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かの有名な「イェール大学の目標設定実験」がデマだった件


オリバー・バークマンの「アンチドート」って本を読んでたら、「イェール大学の目標設定実験はデマだよ!」って話が面白かったんでメモ。



「イェール大学の目標実験」は「自分の目標を紙に書いた生徒は本当に成功する」ことを証明した(と言われる)実験で、自己啓発本によく出てくる「夢は紙に書くと実現する!」みたいなテクニックのネタ元であります。


その内容をざっと引用しますと、

大学で生徒に「書き留められた目標をもっていますか?」というアンケートをとった。イエスと答えた学生は全体の5%足らずであった。

 

その後、20年後このアンケートを実施した学生たちを追跡調査した。

 

結果は、書き留められている目標をもっている5%の卒業生たちが形成した資産の合計が、残りの95%の卒業生の資産合計を上回るものになっていたというものだった。

 

つまり、目標をもっていた学生は20年間で、目標をもっていなかった学生たちの20倍もの資産を手に入れていたのだった。

 

(「書き留められた目標」をもっている人は全世界の人口の3%未満といわれている)

 

 

参考:「目標を設定してなぜ紙に書き出すのか



というもの。私も何となく聞いたことがある話でした。


が、オリバー・バークマンによれば、そんな研究はどこにも存在せず、他の論文に引用された回数もゼロ。イェール大学の職員にもたずねたところ、「数年前に調査を行ったが何も見つからなかった」との返事だったらしい。


大笑いしたのは、この研究をよく引き合いに出している自己啓発業界の有名人たちに、情報の出どころを聞いてまわるところ。アンソニー・ロビンズのところへ行ったらブライアン・トレーシーに聞けと言われ、ブライアン・トレーシーのところへ行ったらジグ・ジグラーに聞けと言われ、ジグ・ジグラーのところへ行ったらまたアンソニー・ロビンズに聞けと言われたそうな。


もちろんイェール大学の話がデマだからと言って、目標設定の有効性そのものが否定されたわけじゃないんですが、なんつーか、自己啓発の世界ってゆるいんだなーという感じですなー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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