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遺伝子組み換え食品にはどこまで気をつければいいのか?

Genetically Modified Food

こないだ友人から「遺伝子組み換え食品ってどうなの?」って話になりましたので、そのへんの話でも。


遺伝子組み換え食品が予想できない被害をもたらす? 
遺伝子組み換えは、その名のとおり、ある生き物から役に立つ遺伝子だけを取り出して、別の生き物に組み込んだりする技術。日本でも大豆食品やスナック菓子なんかに、大量の遺伝子組み換え食品が使われております。


その安全性については昔から賛否ありまして、厚労省やFDA(米国食品医薬品局)は「問題なし!」と言い切ってるいっぽうで(1)、FDAの科学者が「予想できない被害をもたらすかも!」などと発言していて(2)、どうしたもんかなーといった感じ。


遺伝子組み換え食品が「ヤバい!」と言われるのは、ヒトの体が対応してない新種のタンパク質ができちゃうケースがあるから。グルテンのような穀物のタンパク質がアレルギーを引き起こすように、遺伝子組み換え食品のタンパク質も、体内で免疫系を暴走させたあげくに慢性炎症をもたらす可能性があるんですな。


マウス実験のデータは結構ヤバめ
といっても、いまのところヒトに対する遺伝子組み換えの害を実証した研究はなくて、ほとんどはマウス実験のデータがメイン。たとえば、

  • 遺伝子組み換えコーンにふくまれるBTタンパク質が、マウスたちの免疫システムを乱して腸内環境も悪化させた(3,4)
  • 遺伝子組み換えコーンを食べたマウスほど悪性の腫瘍ができる確率が高かった(5)
  • ヒトの細胞を使った生体外研究では、BTタンパク質に細胞を永遠に破壊する現象が見られた(6)

などなど。いずれもデータとしては小規模でして、「遺伝子組み換えは悪!」と断定できるレベルじゃないんですが、腸内環境と免疫系へのダメージがありそうなのが心配なところです。


実際は「問題ない」って意見のほうが優勢
が、そのいっぽうでは、「遺伝子組み換え問題なし!」って研究もありまして、

  • 遺伝子組み換えの穀物で育った動物たちのシステマチックレビューでは悪影響が見られなかった(7)
  • 6年間の家畜のデータを調べても遺伝子組み換え食品の悪影響はなかった(8)
  • 83件の論文を調査しても遺伝子組み換え食品の健康リスクはなかった(9)

などなど。いずれも「もっと調査が必要」と言いつつも、「健康には問題ないんじゃない?」って見解になっております。


まぁ、これらの研究はバイオテクノロジー系の企業がバックアップしてるケースも多いので、多少の考慮は必要かと思います。が、全体的に見れば「遺伝子組み換え食品はOK!」って見解のほうが優勢な感じ。


まとめ
そんなわけで、いまのところ遺伝子組み換え食品に関しては、

  1. 危険性が確認されたのは動物実験のみ
  2. ただし、質の高い研究では安全性が確認されている

といった状況でして、いまのところは安全派が有利な印象です。


もちろん、「危うきには近よらず」の精神は大事ですんで、「ハッキリするまで絶対に食べない!」って態度は十分にアリでしょう。というか、遺伝子組み換えが使われている食品というのは、

  • 大豆
  • コーン
  • 加工食品
  • ナタネ

などなど、パレオダイエットではNG指定されてるものばっかなんで、普通に健康的な食事をしてれば自然と遺伝子組み換え食品は口にしなくなるかと思いますけどね。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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