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嫌なタスクを乗り越える最強の心理戦略TOP19


 「やりたくないけどやらなければならない!」みたいな事態に直面することは誰にでもあるはず。私の場合は、税金の申告、ゴミ出し、食器洗い、筋トレのスクワットなどが該当しますね(ベンチプレスは好き)。こうしたタスクは「やらなきゃいけないのはわかってるけどなぁ」って葛藤を生むため、先延ばしやモチベーションの低下を引き起こしがちであります。

 

では、そんな嫌な作業にどう対処するかってことで、ドイツの研究チームがおもしろい調査(R)をしてくれておりました。ざっくりどんな研究だったかと言いますと、まず329人の参加者から、彼らが「嫌なこと」に直面した際に「どんな対策を取ってますか?」って戦略を尋ね、みんなから返ってきた答えを19のカテゴリに分類したんですよ。その結果は、以下のようになりました。

 

 

「嫌なタスク」に対してみんなが使ってる19の戦略

  1. タスクそのものを変える(例:掃除機を素早くかける、部屋の掃除を「10分だけ集中的にやる」と時間を区切る、家計簿を手書きからアプリに切り替える)

  2. 環境を変える(例:公園で仕事をする、家ではなくカフェに行って読書をする、散歩しながらオーディオブックで学習する、書類整理をベランダや庭で行う)

  3. 気を散らすものを排除する(例:耳栓をして集中する、スマホを別の部屋に置いて勉強する、デスク周りを片付けて書類だけを残す)

  4. 社会的サポートを得る(例:勉強会に参加する、家族と一緒に料理をする、フィットネス仲間と一緒に運動する)

  5. カフェインなどの物質を活用する(例:コーヒーを飲んでから税金の申告をする、甘いお菓子を食べて疲労回復を図る、朝一でお気に入りの紅茶を飲みながら計画を立てる)

  6. タスクを楽しくする(例:音楽を聞きながら洗濯する、食器洗いをするときにポッドキャストを聞く、掃除の合間にダンスをする)

  7. プロセスに集中する(例:走るときに体の動きに注意を向ける、窓拭きをする際に布が汚れからきれいになる様子を観察する、筋トレ中に筋肉の動きを意識する)

  8. 気を散らすものを追加する(例:テレビを見ながらトレッドミルで走る、家事をしながらお気に入りのドラマを再視聴する、アイロンがけ中にニュース番組を流す)

  9. 自分へのご褒美を設定する(例:ガレージ掃除の後に好きなスナックを食べる、タスクを終えた後に映画を観に行く、完成後に友達と食事に行く計画を立てる)

  10. 悪い結果を想像する(例:歯磨きをしないことで虫歯になる、洗濯物をたたまないと服がシワシワになる、宿題を終わらせないと成績が下がる)

  11. 良い結果を想像する(例:運動による健康効果、書類整理が終われば翌日がスムーズになる、トイレ掃除をすれば家族が快適に過ごせる)

  12. 目標を設定する(例:毎日10分歩くと決める、1週間で本を3章読むと決める、毎月1回クローゼットを整理する習慣を作る)

  13. 進捗をモニタリングする(例:ダイエットで体重の変化を確認する、日記にタスク完了状況を記録する、健康アプリで歩数や運動量を確認する)

  14. 計画を立てる(例:昼食後に請求書を支払う、ゴミ出しを朝の散歩のついでに組み込む、大掃除を部屋ごとに分けて1日1部屋ずつ進める)

  15. 再解釈する(例:「皿洗い=家族への感謝の表現」と考える、草むしり=瞑想の時間と考える、長時間の料理=家族の健康への投資と捉える)

  16. 自己励ましをする(例:「私は賢いからできる!」「この仕事は私のキャリアにとって大事だ」「他の人にもできているのだから私にもできる!」)

  17. 「あと少し」と考える(例:掃除があと5分で終わると自分に言い聞かせる、「次の休憩までこの仕事を続けよう」と短期的なゴールを設定する、ランニングで「次の電柱まで走ったら終わり」と決める)

  18. 途中で投げ出さない(例:「最後までやらなきゃ時間が無駄になる」と考える、タスクが終わるまでSNSやテレビを我慢する、最後の仕上げ部分を集中してやり抜く)

  19. 感情を調整する(例:「このタスクをやればスッキリする」と考える、ストレスが少ない時間帯を選んで取り組む、作業前に深呼吸やストレッチで心を落ち着ける)

 

ってことで、個人的にも使ったことがある戦略ばかりでして、みんないろいろな方法を使って日々の雑務をやり過ごしてるんだなーって感じですね。このリストをふまえつつ、研究チームは、さらにカナダ、アメリカ、ドイツから集めた参加者に再調査を行い、今度は「みんなどの戦略を一番よく使ってるの?」ってところを調べております。その結果がどうだったかと言いますと、ざっくり以下の戦略が「みんながよく使う手法のトップ4」になりました。

 

 

「嫌なタスク」をこなすためによく使われる四大戦略

  1. 良い結果を想像する
  2. 目標を設定し、進捗をモニタリングする
  3. 「あと少し」でやり遂げると考える
  4. タスクを楽しくする

 

ということで、多くの人はここらへんの戦略を「効果がある!」と感じているようでして、困った時にはこの4つのいずれかを意識して採用してみるのもありでしょう。

 

ただし、ここで注意していただきたいのは、タスクの種類によって効果的な戦略が異なるっぽいところです。どういうことかと言いますと、

 

 

  • 身体的負荷の高いタスク(例:運動)には、以下の戦略が効果的かも

 

    • タスクを楽しくする
    • 良い結果を想像する

 

  • 感情的に大変なタスク(例:人間関係の問題解決)には、以下の戦略はあまり効果的ではないかも

    • 目標設定と進捗モニタリング

 

  • 認知的負荷の高いタスク(例:複雑な学習)には、以下の戦略は逆効果になっちゃうかも

    • タスクを楽しくする(音楽を聴くなど)

 

  • セルフコントロールのスキルが高い人たちほど、以下の戦略を頻繁に活用している。

    • 目標設定
    • 感情調整
    • 良い結果を想像する

 

みたいな感じになりました。ここらへんの効果の違いもふくめて、自分の状況に適した対策を選んでいただくと良いでしょう。「やりたくないけどやらなければならないこと」を完全に避けることはできないものの、ここで紹介した戦略を活用することで、その負担を大幅に軽減できるはずですんで。どうぞよしなにー。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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