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意志力を使うほど逆に意志力が高まる「リバース・エゴ・ディプリーション」でGO!

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  意志力は減るのか減らないのか

昔から「意志力は使うと減る!(http://amzn.to/2sw4pgp)」って説が根強いいっぽうで、「実は意志力はすり減らない!」やら「意志力が減るのは思い込みだ!」なんて話もある昨今でございます。

 

 

この問題についてはまだ決着がついておらず、なかなか悩ましいところ。個人的には「それなら意志力って考え方を使わないほうがいいんじゃない?」とすら思いわけですが(笑)

 



 

意志力を使うほどエネルギーが増えることも?

ってところで新しい研究(1)では、「逆に意志力を使えば使うほどエネルギーが増える!」って現象について調べていて興味津々でありました。

 

 

これは南洋理工大学の実験で、数百人のインド人とアメリカ人に参加してもらい、みんなの意志力レベルをくらべたんですね。インド人を対象にしたのは、大昔からインドには「意志力は使うほど増える!」と考える文化的な風土があるからだそうな。

 

 

そのおかげで、インドでは他国よりもセルフコントロール能力を重んじる傾向が強く、幼いころから暗い部屋でロウソクの炎を見つめる訓練をしたり、定期的な瞑想が奨励されるケースが多いんだそうな。おもしろいですねぇ。

 

 

インド人と西洋人の意志力をくらべたら…

で、実験のデザインはこんな感じです。

 

  1. 参加者に10分の意志力チャレンジをしてもらう(難しい迷路を解いてもらったりとか)
  2. 続いて、まったく違う種類の意志力チャレンジをしてもらう(大量の文章から特定の単語を探したりとか)
  3. 作業の達成度がどうなったかをチェックする

 

従来の説が正しいなら、2番めのチャレンジは作業の達成度が下がるはず。実際、アメリカ人やスイス人の場合は、最初に難しい問題を解いた参加者ほど意志力の低下がみられたそうな。

 

 

インド人は意志力を使うほうが逆にセルフコントロール能力があがる 

ところがインド人はどうだったかというと、

 

  • 最初に難しいチャレンジをした参加者ほど、2番めの作業の達成度があがった
  • 1番めのチャレンジの難易度が低かった場合は、2番めの作業の達成度はあがらなかった

 

って結果だったんですな。完全に西洋人とは真逆の結果でして、この現象を、研究者は「リバース・エゴ・ディプリーション」と呼んでおります。スタンドの名前みたいでかっこいいっすね。

 

 

意志力の低下はモチベーションの問題?

研究者いわく、

 

「意志力の低下」は、ヒトの生物学的なシステムにもとづく普遍的な現象だという考え方がある。しかし今回の実験は、その説に大きな疑いを投げかける。

 

逆に今回の実験でわかるのは、「意志力の低下」のように見える現象とは、つまりモチベーションの問題ではないかということだ。

 

とのこと。このあたりは「意志力は優先順位の問題だ!」と主張するトロント大学の見解に近いところですねー。

 

 

ってことで話をまとめると、

 

  • 「意志力の低下」が実は思い込みである可能性がいよいよ強くなってきた
  • モチベーションの管理さえできれば、意志力の低下を気にする必要はないのかも

 

ってことですね。要は「やる気」さえコントロールできれば意志力は減らないよーって話でして、これは希望があっていいですねぇ。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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