すばやくプレッシャーに勝つための科学的な方法「無理やり他人からほめてもらう」
「良いアイデアが必要なときは、他人に自分をほめてもらおう!」って 論文(1)がおもしろかったんでメモ。
これはハーバード・ビジネス・スクールの研究で、75名の参加者に2パターンの実験を行ったもの。まずは全員の親しい友人や身内から協力を得て、参加者をほめまくる手紙を書いてもらったんですね。たとえば、
あなたは本当に知的。頭の回転が速くて何事も明確に表現できるし、多くの女性の見本のような存在ね。あなたが討論会に参加したことがあったけど、とても刺激を受けたわ。
みたいな感じ。見事なほめっぷりですね。
その後、全員に3分間のスピーチをしてもらったところ、事前にほめられた参加者は堂々とした態度を見せ、聴衆からの評価も格段に高くなったんだとか。この現象を、研究者は「ベストセルフ・アクティベーション」と呼んでおります。直訳すると「最高のオレ活性化」。なんか恥ずかしいですが。
また2つめの実験では、参加者の友人や親族に「各人の良いエピソード」を書いてもらったんだそうな。たとえば、
かつて学校でイジメられた記憶に苦しむ私を、あなたは夜どおし慰めてくれたことがありました。優しい言葉と同情心に、どれだけ癒やされたことか。
みたいな感じ。その後、全員にはロウソク・画びょう・マッチの3つが渡されまして、「ロウソクを壁に取り付けてください」との指示が出たんですね。これは創造性を計る有名なテストで、俗に「ドゥンカーのロウソク問題」と呼ばれております。
すると、事前に自分の良いエピソードを読んだ参加者は、51%が3分以内に正しい答えに到達。何もせずに問題に挑んだ場合は、19%しか正解にたどりけなかったんだそうな。「最高のオレ活性化」は創造性もアップさせるわけですね。
ここで大事なのは、参加者が「実験に協力するためにほめてくれてるんだな」と自覚してるとこでしょうか。たとえ相手が自分の意思で発した言葉でなくとも、とにかくほめてもらうだけで効果は出るんですね。
研究者いわく、
「最高の自分」の記憶を活性化させると、個人の最高のポテンシャルを引き出すことができる。それにも関わらず、大半の社会や組織は、友人や従業員に「最高の自分」 を思い出させるための仕組みを持っていない。
とのこと。ほめるだけで人間のパフォーマンスはグンと上がるんだから、使わない手はないじゃないか、と。確かに手軽に使える「親切」のひとつとしても意識しとくといいかもですねー。