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砂糖は麻薬!コカインと同じ中毒性!はどこまで本当か?

Sugar

 

砂糖の中毒性ってどうよ? 

砂糖には麻薬のような依存性がある!」って主張が一部でありまして、軽く検索するだけでも、恐怖を煽ったページが山ほど出てくるわけです。

 

 

が、当ブログを長くお読みの方ならご存じのとおり、わたしはそんなに砂糖を敵視しておりません。もちろん摂りすぎるは論外ですが、一部には精製された砂糖を食べても問題が起きてない部族がいたり、ヒトを対象にした実験でも依存性が確認されてなかったりしたもんですから。

 

 

で、この問題はいまも熱いトピックになっていて、ここ数年でも「砂糖の中毒性ってどうよ?」について調べた研究がいくつか出ております。ここでは、そのあたりをまとめておこうかと。

 



 

砂糖だけでは依存も肥満も起こらない

まずは2017年にマーストリヒト大学が行った研究(1)で、1495人の学生を対象にした観察研究になっております。具体的には、みんなに「なんか食事の依存症ある?」ってのを聞いたうえで、BMIとの関連がどれぐらい調べたんですね。

 

 

そこでわかったことが、

 

  • 95%の学生は何らかの食品に依存した経験がある
  • 依存しやすい食品としてもっとも多いのは砂糖と脂肪が組み合わさったもの
  • 砂糖だけの食品に依存を起こすケースは少ない
  • 結局、太った学生は「砂糖+脂肪」の消費量が大きく、主に砂糖だけをふくむ食品は肥満との相関がなかった

 

というわけで、「砂糖と脂肪のセットになるとヤバいんだ!」っていう「フードトラップ」の主張を裏付けする内容になっております。砂糖だけじゃそんなに太らないんだ、と。

 

 

食べ過ぎの原因はカロリー密度と個人の環境

研究者いわく、

 

今回のデータは、砂糖が多い食品は依存性が低く、肥満のリスクにもなりにくいことを示している。

 

過去の研究と合わせてみれば、食べ過ぎをもたらすのはカロリーの密度と、それぞれの個人の環境によるところが大きいだろう。

 

とのこと。このあたりは、三大栄養素よりもカロリーの質が大事だよねーっていうパレオダイエットの主張とよく似てたりします。

 

 

環境によって砂糖依存のような行動が起きる

もっとも、これは横断研究なのでエビデンスのレベルとしてはそこそこぐらいです。そこで、続いてはケンブリッジ大学が出したレビュー論文(2)を見てみましょう。

 

 

これは、過去に行われた砂糖中毒に関する実験データをまとめたもので、長いのでポイントだけを抜き出すと、

 

人間が砂糖依存を起こすという証拠は存在しなかった。

 

動物実験のデータを見ると、確かに砂糖中毒のような行動はみられる。しかし、それはあくまで断続的に砂糖へアクセスできる環境があったときだけだ。

 

砂糖中毒のように思える行動は、報酬が多い食品が断続的に手に入る環境によって引き起こされる。決して、砂糖に神経科学的な作用があるわけではない。

 

だそうな。つまり、砂糖で脳がおかしくなるような事実はなくて、たんに「お菓子屋が近所にある」とか「戸棚にケーキが置いてある」といった環境によって依存っぽい行動が起きるって話です。

 

 

まとめ 

そう考えると、砂糖を減らしたいときは、別に難しいことを考えなくても「飲み物とお菓子を遠ざければ間食は減る」といったグーグル式の手法を使えばOKなんでしょうな。あとは「太りやすい環境チェックリスト」を参考に自宅を変えてみたりとか。

 

 

まぁ普通に考えても、砂糖にそこまで中毒性があるなら、最強のお菓子は角砂糖だってことになっちゃいますからねぇ。でも実際は角砂糖に依存してる人はいないわけで(少しはいるのかもですが)、要するにそういうことなんでしょう。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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