ひとつの作業から別の作業に移っただけでもパフォーマンスは低下する。では、どうすればいいのか?みたいな話
マルチタスクは良くないよ!ってのはいまや常識で、生産性が下がるのはもちろんIQまで下がっちゃうことがわかってたりします。嫌ですねぇ。
もっとも、マルチタスクというと「YouTubeを見ながら原稿を書く」とか「LINEでチャットしつつ計算をする」みたいな状況をイメージしますが、実は生産性を大きく下げるのはそれだけじゃなかったりします。ミネソタ大学の論文(R)などを見ていると、どうやら1つのタスクから別の作業に移っただけでも生産性はがた落ちするみたいなんですよ。
研究チームいわく、
ひとつの作業を終えた後で、別の作業へ完全に注意を移してパフォーマンスを発揮できるとは考えないほうがいい。この実験が示すのは、私たちは事前のタスクから完全に注意を切り替えることはできず、結果として次の作業にも悪影響が出てしまうと言う事実だ。
とのこと。たとえば、企画書を書かねばならないような場面では、
- 企画書を終えたあとで、会議の時間が来た
- とりあえず企画書は切り上げて会議に参加する
- 企画書に注いでいた集中力が会議に切り替えられない
- 会議に悪影響が!
みたいな現象が起きるってことですな。会議が始まってからも企画のことが頭にちらついちゃって、あとに続くタスクに注意のリソースを割けなくなっちゃうんだそうな。この現象のことを、研究チームは「注意の残留物」と呼んでいて、「なんかわかるなー」って気分になりました。
が、そうはいっても、1日のうちにひとつの作業ばっかやってるわけにもいかないのが現実であります。たいていは1日に複数のタスクを華抱えてるのが普通ですからね。
では、この問題についてどうすればいいの?ってところが気になりますが、ミネソタ大学のチームは、そこらへんもちゃんと調べてくれております。具体的には162人の学生を4つの状況に割り当てたんですよ。
- タスク1をやり終えてからタスク2に移る
- タスク1を途中で切り上げてタスク2に移る
- タスク1を決めた時間でやり終えてからタスク2に移る
- タスク1を決めた時間で途中で切り上げてタスク2に移る
つまり研究チームは、「締め切りの設定」によって「注意の残留物」問題がやわらぐんじゃないか?と考えたわけっすね。ちなみに、ここで指示された作業ってのは、タスク1が「文字の穴埋めテスト」みたいなやつで、タスク2が「架空の履歴書を採点する」って内容だったそうです。まったく別の内容っすね。
さて、その結果がどうだったかと言いますと、
- 別の作業に切り替えたグループは、タスク1を完成しようがしまいが、タスク2のパフォーマンスは低下した
- しかし、締め切りを設定したうえでタスク1をやり終えたグループは、タスク2のパフォーマンスがほかのグループより30%ほどよかった
だったそうな。タイムリミットを決めずに別の作業に移ると、最初の仕事が完全に終わっても生産性は落ちちゃうのが、締め切りを作ったら問題なくなったわけですね。
なんでこういうことが起きるのかはよくわからんのですが、おそらくは、
- 決めた時間でタスクをやり終えたせいで自信が増加する
- 締め切りの設定により「ここで作業は一段落したんだな」と脳が納得した
みたいなことじゃないかなーと推測しております。つまり、1日に異なる作業をいくつかやらねばならないときは、
- すべてのタスクに締め切りを設定する
- できるだけ最初のタスクが終わるようにがんばる
ってあたりが重要になりそうだなーと思う次第です。30%のパフォーマンス増加は結構デカいですからねぇ。