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1日10分で自信が身につく「ライフ・レビュー・セラピー」とは?

 

心理療法のひとつで、「ライフ・レビュー・セラピー」ってのがあるんですよ。どんなものかと言いますと、

 

  1. 過去の人生で起きた重要なできごとをいくつか選ぶ(ポジティブでもネガティブでもOK)
  2. そのできごとが、いまの自分にどんな影響を与えているかを書き出す

 

みたいな感じです。たとえば「大学受験」とか「結婚」みたいな人生の重要イベントを選んで、「あそこで頑張って勉強したから、いまの会社にも入れたんだよなぁ」みたいに書き出すイメージっすね。過去と現在をあらためて接続する作業とでも言いますか。

 

その効果はある程度まで認められていて(R)、自分のライフストーリーを語り直すと、

 

  • 自信が増える!
  • 鬱の症状が減る!

 

みたいなメリットが報告されてるんですな。なかなかおもしろい技法ですよねぇ。

 

 

なぜこのテクニックが効くのかと言いますと、

 

  • 自分の人生に一貫性が出るから
  • 過去のネガティブを客観的に見つめられるから

 

といった側面が効いてるんだと考えられます。つまり、人生にあらためてストーリーをあたえてやることで、「自分はこういう人間なのだ!」って感覚が生まれ、そのおかげで安定した気持ちになるんだよーって話ですな。以前に書いた「セルフコンセプト・クラリティ」と同じ考え方です。

 

 

もっとも、「ライフ・レビュー・セラピー」に関する研究ってのは、これまでメンタルが崩れた人をメインにしてきたのが難点。とくにメンタルに問題がない人が使っても効果があるの?って問題はよくわかってなかったんですよ。これは気になるところっすね。

 

 

ってことで新しい論文(R)は、そこらへんの問題を調べてくれてて有用でありました。

 

 

これはデニソン大学の研究で、3つの実験をとおして約400人の健康な男女に「ライフ・レビュー・セラピー」の効果を確かめております。実験のデザインは3つとも基本的には同じで、

 

  1. 被験者を半分にわけて、片方には「ライフストーリー」を書いてもらう
  2. もう一方のグループには、「アメリカの偉人」に関するエッセイを書いてもらう
  3. 自尊心や気分に変化が起きたかどうかを確かめる

 

みたいになってます。ちなみに、ライフストーリーを書いたグループに与えられた指示は以下のような感じ。

 

  • 人生の特筆すべきイベントを4つピックアップする(結婚とか転職とか)
  • そのイベントについて、できるだけディテールを細かく書き出す
  • そのイベントが、いまの人生にどう関係しているのかを書き出す

 

全員にあたえられた時間は10分だったそうで、これぐらいなら自分でも簡単に実践できそうですねー。

 

 

で、その結果がどうだったかと言いますと、

 

  • 「ライフ・レビュー・セラピー」を行ったグループは……
    • 小さいながらも有意に自尊心が向上した
    • 気分も向上した
    • ただし、セルフコンセプトクラリティには変化がなかった(つまり、アイデンティティの補強には役立たないのかも)

 

だったそうな。さすがにそこまで劇的な変化ではないものの、それなりに効果があったみたいっすね。10分の介入としては悪くない成果じゃないでしょうか。

 

 

また、そのほかに特筆すべきポイントとしては、

 

  • ピックアップする人生のイベントは、ポジティブなものでもネガティブなものでも構わない(どっちでもメンタルの改善には効く)
  • 一回の「ライフ・レビュー・セラピー」の効果は48時間は続かない

 

って傾向も確認されてまして、実践するときは定期的にやったほうが良さそうっすね。

 

 

いずれにせよ、「自分のライフストーリーを語り直してみる」ってのはおもしろい手法だと思いますんで、試す価値はありそうであります。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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