「痩せない!」って人の話を聞いたら単に「食べなさすぎ」が原因だった件
こんなブログをやってますと、よく「痩せない」とか「眠れない」みたいな相談を受けたりするんですが、よく話を聞いてみたら、単純に「食べなさすぎ」が原因だったってケースがよくあります。せっかく食事の内容には気を使っているのに、食事の量が少なすぎて問題が起きてしまうパターンですね。
特に女性は過食への恐怖心が強い方が多いのか、慢性的なカロリー不足で体調を崩しているケースをよく見受けます。というわけで、カロリー不足で起きる症状についていくつか。
1 体重がピクリとも減らなくなる
がんばってカロリー制限をしてるのに、体重計の数値が少しも動かなくなっちゃう最悪のパターン。だいたい1日1,200cal以下の暮らしを続けて、さらに毎日ランニングなどをしていると、体がこのモードに入っていきます。
こういった現象が起きるのは、甲状腺ホルモンの働きが死ぬから(1)。甲状腺では、T3やテストステロンといった脂肪燃焼系のホルモンが作られてるんですが、慢性的に摂取カロリーが少ないと、これらの産生が止まっちゃうんですね。スーパー糖質制限の問題点と同じ仕組みであります。
その変わり、体のストレスに反応して分泌されるのが、当ブログではおなじみのコルチゾールであります(2)。コルチゾールの量が増えると、ヒトの体には2つの変化が起きます(3,4)。
- インスリン抵抗性の悪化
- レプチン抵抗性の悪化
どちらも体の脂肪を維持する方向に働くので、いったんこのモードに入ると、どんなにがんばってカロリーを減らしても体重は落ちていかなくなっちゃうんですね。
2 血糖値の変動が激しくなる
血糖値の変動というと炭水化物のとり過ぎが問題にされますけど、カロリー不足でも血糖値は激しく乱れます。
これは、慢性的なカロリー不足による低血糖が原因(5)。栄養が足りない状態で体を動かすと、ヒトは簡単に低血糖状態に入っちゃうことがわかってまして、だいたい血糖値が70 mg/dLを下回ったあたりから以下の現象が起きてきます。
- 激しい空腹
- 不安感
- 体の震え
- めまい
- 多汗
とにかく辛い症状のオンパレードなんで、ぜひ慢性的なカロリー不足は避けたいところ。
3 気分がコロコロ変わる
こちらもカロリー不足による低血糖が原因(6)。ちゃんと食事をとらないと、全体的に性格が攻撃的になり、気分がコロコロと変わっていくことがわかってるんですね。
また、血糖値の低下はセルフコントロール能力の低下をもたらすこともあきらかになってまして、自分の怒りをおさえるのが難しくなっちゃう。その結果、ストレスに弱くなったり、衝動的な行動に出てしまったり、他人に当たり散らしたりといった反応が起きてくるわけです。
心当たりがある方は、いろいろと悩む前にまずは食事の量を増やすことをオススメします。
4 眠れない
これもハードなダイエッターの間でよく効く症状であります。その仕組みは、
- 夜になると、肝臓がグリコーゲンを出して血糖値を安定させようとする
- しかし、カロリー不足だと肝臓にグリコーゲンがない
- あわてた体がアドレナリンやコルチゾールを分泌して、新しい糖を作ろうとする
- アドレナリン作用して、全身が興奮状態に
- 眠れない!
って感じ。体を守るために出たストレスホルモンが、睡眠の質を下げちゃうわけですね。このほかにも炭水化物には、セロトニンやメラトニンといった睡眠に関わるホルモンを増やす働きもありまして、やはり寝る前には適度な糖質を食べておきたいところです。
5 激しい便秘
カロリー不足と便秘の関係もよく聞く話。こちらの原因は体重が減らなくなる理由と同じで、甲状腺の働きが鈍っちゃうから。甲状腺で作られるT3ホルモンには腸内の働きを刺激する役目もあるんですね(7)。つまり、
- カロリー不足でT3の量が下がる
- 腸が満足に動けなくなる
- 慢性的な便秘!
といった流れです。
6 激しい冷え性
女性には定番の悩みですが、これまたカロリー不足で起きがちであります。この原因になるのは、
- 甲状腺ホルモンの低下
- インスリン量の低下
の2つ。どちらも体内に熱を作り出すためには必須のホルモンでして、実際、ハードな糖質制限ダイエッターの間でもよく似た症状が多く報告されております(8)。とにかく寒がりな方は、まずは1日のカロリー量を見なおしたほうがよさげ。
問題が起きない最低のカロリー量とは?
そんなわけで、カロリー不足で以上の症状が起きてる方は、すぐに食事の量を増やすべき。とはいえ、ダイエット中の場合は、ドカ食いへの恐怖心もあるでしょうから、最後に「必要なカロリーの最低ライン」を出す方法を見て行きましょう。
具体的には、
- 自分の標準体重を割り出す
- 標準体重(kg) ☓ 22=1日に必要な最低カロリー
といった感じになります。標準体重が60kgの方は、60kg × 22 で1日1320kcalが最低ラインになります。かなり大ざっぱな出し方ではありますが、おおよその目安にはなるはず。この数値を下回ると、どうしてもホルモンバランスが崩れていきますし、必要なビタミンやミネラルも取りづらくなっちゃうんですよね。
いずれにせよ、食べなさすぎは食べ過ぎと同じぐらい体に悪いんで、ぜひ気を配っていただきたいところです。
Image credit: shutterstock