「年を取ると時間が経つのが速い!」のって単に脳が衰えたからじゃない?説が爆誕してた件
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「年を取ると時間が経つのが速い!」ってのは昔からよく言われる話で、私も40歳を過ぎてからというもの1年が速いこと速いこと。体感でいうと1年が4カ月ぐらいのレベル。
このような現象が起きる原因はいろいろありますが、よく言われるのは「ホリデーパラドックス」ってやつで、簡単に言えば「年を取ると新しい新鮮な体験が少なくなるよね!」って考え方です。子供時代と違って毎日を新鮮な気持ちで送れないせいで、時間が速く過ぎた錯覚が生まれるわけですな。
さらに、もうひとつよく言われるところでは、「子供のころのほうが代謝が速いからじゃない?」って理論もあったりします。子供は代謝が速いせいで行動の密度が上がり、そのせいで大人よりも濃い時間を過ごせるのではないか?みたいな考え方です。
果たしてどの説が正しいのか?ってのは現状ではよくわからんのですが、新たなデータ(R)では、「老けると脳の情報処理が衰えるからだ!」って身もふたもない結論になってて笑いました。
これはデューク大学の研究で、過去に出た「脳と視覚情報」にかんする研究をまとめたレビュー論文になっております。まずはざっくりとその結論を書いちゃうと、
- 年を取って時間が遅くなるのは、脳が視覚情報を処理できなくなるから!
って感じになります。
どういうことかと言いますと、まず前提として、人間の目は定期的に小刻みに動いて外界のイメージをとらえようと頑張っております。いわゆるサッケード運動ってやつですな。
でもってサッケード運動が終わったら、今度は目の動きが200〜300ミリ秒ほど落ち着いて、特定のイメージに固定。この段階で「自分の目の前でなにが起きてるの?」って情報をとりこむんですね。この働きを専門的に「固視」などと申します。
が、どうやら年を取ると脳内の電気信号が通りにくくなるせいで、この固視の時間が長くなっちゃうらしいんですよ。つまり、ひとつのイメージを脳に取り込むのに、若い人よりも時間がかかるわけです。
その結果、なにが起こるかと言いますと、
- 若い人=サッケード運動をたくさんできるので、1秒あたりに多くの視覚イメージを処理できる
- 年取った人=固視が長いおかげで、1秒あたりの視覚イメージが若い人より少なくなる
みたいになります。ちょっとまだわかりづらいですが、たとえるなら映画のハイスピード撮影とコマ落とし撮影の違いみたいなもんです。要するに、
- ハイスピード撮影=1秒間あたりのコマ数を多く撮影することで、スロー再生でもなめらかな映像になる
- コマ落とし撮影=1秒間あたりのコマ数を減らすことで、通常の再生速度でもスピーディな画面になる
って感じですね。年を取った人の脳はコマ落とし撮影なので、1秒あたりの情報量が少なく、そのせいで時間が速いように体感されるわけです。昔の無声映画が妙にチョコマカして感じられるのに似てますかね。
研究チームいわく、
知覚したイメージが変われば、ヒトの時間感覚も変わる。時間感覚が変われば、現在と過去の見方も変わる。若い人ほど1日が長いのは、若者のほうが1日に多くの視覚情報を取り入れているからだ。
ってことで、この説が正しいとすればなかなか対策は難しいっすね。ちょっと考えてみると、
- 脳を大事にして、できるだけ処理スピードが落ちないようにする
- 秒あたりに取り込める情報が少ない代わりに、そのデータへの感度を深める(要はマインドフルネス)
みたいな対策に落ち着きそうな気がしますが、いっぽうで研究チームはこうも言っております。
若い頃は誰しも時間が永遠のように思え、より鮮明な記憶を保持しているものだ。しかし、これは決して若いころの体験がより新鮮で意味深かったからではない。たんに情報を矢継ぎ早に処理していたからなのだ。
「若い頃は情報が新鮮だから時間が長い」説を、思い切りぶった切っております。うーん、どうなんでしょう。個人的には「ホリデーパラドックス」も十分ありえる考え方だと思うので、ここまでは言い切りづらいところではあります。
いずれにせよ、現時点では脳のアンチエイジングとマインドフルネスぐらいしかなさそうなんで、できることだけやっとくか……。