週に450分以上の運動をすると死にやすくなるかも!という恐怖のデータ
https://yuchrszk.blogspot.com/2017/11/450.html
どれだけ運動するとヤバいのか?
健康のためには運動が欠かせないのは当然ながら、過ぎたるはおよばざるごとし。オーバートレーニングの恐怖については、当ブログでも何度か書いているところであります。運動しすぎればしすぎたで、いろんな悪影響が出てきちゃうんですな。が、「どこからがオーバートレーニングなの?」って問題は難しくて、明確なラインはなかなか出しにくいところ。ざっくりした基準があると便利かと思われます。
ってところで新しい論文(1)は、「これだけ運動するとヤバいかもよ!」って問題を調べてくれてて参考になりました。
運動と動脈カッチカチ問題の関係
これはイリノイ大学の研究で、 3,175の男女が対象。CARDIAっていう有名なデータセットを使った観察研究になっております。具体的には、全員の運動レベルをチェックしたうえで、「冠動脈石灰化(CAC)」のレベルとくらべたんですな。CACってのは動脈硬化のヒドいバージョンで、
- コレステロールや脂肪のせいで動脈にプラークができいる
- プラークのせいで動脈が少しずつカチカチに
- さらにプラークに血液中のカルシウムがくっつく
- カルシウムのせいでさらに血管がガッチガチに
みたいな流れでできあがっていく感じ。血管がガッチガチなので、そこが爆裂しちゃったり血管が詰まったりして、急死の原因になっちゃうんですな。しかも、いったん血管が石灰化するとどうにもならないんで、普段から気をつけとくしかないのが怖いとこです。
運動が週に450分を超えるとヤバい!
で、研究では参加者の運動レベルを3つにわけていて、- 週の運動時間が150分以下
- 週の運動時間が150分(いろんな国で推奨量としてオススメされてるレベル)
- 週の運動時間が450分以上
って感じで、それぞれのグループとCACのレベルを比較したみたい。
そして、25年の追跡調査でなにがわかったかというと、
- 週の運動時間が450分以上の人は、CACのレベルが27%も高くなる!
- とくに白人男性が週の運動時間が450分以上を超えるとCACレベルは86%ぐらいの負荷も悪化!
って結果だったそうな。一般的に推奨されるエクササイズの量を3倍に増やすと、どうやら血管に悪影響が出てきちゃうみたいですな。
研究者いわく、
研究の前は、運動量が多い人ほどCACになりにくいものと予想していた。(中略)ところが、ハイレベルのエクササイズを長く続けると血管にストレスがかかり、CACにつながっていくようだ。ただし、このプラークは安定性が高いため、心臓病のリスク要因としてはやや低いかもしれない。
とのこと。オーバートレーニングによるCACがどこまで心疾患リスクになるかはわからんものの、とりあえず気をつけといたほうがいいよーぐらいのニュアンスですな。
運動のストレスで心臓と血管にダメージが
さらには、1日30〜40分の運動を週に5日ほど行うのが体にいいのは間違いない。ただし、それ以上のエクササイズは特定のホルモンの分泌量を増やし、心臓の筋肉に悪影響をおよぼす可能性がある。(中略)
心臓にとっては適度なエクササイズが大事だ。そうでないと、過度のエクササイズによつて引き起こされた痛みやケガに対応するために、ヒトの体は血中のカルシウム濃度を増やすからだ。
とのこと。過度なエクササイズに反応してストレスホルモンが増えて悪さをしたうえに、疲れた体を癒そうとして血中のカルシウム濃度が高くなるのが問題なんだ、と。いかにもありそうな話ですなぁ。
ちなみに、この結果では白人男性と黒人男性で差が出てますけど、このあたりはまったくの謎。人種の遺伝の差があるのかもしれないし、たんにデータを調整しまちがえただけかもしれず(そっちの可能性のほうが高そう)。また、少しずつ体を鍛えていった人の場合は、今回のデータが当てはまらないかもなんでご注意ください。
その点では、まだハッキリした結果ではないものの、別のデータセットを使った2015年の研究(2)でも、「キツいジョギングをしてる人よりは、軽いジョギングをしてる人のほうが長生き!」って結論が出てますんで、基本的には軽から中程度の時間のエクササイズを心がけとくとよさげ。
基本的には、
- 運動は週に150分ぐらいにとどめておく(ただし1回のエクササイズの負荷は高くてもいい)
- 「エクササイズの「適量」を見分ける方法」で自分の体をモニタリング
といったとこでしょうか。どうぞご注意くださいませー。