今週の小ネタ:「自分は若い!」と思えばめっちゃ健康、謙虚なリーダーシップの効果が凄い件、「フォートナイト」で幸福に
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
「自分は実年齢よりも若い!」と思うにはどうすればいい?
「自分は実年齢よりも若い!」と思っている人は、実際に肉体が若いことが多かったりします。過去の研究例を見てみると、
- 主観的な年齢が若い人ほど、健康状態が良く、歩行速度が速い傾向がある。これは、主観的な年齢が若い人ほど、よく体を動かすからだと思われる(R)。
- 主観的な年齢が健康や長寿に与える影響を調べたレビューでは、「自分は実年齢よりも若い!」と思っている人は、健康状態が良好なだけでなく、幸福度が高い傾向もあった(R)。
- 主観的な年齢が若い人は、早期に死ぬ確率が低い傾向がある。そのため自分を若く感じることは、実際の健康状態や寿命に影響を及ぼす可能性がある(R)。
みたいなものがあります。まだ因果関係がハッキリしないところはあるものの、どうも自分のことを「若い」と思っている人は(若作りとかではなく、実感として若いと思っているかどうか)、健康レベルが高いみたいなんですよ。
そうなると、「どうやれば『自分は実際より若い』と思えるの?」ってあたりが気になりますが、新しい研究(R)では、「とにかく寝ろ!よく寝ろ!」という結論になってておもしろかったです。
これはストックホルム大学などの研究で、大きく2つの調査をしております。
- 研究1:18歳から70歳までの429人を対象に、自分が何歳だと感じるか、過去1カ月に何日ぐらい十分な睡眠をとれていないか、どれくらい眠いかを尋ねた。 その結果、過去1ヵ月に睡眠不足だった夜が1日増えるごとに、参加者は平均で0.23歳年を取ったと感じた。
- 研究2:18歳から46歳までの186人の参加者を対象に、わざと睡眠を制限するテストを実施。1日4時間しか寝ない日を2晩作り、その後で主観的な年齢をチェックした。すると、睡眠を制限した参加者は、十分な睡眠をとった時と比べて平均で4.4歳年を取ったと感じた。
って感じでして、 睡眠が足りなくなるだけで、ガッツリ老けたように感じてしまうらしい。これは体感としてわかりやすいですね。
睡眠が主観的な年齢に及ぼす影響は、眠気の感じ方に関係しているようで、「注意力がみなぎっている!」と感じると実年齢より4歳若く感じ、極度に眠気があると実年齢より6歳老けて感じられるそうな。
研究チームいわく、
つまり、注意深い状態から眠い状態になると、実年齢より10歳も若く感じられるということだ。
良い睡眠は、若々しさを保つために欠かせない。 若々しさと注意力は、活動意欲を高めるために重要だからだ。
ってことで、「若く感じたいなら良質な睡眠だ!」って観点が強調されておりました。まぁもともと睡眠と健康は密接に結びついてますし、これで主観的な年齢も改善するならめっちゃ良いですよね。
謙虚なリーダーシップの効果が凄い件
「謙虚なリーダーシップ」なんて本もあるとおり、近年は、イケイケで集団を率いるリーダーよりも、自分の限界を認めて部下の貢献を評価するリーダーのほうが、実は成績が良いのではないかと言われてるわけです。「上司の言うことに黙って従え!」みたいなリーダーシップはオワコンで、謙虚さこそが全体のパフォーマンスを高めるらしいんですな。
で、新しい研究(R)も、この考え方を支持する内容になってまして、まずは結論から言うと、
- 職場での謙虚なリーダーシップは、従業員の尊敬とパフォーマンスアップにつながる!
みたいになります。ここでいう謙虚なリーダーシップってのは、
- 自分の限界を率直に認める。
- 他者の貢献を評価する。
- 学ぶ姿勢を持ち続ける。
といった要素から成り立ってまして、確かにこんな上司なら最高っすね。
研究チームは、2つのフィールド調査をやってまして、
- 調査1:中国でさまざまなサービス業に従事する従業員と上司216組を集め、6週間にわたって3段階でデータを収集。手はじめに、従業員に上司の謙虚さと、自分自身の個人主義的志向を評価してもらい、さらに2週間後には、同じ従業員に自分の職場での地位を採点させたとのこと。その上で、 最後に上司にも調査を行い、従業員の指導意欲とリーダーシップを評価してもらったらしい。
- 調査2:米国、英国、カナダなどから210人の従業員を集め、上と同じように2週間ずつ3段階に分けてデータを収集。上司の謙虚なリーダーシップ、職場の地位の認識、リーダーとしてのモチベーションなどの評価を行った。
みたいになります。すると、調査の結果はこんな感じになりました。
- 謙虚なリーダーシップは、従業員の職場での自信を向上させる働きがあった。自分の間違いを認め、部下の長所を評価し、部下から学ぶ姿勢を見せるリーダーについた従業員は、職場での自信が増す傾向があった。
- 謙虚なリーダーシップがもたらす職場での自信の向上は、部下の積極的な行動につながった。 上司に認められたと感じた従業員は、自らもリーダーシップの役割を熱望し、自ら率先して難しいプロジェクトに挑む確率が高かった。
- 以上の相関関係は、東洋と西洋を問わず、どちらの文化的背景においても当てはまり、謙虚なリーダーシップのメリットが普遍的である可能性を示している。
ってことで、ここ数年ずっと言われてきたことではありますが、やはり謙虚なリーダーシップにはメリットが大きいみたいですな。研究チームいわく、
謙虚なリーダーシップは、従業員の潜在能力を引き出す強力なツールであり、より意欲的で、革新的で、パフォーマンスの高い職場へと導く。 また、将来の有能なリーダーを育成することにもつながる。 従業員のリーダーシップを育成することで、組織は競争上の優位性を維持することができるだろう。
とのこと。古いスタイルのリーダーシップを取っているような方は、この機会に、ぜひ謙虚なリーダーシップを取り入れてみちゃいかがかと。
「フォートナイト」で幸福になれるぞ!
私はまったくプレイしたことがないんですが、「フォートナイトで幸福度が上がる!」って調査(R)がノルウェーから出ておりました。
これは、ノルウェーで行われた「大人のゲーマー調査」ってデータセットを分析したもので、参加者は16歳以上の278人で平均年齢は32歳。みんなフォートナイトのプレイヤーで、日ごろからオンラインで他のゲーマーとふれ合っていたそうな。
この調査では、みんなに「フォートナイトのおかげで人間関係は広がりましたか?」「フォートナイトで生活にどんな影響がありましたか?」といった質問を投げかけ、これを全員の幸福度と比べたらしい。
その結果、なにがわかったのかと言いますと、
- 社会的動機(「他人と遊びたい!」みたいな)でフォートナイトをプレイする人は、プレイ時間が長くなるほど人間関係が広がり、幸福度が高くなる傾向があった。特に女性にこの傾向があった。
- 社会的動機でプレーしている男性は、ゲームが自分の人生に良い影響を与えたと報告する傾向があった。
- フォートナイトのプレイ時間が長い人ほど、ゲームが生活に良い影響を与えたと回答する傾向が強かった。
みたいになります。オンラインで友人とふれ合うタイプのゲームは、基本的に人間関係を改善して、これが幸福度アップにもつながるらしい。社会的動機で行うなら、ゲームは人生の改善に役立つってことですな。非常によくわかる結果ですが、ゲームをやる時間が……。