インドネシアの納豆「テンペ」は健康にいいのか悪いのか
テンペはパレオ的にアリかナシか
テンペに関するご質問をいただきました。
テンペという食品を御存知でしょうか?
「テンペとは、大豆の煮豆を、テンペ菌で無塩発酵させたインドネシアの伝統食品です。納豆のようなネバネバやニオイはありません。」 参考 URL www.tokiwa-syokuhin.co.jp/column/tenpe.html
私は納豆の匂いがダメで食べられないのですが、このテンペであれば大丈夫です。
ただリーキーガットを治そうとしているので、豆類に当たるテンペを食べていいのか判断がつきません。
とのこと。確かにテンペな味にクセがないんで、食べやすいですねー。
で、まずは私の豆類へのスタンスをおさらいしとくと、「別に悪くないけど積極的に食べようとは思わないな〜」ぐらいのレベル。海外のガチパレオダイエッターなどは豆を完全に避けるケースも多いものの、考古学的に見ると、かなり昔から人類は豆を食べてきたようなんで、そこまで嫌わなくてもいいのではないか、と。
そこで「テンペはどうなの?」って話ですが、これにはいくつかのポイントごとに分けたほうがよいかと思います。順を追って見ていきましょう。
テンペの栄養価が高いのは間違いない
まず第一のポイントとして、テンペの栄養価が高いのは間違いないところ(1)。100gあたりの成分でみると、
- タンパク質 18g
- コレステロールゼロ
- リボフラビン 0.4mg
- ナイアシン 2.1mg
- ビタミンB6 0.2mg
- 亜鉛 1.6mg
- 葉酸 21µg
みたいな感じ。重要なビタミンとミネラルが1日に必要な量の5〜30%ほど入ってまして、カロリーの質はなかなかのもんです。
プロバイオティクス食品としての効果もありそう
が、ここで気になるのは、ご質問者さんのおっしゃるとおり「リーキーガット」の問題でしょう。豆類にはサポニンっていう渋み成分が入ってまして、コレステロールを下げるメリットがある一方で、腸内環境にダメージを与えることがわかってるんですね。
これは難しい問題ですが、基本的な前提としては発酵させた豆はサポニンが大きく減ります。例えば1994年の調査(2)によれば、テンペにふくまれるサポニンの量は、だいたい普通の大豆の24%ぐらいだとか。
ちなみに、ソイプロテインには普通の大豆より2倍以上のサポニンが凝縮されてるそうで、製法によってかなりの差が出るみたい。やはりソイプロテインは扱いが難しい…。
また、数は少ないながらもテンペと腸内環境の関係を調べた実験はいくつかありまして(3,4)、ヒトを対象にしたデータでは「腸内の良い菌が増えて悪い菌が減った!」って結果が出てたりするんですよね。どうもテンペには、悪いバクテリア(病原性大腸菌とか)を退治して、ビフィズス菌などを増やす働きがあるようなんですな。
こうして見ると、テンペのサポニンによる悪影響よりも、腸内環境を整えるメリットのほうが上回ってる可能性が大。あとは個人のサポニンへの耐性の問題になりまんで、もしテンペを食べてもお腹に異常が出ないなら、そのままレバートリーの一つに取り入れていただけばよいかと。
テンペの唯一の残念ポイント
というわけで、テンペは悪くない食品だと思うわけですが、唯一の残念ポイントは、植物性エストロゲンが多いとこでしょうね。これは体内で女性ホルモンに似た働きをする成分の総称ですが、わりと現代人はエストロゲンが過剰ぎみなんですよ。
植物性エストロゲンは発酵しても量が減らず、だいたいテンペ100gあたり40〜45mgほどのイソフラボンが入っております。厚労省が定める上限値が70〜75mgぐらいなんで、1日100〜150gぐらいにしといたほうがいいかなーと。
いろいろ書きましたがざっくりまとめると、
- テンペの栄養価はなかなか高い
- プレバイオティクス食品としても優秀っぽい
- 食べ過ぎてエストロゲン過剰にならないように注意
って感じですね。参考になれば幸いです。