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気弱な人のための心理学的に正しい交渉テクニック

Shy

 

なにせ気弱な性格なもので、私は交渉ごとが非常に苦手なわけです。特にお金がからむ話が不得手でして、つい「相手に悪いかなー」とか思っちゃって強く出られないタイプ。フリーで働く人間としては、なかなか損なキャラだと自覚しております。

 

 

ってことで、そんな方に参考になる研究(1)が出てましたんでご紹介しときます。

 

 



感情が交渉を破滅に追い込む

これはザールラント大学の実験で、約200人の学生を対象にしたもの。全員に架空のセールス交渉をしてもらったんですが、その際に全員を3つのパターンにわけたんですね。

 

  1. 普通に交渉を進める
  2. 交渉の相手が挑発してくる(「そんなオファーをするなんてバカじゃないの?」みたいな)
  3. 交渉の相手が怒っている状態で交渉

 

その結果は予想どおりで、「普通に交渉」したパターンの圧勝。自分が怒った場合と、相手が怒っている場合のどちらのシチュエーションでも、交渉がうまく進む確率は半分以下に下がったそうな。

 

 

「そりゃそうでしょう」って感じの結果ですが、いざ現実の世界で相手が怒ってたりすると、上手く状況をコントロールできないのが普通かと思われます。ではどうすりゃいいの?ってことで、研究チームはもうひとつの実験を行っとります。

 

 

セールス交渉に「イフゼンプランニング」を使ってみる

こちらの実験でも架空のセールス交渉を行ったんですが、今度は以下のようなパターンにわけたんですね。

 

  1. 普通に交渉を進める
  2. 交渉のゴールを設定しておく
  3. イフゼンプランニングを使う

 

「ゴール設定」は、事前に「この金額だったらOK!」みたいに明確な目標を決めておいて、あとは相手が何を言おうが、そのゴールを達成するまでは譲らないってパターン。これは実践してる人も多そうですな。

 

 

もうひとつの「イフゼンプランニング」は、当ブログでもおなじみの手法。事前に「もしXが起きたら、Yをやる」って形式で行動を決めておくテクニックで、この実験では、

 

相手が困った要求をしてきたら、あくまでこちらと相手は対等の立場であることを思い出し、自分の最初のオファーを貫く

 

 って感じでプランニングを設定したらしい。あらためて「相手と対等の立場だ」って意識を高めることで、たかぶった感情をリセットしてるわけですな。いかにも使えそうですねー。

 

 

で、結果はやっぱり「イフゼンプランニング」の勝利。「ゴール設定」もそれなりの効果はあったものの、あらかじめ細かいプランニングに落とし込んでおいたほうが、80%ほど交渉がうまくいく確率が高かったそうな。これは素晴らしい。

 

 

確かに、私のように気弱な人間はその場の感情でつい譲歩しちゃいがちなんで、イフゼンプランニングで交渉のプロセスを機械的に決めとくのは楽でよさげ。ご同輩は、ぜひ参考にされたし。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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