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人生に欠かせない基礎能力こと「自己概念」を鍛えようぜ!という話



自分をコントロールできる人は「自己概念」がはっきりしているぞ!って研究(R)が面白かったので、ポイントを押さえておくとよさげです。

 

「自己概念」ってのは、「私は何者か?」って問いに対する答えのことで、この質問にはっきり答えられれば自己概念は高め。「なんだろうなぁ……まぁそんな悪い人間じゃないし、これといって秀でたところがあるかと言われれば……」みたいにモゴモゴしちゃう方は、自己概念が低めであります。

 

もっと簡単に言えば、「あなたはどんな人間ですか?」「自分のことをどれだけ知っていますか?」と尋ねられたときに、自信を持ってスパッと答えられるような人は、自己概念が高いのだと言えましょう。まぁそこまで自分を確立している人も、あまり多くないでしょうが。

 

で、これは北京大学などの研究で、5つの実験を行ったうえで、自己概念とセルフコントロール能力の関係を調べてくれております。セルフコントロール能力は、このブログでもよく出てくるワードで、人生を左右するスキルとしてはトップクラスに位置する能力のひとつ。セルフコントロール能力が高い人は長生きするし、生涯年収も高いし、肥満のリスクも下がるし、人生の幸福度もアップするし、疲れにくくなるで、良いことだらけだったりするんですよ。

 

ということで、この研究では、5つの実験をとおして「自己概念とセルフコントロール能力の関係」をチェック。それぞれの結果を簡単に要約してみると、以下のようになります。

 

  • 自己概念がはっきりしていない人は……

    • 「セルフコントロール能力が欠けている」という自己認識があった。

    • 努力して自分のパフォーマンスを向上させるモチベーションが低かった。

    • 仕事に集中し続けたり、運動を続けたりするモチベーションも低かった。

    • 自己概念の低さがセルフコントロール能力に与える影響は 、自己継続性(過去、現在、未来の自己の間の一貫性の感覚)によって媒介された。

 

ってことで、自己概念がボンヤリしている人はセルフコントロール能力が低く、それは自分のことを「過去から未来に向かって一貫性がない」と感じているのが原因になっているらしい。簡単に言うと、

 

  1. 「自分が何者か?」がはっきりしていないと、自分の過去と未来もぼんやりとしたイメージしか浮かばない。

  2. 過去と未来がぼんやりしているので、過去から学ぶことができないし、未来に向けて何をすべきかがわからなくなる。

  3. やることが思いつかないのでモチベーションが下がる。

  4. セルフコントロール能力が下がる!

 

みたいになります。ここらへんは「最高の体調」にも書いた、「過去から未来までの自分との一貫性が大事」って内容に似てますな。

 

「自己概念」の重要性ってのは過去にもいろいろ確認されてまして、他にも「自己概念が弱い人」には、以下の傾向があると報告されております。

 

  • 社会的問題や精神的問題を抱えるケースが多い。
  • 外部の情報(同僚、友人 、SNSの書き込み)に影響されやすくなる(自分がよくわからないから外部に依存する)。

     

  • インフルエンサーが推めた製品を何も考えずに購入する

  • 他人の政治や宗教の考え方を簡単に信じ込み、常に安心感を求めようとする。

  • ストレスが溜まったときに、酒やドラッグを使う傾向がある(逆に自己概念が強い人は、計画を立てて問題解決をしようとする)。

 

いずれも自分をよすがにできないせいで起きる現象で、自分のアイデンティティに一貫性を与えるための素材を外部に求めてるわけですね。そう考えると、明確なデータはないものの、「ルックスにやたらこだわる人」「ブランドものにこだわる人」なども、自己概念が明確になっていないのかも……という気はしますね。

 

逆に言えば、自己概念を明確にすれば、不健康な食事、肥満、アルコール濫用、スマホ依存、ムダな買い物などの問題が減るんじゃないかってことで、心当たりがある方は対策してみても良いかもしれません。具体的には、以下のエントリが参考になるはずであります。

 

最後に、自分の自己概念をチェックするテストを置いておきますんで、以下の文章を読んで5点満点で採点してみてください。「完全に当てはまる!」と思ったら5点で、「ほとんど当てはまらない!」と思ったら1点です。

 

  1. 私は自分の性格のいろいろな側面の間に矛盾を感じることはめったにない

  2. 私が持っている自分自身に関する信念は頻繁に変わるようだ★

  3. 私が持っている自分自身に関する信念は、しばしば、互いに矛盾する★

  4. これまでの自分がどのような種類の人間であったかを考えても、本当にそのような者であったのかについて、確信はない★

  5. 時々、私は日ごろの自分が本当の自分ではないという気がする★

  6. 自分の性格を説明するように求められた場合、私が行う記述は日によって異なるかもしれない★

  7. おおむね、私は自分が誰であり何者であるかに関して明確に自覚している

  8. ある日、私は自分自身に関してある意見を持つかもしれないが、別の日にはそれと異なる意見を持つかもしれない 

  9. 私は、自分が何をしたいのかよくわからないので、しばしば、物事を決心することが困難である

  10. 私は、自分が本当はどのような人間であるのかについて考えることに、多くの時間を費やしている

  11. どんなに話したいときでも、私は本当の自分がどのような人間であるかについて誰にも話さないだろうと思う★

  12. 私は、時々、自分自身のことより他者のことのほうがよく知っていると思うことがある★

 

 採点が終わったら、★マークがついた項目の点数を逆転してください(5→1、4→2、2→4、1→5)。その上で平均値を出して、だいたい3点を超えれば自己概念は高いほうだと言えましょう。お試しをー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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