「着圧ウェアには意味があるの?」問題にわりと確定的な結論が出た件
着圧ウェアで本当に運動のパフォーマンスは上がるのか?
エクササイズの世界では「着圧ウェア」って商品がございます。以下のように、足や腕をしめつけるタイプのエクササイズ着ですな。
わりとランナーや筋トレ好きに愛用者が多くて、使用者の感想によれば。、
- 走りやすくなった!
- エクササイズの疲労がすぐ回復!
- 乳酸がすばやく減った!
- 筋力が出やすくなった!
などといった効果が得られるんだとか。この問題については、2015年に当ブログで「怪しいんじゃないの?」って見解を紹介したことがあったんですけど、最近になってさらにくわしく調べたメタ分析(1)が出まして非常に参考になりました。
23件の着圧ウェアデータを精査した
これはセントメリーズ大学の研究で、過去に行われた着圧ウェア実験から23件のRCTだけを抜き出してデータを精査しております。取り上げられた着圧ウェアの種類は、
- タイツ サンプル数149
- ストッキング サンプル数40
- ソックス サンプル数44
- 腕スリーブ サンプル数71
- 全身タイツ サンプル数34
- スリーブトップ サンプル数10
って感じで、おもにタイツ系の着圧ウェアがメイン。参加者の平均年齢は25 ± 9才で、有酸素運動から筋トレまで幅広いエクササイズの効果をチェックしたみたい。
体感できないレベルでの効果しかない
では、以下が結果です。
- 運動の種類とか時間の長さをすべてひっくるめた場合、着圧ウェアには本当に小さな効果ならある(効果量は0.38)。
- 着圧の強度は、着圧ウェアのメリットに影響をあたえない。つまり、どんなに強く締め付けようが、とくに着圧ウェアの効果が高まることはない。
- もっとも着圧ウェアの効果を得やすいのは筋トレからのリカバリー時で、トレーニングから24時間後の回復が有意に高くなった(効果量は0.49)。いっぽうで、ランニングからの回復については、ほとんど効果は望めない。ただし、サイクリングからの回復に対しては効果があるかも。
- どんなエクササイズだろうが、パフォーマンスがあがるようなこともない。
ってことで、全体的には非常に微少な差で、ほとんど効果を体感できないレベルみたい。その意味では、「着圧ウェアの効果はプラシーボだ」と言ってた2013年のレビューもあながち間違いではないんでしょうな。
まとめ
ちなみに、些少ながらも着圧ウェアで違いが出る理由は、まだはっきりとはわかってないとのこと。いまのところは、体をしめつけることで静脈中の血流が速くなり、そのせいで栄養の行き来がスムーズになったり、不要な代謝物がクリアになるんじゃないのかなー?ぐらいの推測になっております。
もちろん、これは短期間のデータをもとにした結論なんで、「長期間使えば違うのでは?」といった可能性は否定できず(可能性は低そうですが)。まぁ、いまのところは、少しでもリカバリーを速くしたいパワーリフターなら試すのもありでしょうが、素人が使うメリットはなさそうな気がしますねー。