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筋トレはフルボディとスプリットのどっちが筋肉が育つのか?問題

 


筋トレの世界では、昔から「スプリット・ボディとフル・ボディのどちらを使うべきか?」って論争があるわけです。これはトレーニングの方法を示す言葉で、だいたい以下のようになります。

 

  • スプリットボディ=特定の日に、特定の筋肉群を集中してトレーニングする。例えば、月曜日は胸と背中、火曜日は肩と上腕二頭筋、水曜日は脚と上腕三頭筋を鍛え、木曜日はトレーニングを休む、みたいな感じ。

    また別の例としては、月曜日から土曜日まで、それぞれの日に各筋肉をトレーニングして日曜日は休むパターンもある。

 

  • フルボディ=それぞれの主要な筋肉を1日でまとめてトレーニングする。通常は、週に2~4回のトレーニングを行うのが一般的。

 

ぱっと見では、2つのプログラムは構成が激しく違うので、効果の出方にも違い出るんじゃないかと思われるわけです。私は1日のうちにいろんなトレーニングをするほうが好きなので、フルボディのパターンを使っていますが、効果に違いがあるのなら気になっちゃうところです。

 

というわけで、「スプリットボディとフルボディはどちらが良いのか?」を調べたメタ分析が出ていたので、内容をチェックしておきましょう(R)。筋トレ界では、この論争に決着がついたことはないので、結果が気になるところです。

 

これは過去の、筋トレ研究から14のデータをメタ分析したもので、スプリットボディとフルボディのどちらがが筋力向上と筋肥大に有利なのかを調べた内容になっております。

 

そのうち、スプリットボディの被験者は194人、フルボディの被験者は198人。9つの研究では筋トレの上級者が対象で、5つの研究では筋トレの初心者を対象にしている感じっすね。

 

でもって、最大の筋力と筋肉の成長がどうなったかを調べたら、結果はこんな感じになりました。

 

  • どの結果においても、フルボディとスプリットボディのあいだに差はなかった(筋成長、p=0.84~0.93:ベンチプレス1RM、p=0.34:下半身1RM、p=0.29)。

 

フルボディだろうが、スプリットボディだろうが、その他の条件(筋トレの負荷とか頻度とか)を合わせれば結果は変わらない!ってことですね。まー、これで論争が決着したとは言いづらいとこもありますが、多分どっちでもいいんでしょうな。

 

ただし、個人的には、今回の結果は「まぁそうでしょうねぇ」って感じだったりします。何度も書いてきたとおり、筋肉の発達に最も重要なのはボリュームであり、トレーニング頻度は筋肥大や筋力にはあんま関係がないんですよね。

 

その点で、今回のメタ分析で使われた研究は、ほとんどボリュームと負荷が等しくなるように調整されているんで、「フルボディとスプリットボディの効果が同じ!」って結論になるのは当然と言えば当然でしょう。

 

とはいえ、個人的には、状況によってはスプリットかフルボディのどちらか一方のほうが望ましいケースもあると思ってたりはします。そのあたりを、以下にざっくりまとめてみましょう。

 

 

  • スプリットボディが有利な場面

    • 細かいところを集中してトレーニングしたい場合:スプリットだと特定の筋肉を集中的に鍛えられるので、より細かい筋肉の成長を促進できます。なので、ボディビルダーが特定の部位を強調したいときなどにはよさげ。

    • 疲労を抑えながらトレーニングしたい場合:1日に一部の筋群だけを使うので、一回のセッションでの全身の疲労が少なく、集中力を維持しやすい。なので、高重量のトレーニングを行う時とかには、集中をキープして怪我のリスクを減らせる。

    • 1日あたりのトレーニング時間を短くしたい:1日に特定の部位を鍛えるので、1日あたりのトレーニングが短時間で済む。

 

 

  • フルボディが有利な場面

    • トレーニング頻度が週3回以下の場合:週に3回以下しかトレーニングできない場合、フルボディは主要なエクササイズを複数回できるので、筋肉量の増加と十分なボリュームを確保しやすい。

    • 筋力アップの日と筋肉量アップの日を変えられる:異なる日に異なるエクササイズのフォーカスを変えることで、特定のエクササイズに集中しつつ全身をバランス良く鍛えることができる。たとえば、月曜日にベンチプレスの筋力アップトレーニングとスクワットの筋肥大トレーニング、水曜日にベンチプレスの筋肥大トレーニングとスクワットの筋力トレーニングみたいな感じ。

    • スケジュールを柔軟にしやすい:1回のトレーニングで全身を鍛えるため、忙しい週でもトレーニングを欠かすことなく続けやすい。

 

 

というわけで、いろいろ見てきましたが、細かいことを考えるのがめんどうなら「どっちでもいいや!」ぐらいにお考えください。私の場合は、スケジュールの柔軟性が第一なので、今後もフルボディかなーというところです。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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