がんを防ぐライフスタイルの「最低ライン」が割り出された件
がん予防に効くライフスタイルとは?
「なんで人はがんになるの?」って問題については全く結論が出てない状態なんですが、とりあえず「運動したほうがいいんじゃない?」とか「タバコはヤバいでしょう」といったあたりが正しいのは間違いないところです。
それでは、具体的に「がんを防ぐためにやるべき最低ラインはどのへんなの?」って話ですが、そのへんを調べた論文が出ておりました(1)。
これはハーバード大の研究で、「がん予防に効くライフスタイルは?」って問題について調べたもの。以下の2種類のデータセットを使って、発がん率とライフスタイルの関係を調べたんですな。
- 1976年から看護婦の健康状態を調べたリサーチ
- 1986年から男性医師を中心に調べたデータ
総サンプル数は136,000人で、年齢は30〜75才まで。かなりの人数を長期にわたって調べた内容になっております。
「がんにならないライフスタイル」の四天王
その結果、「がんにならないライフスタイル」の四天王は、
- タバコは吸わない、または禁煙から5年以上が経過
- 酒は飲まない、または女性は1日1杯、男性は1日2杯まで
- BMIは最低で18.5以上、最高で27.5以下の間をキープする
- 週にキツめの運動を最低75分、またはゆるめの運動を最低150分
って感じだったそうな。この4つで全体の発がん原因のおよそ3分の1を占めてまして、あとは遺伝とか食事がからんでいる模様。
ちなみに「ゆるめの運動」は、普通にウォーキングしてれば達成できるレベル。全体的に、どの条件もそんなにハードルは高くないですね。当ブログを読んでいるような方であれば、恐らくはラクにクリアできているのではないかと。
四天王をクリアするだけで発がん率は激しく下がる
しかし、お手軽なわりにその効果は絶大。上の4つのポイントをクリアすると、以下の確率で発がん率が下がっていきます。
- 肺がん:女性は82%、男性は78%
- 大腸がん:女性は29%、男性は20%
- すい臓がん:女性は30%、男性は29%
- 膀胱がん:女性は36%、男性は44%
- 喉頭がん:女性は75%、男性は57%
- 腎臓がん:女性は36%、男性は4%
- 肝臓がん:女性は27%、男性は32%
- 食道がん:女性は62%、男性は66%
うーん、すばらしい。ちょっとライフスタイルを変えただけで、発がん率はかなり下がるわけですね。これはかなりの費用対効果じゃないかと。
もちろん、この手の研究には限界があるのが常でして、
- 対象者が白人だけしかいない
- もともと健康意識が高い人にしか調査してない(つまり、もっと調査対象を広げたら、もうちょい基準が厳しくなる可能性はある)
といったあたりで数字に差が出てる可能性は大であります。
とはいえ、「とりあえず、これぐらいやっとけば発がん率はガッツリ下がるよ!」という大まかなラインがわかっただけでもありがたいなーと思われます。それでは、どうぞよしなに。