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ハッキリした決断ができない人ほど貯金が得意なのかも?みたいな研究

 

たまーにこのブログに出てくる人間分類に「マキシマイザー」と「サティスファイサー」ってのがあります。ざっくりおさらいすると、

 

  • マキシマイザー:つねに最高の選択をしないとガマンできないタイプ
  • サティスファイサー:ほどほどの選択で満足できるタイプ

 

みたいな感じでして、心理学の世界では「マキシマイザーよりサティスファイサーの方が幸福!」と言われてるんですな。マキシマイザーは最高を求め続ける性質があるせいでキッパリした決断ができず、どうしても不満がたまったままになりやすいんですよ。

 

 

が、近ごろ「マキシマイザーが有利なとこもあるんだよ!」って内容の論文(R)が出てまして、ちょっとおもしろいです。

 

これはコネチカット大学の実験で、研究チームの問題意識はこんな感じになってます。

 

なんらかの基準を設定しなければならないとき、マキシマイザーほど未来について考えるだろう。なぜなら、マキシマイザーが現時点で良い決定を下すためには、未来の高い基準について思いをはせる必要があるからだ。

 

ちょっとわかりにくいかもですが、簡単に言ってしまえば、

 

  • マキシマイザーほど将来のことをしっかり考えながら行動するんじゃない?

 

ってことです。マキシマイザーは人生の基準値が高いので、そのぶだけ未来をクリアに考える能力が発達してるんじゃないの?みたいな考え方ですな。

 

 

最高の体調」にも書きましたが、「将来をクリアに考えられる能力」ってのはかなり重要なファクターで、セルフコントロールなどと密接に結びついた要素です。当然ながら、セルフコントロールが高ければ将来のために勉強するし、お金もコツコツと貯め込むだろうしで、長期的な成功に結びつきやすい可能性が大。その点ではマキシマイザーの方が有利なんじゃなかろうか、と。

 

 

そんなわけで研究チームは、まず被験者のマキシマイザーレベルを簡単なテストでチェック。その上で、みんなの「時間割引」を調べたんだそうな。

 

 

時間割引は行動経済学でよく使われる用語で、「目の前の小さな報酬よりも、将来の大きな報酬を選べるかどうか?」を意味しております。つまり、時間割引が低い人ほどセルフコントロール能力が高く、長い目で見たときにいろんなメリットを享受しやすいはずだと考えられるわけっすね。

 

 

で、最後に全員の時間割引を各自の年収や貯金と比べたところ、こんな傾向が確認されました。

 

  • マキシマイザーほど未来をクリアに考えるため、貯金の額が多い!
  • ついでに現在の収入も高い傾向がある!

 

やはり研究チームの予想どおり、マキシマイザーのほうが未来志向が強く、そのせいでお金は貯まりやすくなるみたいっすね。

 

 

研究チームいわく、

 

未来について徹底的に集中すると、私たちは目の前の欲求をより簡単に遅らせられるようになる。

 

どのとこで、マキシマイザーにも特有のメリットがあるのだ、と。といっても、一方ではマキシマイザーの幸福度が低いのも間違いないので、そこらへんは「一日再構成法」みたいな手法でバランスを取っていくしかないんでしょうなぁ。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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