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筋肉はパーツごとに鍛えるべきか、それとも1日で全身を鍛えるべきか?

Th 5  

 筋トレのスケジュール法には、

 

  • フルボディルーチン:1日で全身の筋肉を鍛える
  • スプリットルーチン:月曜は上半身、水曜日は下半身、金曜日は背中といったように、曜日ごとに鍛えるパーツを分ける

 

という2種類がありまして、昔から「どっちがいいんだ!」って議論が絶えなかったりします。

 

 

近ごろのエクササイズDVD(P90XとかBody Beastとか)やボディビルの世界では、スプリットルーチンのほうがメジャーな感じ。いっぽうでアスリートの世界では、フルボディルーチンが使われる場合が多いようです。

 

 

スプリットとフルボディはどっちが優秀なの?

といったところで参考になるのが、近ごろ出た論文(1)。これはボンド大学の実験で、スプリットとフルボディの効果の違いをくらべたんですね。

 

 

参加者は24名のラグビー選手で、みんな2年以上の筋トレ経験を持っております。実験の流れとしては、

 

  1. まずは全員にフルボディルーチンで4週間の筋トレ
  2. 8週間の休憩期間をおく
  3. 続いて全員にスプリットルーチンで4週間の筋トレ

 

みたいな感じ。具体的な筋トレの内容は、

 

  • トレーニングは週3で行う
  • いずれのメニューも8RMの負荷で3〜6セット。休憩は60〜90秒
  • 上半身メニューはベンチプレスやプルダウン、ショルダープレスなど
  • 下半身メニューはバックスクワットやレッグプレス、レッグカールなど

 

といったところ。もちろん、フルボディとスプリットのトータルの運動量は同じになるよう調整されております。

 



 

体脂肪を減らすならフルボディ、トレーニング回数を増やすならスプリット

実験の結果がどうなったかと言いますと、

 

  • 体組成の変化
    • 筋力はどちらも同じように上昇した(5.4〜7.4%)
    • 体脂肪の減少度はフルボディルーチンのほうが多かった(-5.7 ± 6.3 vs. -2.1 ± 4.1kg)
    • 筋肉量の増え方には差が出なかった
  • ホルモンの変化
    • スプリットルーチンのほうがテストステロン(男性ホルモン)が21.1%増えた
    • ただし、スプリットルーチンはコルチゾール(ストレスホルモン)も50%増えてしまった
    • フルボディルーチンはテストステロン値に変化が出なかったが、コルチゾールは13.4%減った

 

みたいな感じ。筋肉や筋力には差が出ないものの、体脂肪の減少に関してはフルボディルーチンのほうが有利みたいっすね。フルボディのほうが定期的に多くの筋肉を刺激できるんで、そのぶんエネルギーを使うのかも。

 

 

その意味ではフルボディのほうがよさそうなんですが、いっぽうでスプリットルーチンには「全体の運動量を増やしやすい」ってメリットがあるのがポイント。1回のトレーニングの負荷を散らせるんで、よりハードな追い込みが可能になるんですよね。スプリットを使うボディビルダーが多いのも当然といいますか。

 

 

そんなわけで、ざっくりとしたガイドラインとしては、

 

  • とにかく筋肉を増やしてデカい体を作りたいんだ!という方はスプリットルーチンでトレーニング量を増やす
  • 体はデカくならなくてもいいから、引き締まったボディにしたい!ならフルボディルーチンがおすすめ

 

といったところでしょう。わたしも筋トレを始めたころはスプリットを使ってましたが、近ごろは見た目を優先してフルボディにシフトしております。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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