可能性が高くなったりします。もし激しい運動で頭痛が起きる場合は、 ストレスホルモンの可能性もあるので、ヨガのようにもっとリラックスする運動に切り替えてみるのもいいかもしれません。
- その他、コエンザイムQ10、フィーバーフュー、マグネシウム、リボフラビン(ビタミンB2) なども労作性頭痛に効くと言われてますが、まだデータが少ないので何とも言えないところです。気休め程度に試すぐらいならあり。
ということで、いろいろ書いてきましたが、上記のような対策を試しても改善が見られない場合、頭痛が数週間以上続く場合、頭痛が徐々に悪化している場合などは、くれぐれも医師の診察を受けるようにしてください。 もしかしたら、より根深い原因が隠されている可能性もありますので、めまい、目のかすみ、嘔吐、首のこわばり、聴覚の変化(すぐそばで人が話しているのに、とても遠くに聞こえるなど)が 起きたら、すぐお医者さんに駆け込みましょう。 どうぞよしなに。