今週の小ネタ:秋冬に生まれた人はメンタルを病みやすい、うまく歳をとるには食物繊維が必須、睡眠の質が上がりやすい性格
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
秋冬に生まれた人はメンタルを病みやすいのはなぜ?
まずはカーディフ大学などの研究(R)で、「秋冬に生まれた人はメンタルを病みやすいのはなぜ?」みたいな問題をあつかってます。
過去のデータでは、秋から冬にかけて生まれた人の方がうつ病の発症率が高い傾向が出てまして、それはなぜなんだろう?ってのが本論の問題意識。バリバリの冬生まれな私としてはなんとも気になるところです。
これは直近に子供を産んだ316人の女性を対象にした研究で、唾液からストレスホルモン(コルチゾール)のレベルを計測して、出産の前後でどのような変化が出たかを調べたものです。そこでどんな違いがあったかと言いますと、
- 別に秋や冬に産んだからといって産後うつが起きやすくなる訳ではない
- が、秋や冬に出産をした人は体内のコルチゾールレベルが高く、これが赤ちゃんに影響しているのかもしれない
だったそうです。研究チームいわく、
もともと女性は出産前後にストレスホルモンが高まるものだが、今回の研究では、秋と冬に生まれた子供はより多くのコルチゾールにさらされていることがわかった。平均して、秋と冬に出産を経験した女性は、春と夏に出産を経験した女性よりも20%ほどコルチゾールのレベルが高い。
とのこと。先行研究だと「出産時のコルチゾールレベルは子供のメンタル悪化リスクと相関してる」って傾向が出てまして、どうも季節ごとのストレスホルモン量の変動が関わってそうなんですよね。
ちなみに、秋冬にストレスホルモンが増える理由は謎なんですが、とりあえず男女を問わず寒い時期ほどストレス対策をしとくといいのかもですな。
うまく歳をとるには食物繊維が必須だ!
続いてはシドニー大学などの研究(R)で、「うまく歳をとるには食物繊維が必須だ!」って結論になってます。これは平均年齢49歳の男女1,609人を対象にした研究で、定期的に全員の食事内容を調べて、
- 日々の食物繊維の摂取量
- 糖質の摂取量
- 食事のGI値
みたいなポイントをチェック。10年にわたる追跡調査を行ったんだそうな。
そこでどんな結論が出たかと言いますと、
- 食物繊維の摂取量が多ければ多いほど「サクセスフル・エイジング」しやすい!
だったそうな。サクセスフル・エイジングってのは名前のとおり「適切な老化」のことでして、
- 認知機能が衰えない
- 身体の機能も万全
- うつ病の症状もない
- 循環器系に問題がない
- 糖尿や心疾患などの慢性病もない
みたいなことで、誰もが「歳をとったらこうありたい……」と思えるような状況のことです。研究チームいわく、
すべての変数のなかで、食物繊維はもっとも大きな影響を持っていた。食物繊維の摂取量が多い人は、10年のフォローアップで健康に暮らす確率が80%も高かった。
ということで、あらためて食物繊維のポテンシャルを裏づける内容になっておりました。やっぱ大事やな……。
睡眠の質が上がりやすい性格ってあるの?
最後はノースウエスタン大学の研究(R)で、「睡眠の質が上がりやすい性格ってあるの?」って問題を調べてくれております。
これは3,548人の男女を対象にした観察研究で、全員の性格と睡眠の質をチェックしたあと、すべてのデータを比較したもの。そこでどんな傾向が確認されたかと言いますと、
今回の研究では、楽観的な性格と睡眠の質に大きな相関が確認された。この傾向は、健康状態やメンタルの状態などを調整しても残った。
基本的に、オプティミストたちは特定の問題について前向きに対処しようとすると、ストレスフルな状況もよりポジティブに解釈する。この傾向が心配や不安を減らし、より睡眠の質を上げてくれるのだろう。
とのこと。この研究でいう「オプティミズム」は「とりあえず未来にはいいことがあるだろう」と考える性向を意味しております。まぁ楽観的な人ほど不安が減って夜も眠りやすいってのはわかりやすい話ですな。
楽観主義は生まれつきの性格によるところも多いんで、後天的に変えられるかどうかはまだ不明。どうにも悲観的でお困りの方は、とりあえず認知行動療法などで不安対策だけは心がけときたいですねー。