【サプリ検証】アルファGPCで頭が良くなる?筋力がアップする?を調べた最新研究の話
最近、サプリ業界で話題の成分といえば「アルファGPC」であります。なにが注目されてるのかと言いますと、
「集中力が上がる!」
「筋力が向上する!」
などと言われてるからであります。アルファGPCは脳の働きに関わる成分なので、こういったメリットが大きいとされ、特にアスリートやハードワーカーに人気があるんですな。
と言うと、いかにも怪しそうな気がしてきますけど、実は意外と根も葉もないような話ではなかったりします。それと申しますのも、アルファGPCってのはコリンの一種で、体内で以下のような重要な働きをしてるんですな。
- アセチルコリンの前駆体になる:アルファGPCは、アセチルコリンって物質の材料になるんですよ。アセチルコリンは、記憶や学習、筋肉の収縮に関わる神経伝達物質でして、そのためアルファGPCを摂取すると、脳へ情報が伝わりやすくなったり、筋肉のパフォーマンスが向上したりといった可能性が出てくるわけです。
- 細胞膜の構成要素でもある:アルファGPCは、体内でホスファチジルコリンという脂質に変わり、細胞膜の維持に貢献する働きも持っております。これがまた神経細胞の膜構造を安定させ、神経伝達の効率を高める効果につながる可能性があるとされており、脳と筋肉の働きに役立つと考えられるわけです。
- 成長ホルモンの分泌促進:一部の研究では、アルファGPCによって成長ホルモンの分泌を高める可能性が示唆されている(確定的な証拠は少ない)。これも脳と筋肉の成長に役立つんじゃないかと思われている。
以上のことから、アルファGPCは脳の働きをサポートし、筋肉にも良い影響を与える可能性があるってわけです。なかなか期待を持たせてくれますなぁ。
では、この考え方はどこまで正しいのかってことで、「アルファGPCで頭は良くなるのか?筋力は上がるのか?」ってのを調べた研究(R)が出ておりました。これは、筋トレ経験のある20人の男性を対象にしたランダム化クロスオーバー試験で、アルファGPCが認知機能や筋力に与える影響をチェックしたものです。
研究チームは、参加者を以下の3つのグループに分けてます。
- アルファGPC 315mgを摂取
- アルファGPC 630mgを摂取
- プラセボ(偽薬)を摂取
それから60分後、みんなに認知機能テストと筋力・パワー測定を指示し、どんな変化が出たのかを調べたんだそうな。具体的には、認知機能は「ストループテスト(注意力・認知的柔軟性)」「フランカーテスト(注意力・抑制制御)」「Nバックテスト(ワーキングメモリ)でチェックし、筋力については「垂直跳び」「ベンチプレススロー」「スミスマシンスクワット」をそれぞれ6セットずつ行ったらしい。
では、結果を見てみましょうー。
- アルファGPCを飲んだら、ストループテストのみ改善が見られた。つまり、注意力アップと認知の柔軟性に改善が見られたのかもしれない。ただし、Nバックテストやフランカーテストでは有意な差がなかった。
- 筋力・パワーアップの効果は見られず、垂直跳びやベンチプレススローの記録に顕著な向上は見られなかった。スクワット後の認知機能テストにも変化がなかった。
うーん、微妙!これを見ると、「アルファGPCは一部の認知機能には良いかもしれないが、筋力アップ効果は期待できない」ぐらいの結果ですね。
それでは、ついでに過去の研究とも比較してみましょう。アルファGPCの効果を調べた研究は複数ありまして、その結果にはバラつきがあったりします。
- 良い結果が出ている研究
- 悪い結果が出ている研究
うーん、これまた解釈が難しいっすねぇ。まだ何とも言えないところですが、「アルファGPCが効くかどうか」は条件によって異なるのかもしれんですな。全体的に見ると、若くて健康な人に対しては効果が薄い可能性が高いので、あんま試す価値はないかもなぁ……って気がしますね。私のようなアラフィフには良いのかもですが。
ってことで、まとめです。アルファGPCは試す価値があるのかと言われたら、現時点で私はこんな風に答えることにします。
- 今回の研究や過去のデータを総合すると、とりあえずアルファGPCは「万能な脳&筋力ブースター」ではなさそう。
- ただ、集中力や注意力を上げたいなら、試してみる価値はあるかも。
- 筋力向上を狙うなら、クレアチンやβアラニンを飲むほうが間違いない。
まあ世の中に「これさえ飲めばパフォーマンス爆上がり!」なんてサプリは存在しないので、何ごともあんま期待しない方が良いでしょう。その上で、「仕事や勉強の前に試してみるのはちょっとアリ」だけど、「筋トレのパフォーマンスアップを狙うなら他のサプリの方が良さそう」ぐらいに考えておくと良いのではないでしょうかー。