健康的に年を取るための「筋トレ+プロテイン」プトロコルはこれだ!というメタ分析の話
歳を取るとどうしても筋力は落ちちゃうもんで、私も10年前と比べると「ちょっとトレーニングをサボるだけで激しく筋肉が減るな……」などと実感しております。が、最近出たメタ分析(R)では、「まだまだ改善の余地はある!」って結論になってて良い感じでした。
今回のメタ分析は、18件の研究をまとめて、62~87歳の高齢者1,100名以上を対象に実施されたもの。参加者は健康な人がメインですが、サルコペニア(筋肉減少症)や肥満、虚弱体質の人も含まれていたとのこと。研究では、「筋力トレーニングだけをした場合」と「筋トレ+プロテイン」の効果を比べて、主に歩行スピードがどれぐらい変化するのかをチェックしております。
研究のポイントをざっくりまとめておくと、
- プロテイン摂取量:1日10~45g、または体重1kgあたり最大1.5gのプロテインを飲む。摂取タイミングは運動後、または食事と一緒に摂取する。
- 筋トレの内容:スクワット、レッグプレス、ベンチプレスなど主要筋群を鍛える運動を行う。筋トレの頻度は週2~7回で、最大挙上重量(1RM)の50~80%の負荷を使う。筋トレの期間は10~24週間(中央値12週間)。
みたいになります。筋トレが大事なのは当たり前だけど、そこにプロテインを適切なタイミングと量で加えることで、加齢による筋力の低下問題を、どうにかできるんじゃないかって考えているわけですな。
で、結果はこんな感じでーす。
- 筋トレにプロテインを加えた場合、参加者の歩くスピードが有意に改善した。特に以下の人たちにメリットが顕著だった。
- プロテインを運動後に摂取した人
- 12週間以上の長期プログラムに取り組んだ人
- 肥満の人
とにかく、最低での週2の一般的な筋トレをしつつ、体重1kgあたり1.5gのプロテインを筋トレの直後に飲むことで、私のようなオッサンは良い効果を得られるかも?って感じですね(若い人はよくわからんですが)。
ちなみに、この研究で、なんで歩行スピードに注目したのかが気になる方もおりましょう。その答えは簡単で、歩行スピードってのは、健康状態を反映する重要な指標のひとつになるからです。過去の研究によると、歩行スピードが遅い人は転倒や障害のリスクが高いだけでなく、認知機能の低下や死亡率の上昇などが起きることがわかっているんですよ。このため、歩行スピードを改善することは、「健康寿命」を延ばす鍵になりえるわけです。
また、この研究では、「プロテインを飲むタイミングの重要性」が強調されてまして、プロテインを「運動後」に摂取した場合に効果が出やすいことが示されております。年を取ると、筋肉が栄養や運動の刺激に鈍感になってしまうので(アナボリック抵抗性)、これを運動後のプロテインが補ってくれるみたいなんですよね。運動の直後にプロテインを摂ることで、筋肉に必要なアミノ酸を効率よく届けられるんでしょうな。
ということで、今回の研究を日常生活に応用するなら、以下のようになるでしょう。
- プロテイン摂取の基本:1日のプロテイン摂取量の目安は、体重1kgあたり1.5g。ただし、過去のデータをふまえるなら、体重1kgあたり1.6~2.2gが望ましい気がする。特に筋トレ後には20~30gのプロテインを摂取するのがよさげ。
- 筋トレメニューの例:筋力を効果的にアップさせるには、以下のようなメニューがよさげ。これらのトレーニングを、週2~3回、1セット8~12回を目安に行うと良い感じ。体力に合わせて無理のない範囲で始めるのが大事。
- レッグプレス(脚の筋力強化)
- チェストプレス(胸・腕の強化)
- スクワット(下半身全体)
- ローイング(背中の筋力強化)
- 長期的な取り組みを意識:効果を実感するには12週間以上の継続が必要になるみたいなので、短期間で結果を求めちゃうとしんどくなりそう。
ここらへんを守りつつ筋トレ+プロテインの摂取を心がけると、非常によろしいのではないでしょうか。
まぁ、いつもながらですが、今回の研究にも課題はありまして、
- プロテインの種類と量のばらつき:研究ごとに使用されたプロテインの種類や摂取量にばらつきがあり、統一的な推奨は難しい。ただし、現時点では、消化吸収が速いホエイプロテインを運動後に摂るのが無難だと思われる。
ってあたりは、まだよくわかってないのでご注意ください。ともあれ、過去の研究を見ていると、筋肉の総量を増やしたい場合にはプロテインを飲むタイミングは関係がないっぽいですが、私のようなオッサンは運動後にプロテインを飲むことで、今後の加齢に良い影響を与えられるのかもしれんですな。