体を冷やすと脂肪が燃えるのは間違いないが、実際にダイエットに使えるものなのか問題
「体を冷やすと脂肪が燃える!」って話は昔からありまして、当ブログでも「冷たいシャワーがダイエットに効く!?」や「寒い部屋で眠ると脂肪が燃えやすい!」なんてデータを紹介してきました。
褐色脂肪細胞が活性化で脂肪が燃える
寒さで脂肪が燃えやすくなるのは、褐色脂肪細胞が活性化するから。褐色脂肪細胞は、俗に「良い脂肪」などと呼ばれる特殊な脂肪で、カロリーを消費する機能を持ってるんですな。
ただし、ここで難しいのが「現実的にダイエットに使えるの?」ってところ。最近になって研究が進んできた分野なんで、「何度で体を冷やせばいいの?」とか「何時間冷やすの?」ってあたりがよくわかんないんですな。
というわけで、ここ数年に出た褐色脂肪細胞とダイエットに関するデータ(1,2)をいくつか読んでみましたんで、現時点で言えそうなことをまとめてみようかと。
寒さで脂肪が燃える理由とは?
で、そもそも寒さで脂肪が燃えるのは、ヒトの脳に自動の温度調節器がついてるから。
ご存じのように、人間の体は、どんなに周囲の温度が下がっても、深部体温(体の奥の温度)はつねに一定になるようにできております。そうしないと内臓の働きが鈍っちゃいますからね。
温度の変化を感じ取るのは脳の視床下部。深部体温が下がったことに気づくや、いろんな手段を使って体を温めようとがんばり始めます。たとえば、
- 体をガタガタ震えさせる
- 血管の直径を変える
- 褐色脂肪を働かせる
などなど。とにかく脳は体温の変化に敏感なんですね。
その流れをざっくりまとめると、
- 体をガンガンに冷やす
- 慌てた脳が「体を暖めろ!」と指令を出す
- 褐色脂肪のスイッチがオンに
- 脂肪が燃える!
って感じになっております。
ダイエットには不向きだが、アンチエイジングにはアリ
以上の話をふまえたうえで、日常生活への応用を考えていきますと、
- 褐色脂肪は冷やさないと起動しない:褐色脂肪は寒さ以外の方法では活動しない。なので、「肩甲骨をのばして褐色脂肪を刺激すれば痩せる!」と主張する「肩甲骨ダイエット」では効果があると思えない。
- 体の表面温度だけ下げれば十分:脳が「寒くなった!」と感じさえすれば褐色脂肪は起動するので、深部体温まで下げる必要はなし。体が自然にガタガタ震えだすレベルだと寒すぎ。具体的には15〜17℃ぐらいの水を浴びればOK。
- 不快感をおぼえるレベルまで冷やすのが大事:なんせ脳がパニックを起こさないと褐色脂肪は起動しないので、ある程度の不快感は必須。つまり、サウナあがりの水風呂レベルでは代謝が上がらない。
- 冷やす場所はどこでもOK:とにかく脳が慌てるのが大事なので、冷やす場所はどこでもいい。確かに肩甲骨には褐色脂肪が多いんですが、そこだけにこだわって冷やしても無意味。
- ダイエットへの応用は難しそう:2013年の論文(2)によれば、16℃の部屋に1日2時間も入り続けてようやく6週間で5%の体脂肪が減っただけ。これだけの手間をかけるなら、普通に1日の摂取カロリーを減らしたほうがダイエットには効果的でしょう。
- アンチエイジングに使うのはアリ:体脂肪の減り方こそ少ないものの、深部体温が上昇する方法は他に少ないので貴重なテクニックではあります。脂肪燃焼のほかにも、体の抗酸化力をアップさせたり(3)、免疫力をあげる作用もありまして(4)、アンチエイジングに使うのは十分にありなんじゃないかと。
というわけで、痩せるために褐色脂肪を使うのはオススメできませんが、アンチエイジングのためにはかなり良いのではないかと。
まずは、自分が不快感をおぼえるレベルで冷たいシャワーを浴びるところからスタートするのがよさげです。といっても、わたしがまだ実践できてないんで、デカいことはいえないのですが(寒いのが苦手)。