アスピリンであらゆる癌の発症リスクが減るかも!という話
アスピリンが癌予防に?
定番の痛み止めといえばアスピリン。ほかにも解熱や抗炎症に効いたり、 二日酔いに効くかも?とか、アンチエイジングにいいかも?とか、怒りの感情を抑えるかも?とか、AGEsを排出するかも?とか、いろいろと言われてるんですな。
その意味ではいろいろとメリットがありそうなクスリなんですけど、新しいデータ(1)では「アスピリンで癌リスクが減る!」って凄い結論になっててビビりました。
アスピリンを飲み続けるとどうなるか?
これは香港中文大学の研究で、600,000人超の男女を対象にした、デカめの観察研究になっております。具体的になにを調べたかといいますと、
- アスピリンを最低でも6ヵ月以上飲み続けたらどうなるか?
って問題について、10年以上アスピリンを飲んでない人とくらべたんですな。データだとアスピリン常用者の使用年数は平均7.7年で、肝臓や膵臓など5タイプの癌についてチェックしております。言わずもがなですが、年齢や教育レベル、貧富レベルといった基本的な要素は調整されております。
さまざまな癌のリスクが大幅に減った
で、ざっくり結論から言っちゃうとアスピリンの常用者は、
- 肝臓&食道癌が47%減!
- 膵臓癌が34%減!
- 結腸直腸癌が24%減!
- 胃癌が38%減!
って違いが出たそうな。うーん、想像以上に凄い結果になってますな。
ちなみに、この研究では上記以外の癌も調べたんですが、
- 白血病、肺癌、前立腺癌にも相関があったけど、食い違うデータも多いのでよくわからん
- 乳癌、腎臓癌、膀胱癌とは相関がみられなかった
みたいな結果が出ております。
過去にも似たような結果は多い
もちろん、これは観察研究なんで決定的な証拠ってわけじゃないものの、実は「アスピリンで発がんリスクが下がる!」ってデータは、これが初めてじゃなかったりします。有名なのは2016年論文(2)で、低容量のアスピリンには大腸癌のリスク低下がみられたとか。
ほかにも2005年に40,000人の女性を調査した観察研究(3)だと、45才以上がアスピリンを飲み続けると「すべての癌のリスクが低下していた」なんて効果も出てたり。これらをあわせると、かなり信ぴょう性は高い話なんですよね。
ちなみに、これらの結果を受けて、米国予防医学専門委員会(エビデンスをもとに癌治療の効果をランクづけてる機関)は、「アスピリンを癌予防に使うのはあり!」って結論(4)を出してたりもします。具体的な条件を言いますと、
- 出血のリスクが低い50〜59才の成人で、今後10年間で心血管疾患の発症リスクが10%以上の場合は、心血管疾患と大腸癌の予防にアスピリンを使うといいかも
- ただし60〜69才の場合は、ちゃんとお医者さんの指示を受けてね!
って感じになっております。いちおうアスピリンには消化管出血のリスクがあるんで、そこらへんとの兼ね合いで決めるのが大事。まぁUSPSTFがそう言ってるならそうなんだろうなーという印象ですね。
まとめ
ってことで、アスピリンがまた面白いことになってまいりました。
アンチエイジング薬としての実力についてはもうちょいデータが欲しいとこですが、私ももうちょい年を取ったら低用量使用を考えてみてもいいのかもですな。
あと、アスピリンについては、一部の方には「痛み止めを飲んで体を壊す?「サリチル酸不耐症」」って現象も知られてますんで、あわせてご注意ください。