このブログを検索




持久力に「第四の次元」があった!疲労耐性を最速で高めるトレーニング法とは?

  

 

持久力が欲しい!」と思う人は多くおりましょう。どんな体力自慢でも、長い距離を走っていたら、序盤は余裕だったとしても、後半にかけてペースが落ちて脚が重くなり、フォームが崩れてくるものです。つまり、どれだけ優れた持久力を持っていても、疲労によるパフォーマンス低下は避けられないわけです。

 


スポンサーリンク

しかし、最近の研究では、この「疲労によるパフォーマンス低下」には個人差があることがわかってきてたりします。同じVO2maxを持つランナーだったとしても、ある人は長時間走ってもパフォーマンスがあまり落ちないのに、ある人は疲労すると急激にランニングエコノミー(走行効率)が低下し最後まで持たないことがあったりするんですな。不思議ですねぇ。

 

で、この差を生む原因として新たに言われ出したのが「疲労耐性」って能力で、名前のとおり「疲れに対してどれだけ耐えられるか?」みたいな能力を示しております。最近はレース後半のパフォーマンスを大きく左右する要素とされてまして、持久力の「第四の次元」として注目されてたりするんですな。

 

近ごろ、この疲労耐性を高める方法を調べたものがいくつか出てましたんで、最新の研究を2つ見てみましょう。

 

 

① 「筋トレ」で疲労耐性は向上するのか?

まずは、イギリス・ラフバラ大学などが行った研究(R)で、10kmを39分で走るレベルのランナー28名を集めて、以下の2つの条件に置いております。

 

  1. 半数は通常のトレーニングを継続
  2. 残り半数は週2回の筋トレを追加(10週間)

 

その上で、みんなに以下のようなパフォーマンス試験を行ったんだそうな。

 

  1. 90分間のランニング(乳酸閾値に近いペース)
  2. その後の全力走(タイム・トゥ・エグゾースションテスト)
  3. 15分ごとにランニングエコノミー(RE)を測定

 

ということで、この研究チームは、「筋トレによって疲労耐性が高まるのでは?」と考えてみたわけですね。すると、やはり研究チームの読みは当たってまして、

 

  • 筋トレをしていないグループ → 90分後のランニングエコノミーが4.7%悪化した
  • 筋トレをしたグループ → ランニングエコノミーの悪化はわずか2.1%だった

 

ってな結果が出たんだそうな。つまり、筋トレによって走りの効率低下が半分以下に抑えられたってことでして、これは持久力を求めている方には非常にナイスな結果なんじゃないでしょうか。ちなみに、筋トレを取り入れたランナーは、90分走の後の全力ダッシュでも好成績を記録してまして、やはり疲労耐性が上がった事実が確認されてたりします。

 

となると、どんなトレーニングをすればいいの?ってところが気になるでしょうから、この研究で実施されたトレーニング法も簡単にまとめておきます。簡単に言えば、ここで処方されたのは「重めのウェイトトレーニング」+「爆発的なプライオメトリクス」の組み合わせでして、

 

  • ウェイトトレーニング(3セット×6回)
    • バックスクワット
    • 片脚レッグプレス
    • シーテッド・カーフレイズ

 

 

といったメニューをやってみたらしいっすね。筋トレはもちろんプライオメトリクスを組み合わせてみるのが大事……なのかもって気がしますな。

 

 

 

② 「最強の持久力」はどう鍛えられるのか?

で、もうひとつエクセター大学などのテスト(R)も見ておきましょう。このチームは、トップランナーの「疲労耐性」についての知見をまとめてくれてまして、過去の研究をだだーっとサーベイしてみた上で、疲労耐性を鍛えるためのシンプルな結論を出してくれております。簡単にまとめると、

 

  • 結局のところ、持久力を高める方法は昔から言われていることに尽きる!

 

みたいになります。疲労耐性を高めるための黄金メソッドみたいなものは存在せず、昔から言われてたことを地道に行うしかないってことですな。具体的には、

 

  •  長年のハイボリュームトレーニング(高い走行距離の蓄積)

  •  ロングラン(レースペースに近い強度を含む)

  •  高強度インターバルトレーニング

  •  ピラミッド型トレーニング(低・中・高強度を適切に組み合わせる)

 

みたいな感じです。うーん、確かにどれも定番だぜ……。

 

さらに、これに加えて、以下のような手法も「疲労耐性」にプラスに働く可能性があると指摘しておられます。

 

  •  ファステッドトレーニング(空腹状態でのトレーニング)

  •  高地トレーニング(酸素供給量の少ない環境での適応)

 

個人的にはファステッドトレーニングとか高地トレーニングってのは、「そんなに意味あるのかなー」とか思ってたんですが、これを見ると疲労に強い状態を作るのにはいいのかもですなぁ。辛いからあんまやりたくないですが。

 

ということで、ここまでの話をまとめてみると、「疲労耐性」を向上させるためには、次の3つのポイントが重要そうであります。

 

  1. 高強度の筋トレ+プライオメトリクスを取り入れる(特にVO2maxが低下しがちな人)

  2. 従来の持久力トレーニングを愚直に積み重ねる(長距離・インターバル・ロングラン)

  3. ファステッドトレーニングや高地トレでさらなる刺激を加える

 

私は長距離走はあんま好きではないので、こうして見ると高強度の筋トレ+プライオメトリクスが一番とっつきやすそうかもな……って気がしますね。もし「レース終盤で失速しがち…」と悩んでいる方も、これは役に立つ知見じゃないでしょうか。


スポンサーリンク
ホーム item

search

ABOUT

自分の写真
1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

INSTAGRAM