運動は体にいいが、運動しまくったらさすがに悪影響が出るんじゃないの?問題
https://yuchrszk.blogspot.com/2019/03/blog-post_27.html
運動しすぎが体に悪いのは、直感的にも理解しやすいところでしょう。人体はつねに適切な休憩が必要なんで、許容量を超えて体を動かすといろんな害が出てくるんですよね。
が、これはあくまで慣れない運動をした場合の話で、適切なレベルのエクササイズを重ねて、少しずつ体力のベースラインを上げていった場合は別の話(ホルミーシス仮説ですな)。体のレベルが上がった状態でハードな運動を続けたらどうなる?ってところはまだ意外とわかってなかったりします。趣味でトライアスロンをやってる人とか、1日に10キロも走るランナーとか、そのレベルの人たちは本当に健康なのか?みたいな問題っすね。
ってことで近ごろ出たデータ(R)は、ハードな運動ってどうよ?問題について、ちょっとおもしろい知見を提供してくれておりました。
こいつはクーパー研究所の有名なデータセットから 21,758人の男性を対象にした研究で、年齢は40〜80歳ぐらいのあいだ。大半の人は普段から運動をしていて、
- だいたいはランニング好き
- あとはスイマー、サイクリスト、トライアスリートなどが多い
みたいな構成になってます。ちなみに、このデータセットに女性がふくまれていないのは、一般的に男性よりも中年期に死ぬ確率が低いので、統計処理に影響を与えちゃうからだそうです。
調査の期間は1998〜2014年のあいだで、参加者は定期的に冠動脈の石灰化スコアを調査。これは心臓病の危険因子で、こいつが高いほど動脈はカッチカチになっていく可能性が高いんですな。突然死を予想する指標として、よく使われております。
なんでこんなことを調べたかと言いますと、過去のデータ(R)では、運動量が多いアスリートほど石灰化スコアが高いよ!って結果が出てたからです。どうもアスリートやマラソンランナーほど動脈硬化リスクが高いかもしんないんですよ。
ただし、新たな研究を行なったチームはこう言っております。
心配すべきはカルシウムそのものではない、カルシウムは動脈硬化のフットプリントでしかないからだ。
つまり、確かに激しい運動をするとリスク指標は上がるけど、現実で悪さをしてなけりゃ問題なくない?ってことですな。
で、結果がどうだったかと言いますと、
- 6.5キロの距離を時速13.4キロで毎日走ってる人は冠動脈の石灰化が11%進んでいた!
ってことで、従来の研究を裏づける内容になっております。毎日6.5キロを走り続けるってなかなか大変ですが。
が、ランニング好きの方はご安心ください。いっぽうではこんな結果も出てたりします。
- 石灰化スコアが高くても、運動をしている人の全死亡率は上がらない!
なんだかんだで運動は体にいいんで、いかに石灰化スコアがあがろうが、そのメリットが上回っちゃうみたいなんですな。
研究チームいわく、
この研究は、エクササイズが過度に多い人でも死亡率は上がらないことを示した。もちろん、普段の運動量が多い人は、自分の心疾患リスクが上がっていないかどうかを定期的にチェックすべきだろうが。
とにかく、最も大事なのはハイボリュームな運動が安全だという点だ。エクササイズのメリットは、冠動脈石灰化のリスクを上回る。
とのことで、運動したければ好きなだけどうぞ!って感じですかね。まー個人的には「そう言われても石灰化リスクはなぁ……」とか思っちゃうタイプなんで、そんなに運動には時間を使わなそうですが。